みなさんこんにちは、香港在住の携帯電話研究家、山根康宏です。2025年も実に多くのスマートフォンが登場しました。日本では依然、iPhoneが人気ですが、世界に目を向けると各社のパワーバランスは着々と変わりつつあります。たとえば、IDCによる2025年第3四半期の各メーカーシェアを見てみると……。

サムスン、アップル、シャオミに続き、4位にトランシオンが躍り出ました。当四半期では唯一の2桁成長で、3位のシャオミの後ろ姿がおぼろげに見えている状況です。

Transsionは傘下にTECNO、Infinix、Itellの3社を持ちます(上の出荷量やシェアも3社合計)。このうちTECNOは折りたたみスマートフォンや薄型モデルなどを次々と発表し注目されているので、日本でも知っている人はいるでしょう。他の2社の製品も目が離せないもの増えています。中でもInfinixは今年、いろいろ出しました。

まず、3月に発表された「GT 30 Pro」。特にGaming Master Editionは背面にLEDライトを内蔵、メカニックなデザイン、同デザインの冷却クーラーも付属。ショルダーキーを搭載するなど、ゲーム用途に特化したモデルです。

チップセットはMediaTek Dimensity 8350。ゲーミングスマートフォンはASUSやnubiaから出ている一方、BlackSharkが撤退するなどニッチ分野ながら競争の激しい市場です。Infinixは新興国向けハイエンドゲーミングフォンを出すことで、アフリカや東南アジアのモバイルゲーマーをごっそり奪おうという考え。8GB+128GBモデルで1万4999フィリピンペソ、約4万円という価格でライバルに挑みます。

ちなみにDimensity 7400搭載の下位モデル「GT 30」なら1万1999ペソ、約3万2000円。低価格な高性能モデルとしてはグローバルではシャオミのPOCOシリーズがありますが、Infinix GTシリーズはデザイン面でも負けていません。

一方、製品名からは特徴がつかみにくい「HOT 60 Pro+」は、6mmを切る極薄モデル。5Gには非対応ですがチップセットは4G対応最上位のMediaTek Helio G200を搭載。本体の厚みは5.95mmです。カラバリが6色あるのも楽しい感じ。発表は2025年7月10日で、サムスンの薄型モデル「Galaxy S25 Edge」のわずか2ヵ月後でした。

InfinixのHOTシリーズはカメラデザインにも特徴があり、縦に並べたレンズはサムスンとよく似ているものの、レンズの枠を正方形にすることで見た目を大きく変えています。一部の国ではモバイルゲーム「Free Fire」とのコラボモデルも展開。フィリピンでは8999ペソ(約2万4000円)で販売されています。ここまで安ければ薄型スマートフォンへの注目も高まりそうです。

スマートフォン以外ではスマートリングも発売しました。AI機能をフィーチャーしており、製品名もそのままの「AI Ring」。マレーシアでは499リンギット、約1万9000円で販売されています。

本体はステンレス製で250mAhのバッテリーを内蔵し最大7日駆動可能。睡眠・心拍・血中酸素などを24時間トラッキングし、AI解析で健康状態を可視化するだけではなく、健康のアドバイスも受けることができます。5気圧防水対応、約3から4gの超軽量設計で、日常生活や運動中も違和感なく装着できるのも使いやすそう。専用アプリと連携して詳細なヘルスレポートや通知機能を提供します。

充電は専用の充電台を使います。

ウェアラブル機器は今では参入障壁が少なく、無名メーカーを含めると数百社が製品を出しています。Infinixもスマートウォッチを出していますが、装着や充電の手間が省けるスマートリングを出すことで、より多くの人にウェアラブルデバイスを使ってもらおうと考えているのでしょう。そんなスマートウォッチ製品も、ついに「あの機能」を搭載したモデルが登場します。

Infinix XWATCH Podsはスマートウオッチの中にワイヤレスイヤホンを内蔵した製品。以前、ファーウェイが出していた「HUAWEI Watch Buds」と類似の製品です。無名メーカーからいくつか製品が出ていますが、大手のInfinixから出てくるということで、品質も期待できそう。私もファーウェイの製品を以前使っていたので気になっています。
このようにInfinixは先進国の人も興味を持つような製品を着々と出してきました。2026年も驚くような製品が出てくることに期待しています。









