超伝説級コンピュータ研究者が集まる凄いイベント『GRAPHICS SYMPOSIUM』間もなく開催、絶対に見逃すな(CloseBox)

テクノロジー Science
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

超伝説級コンピュータ研究者が集まる凄いイベント『GRAPHICS SYMPOSIUM』間もなく開催、絶対に見逃すな(CloseBox)
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日本時間で3月25日午前4時45分から、米国のユタ大学で「GRAPHICS SYMPOSIUM」というイベントが開催されます。このイベントがすごすぎるので開催直前ではありますが、紹介しておきます。

コンピュータやCGの歴史を少しでも知っている人ならばこの中の何人かは目にしたことがあるはずで、彼らの研究がどれか一つでも欠けていたら今日のコンピュータもゲームもあり得なかったでしょう。その内容がYouTubeの概要欄に貼られているのでみてみると、一つ一つがコンピュータとCGの歴史そのもので、なおかつ現在の私たちが当たり前のように享受している技術だということがわかります。

- Richard B. Brown: Welcome
- Alvy Ray Smith, Event MC: Introductory Remarks
- Ed Catmull: The Creative Environment
- Martin Newell: The Teapot Again? Why?
- James Blinn: The Bumpy Road to Blinn Shading
- Henri Gouraud: The French Connection and Image Analysis
- Bob Schumacker & Rod Rougelot: Evans & Sutherland – Corporate Culture and Contributions to Computer Graphics
- Henry Fuchs: From Ivan Sutherland’s Head-Mounted Display to Augmented Reality Eyeglasses: a 50-year Adventure
- Jim Clark: Computer Graphics & Public Key Cryptography - Ivan Sutherland’s and Dave Evans’ Influence On My Life
- Alan Kay: We were so lucky ...
- John Warnock: New York City Harbor to PostScript and PDF

Alvy Ray Smith(アルヴィ・レイ・スミス)はPixarの創設者だった人で、その前にはLucasfilmのCG部門を立ち上げた人物。1987年ごろ、筆者はインタビューしたことがありますが、その後、スティーブ・ジョブズとケンカをして袂を分かちます。Pixarの共同創設者であるEd Catmull(エドウィン・キャットマル)はテクスチャマッピング、Zバッファ、Bスプライン、サブディビジョンサーフェス、アンチエイリアスで知られています。この2人が並ぶというだけで胸が熱くなる人も多いでしょう。

Martin Newell(マーティン・ニューウェル)は、CGやってる人なら知らぬものはない「ユタ・ティーポット」の考案者で、その話をしてくれるそうです。

James Blinn(ジェームブ・ブリン)はバンプマッピング、環境マッピングなどの研究が有名で、フォンシェーディングを改良したブリン=フォン・シェーディングについて話すようです。

シェーディングといえば、グーローシェーディングを考案したフランス人、Henri Gouroud(アンリ・グーロー)も登壇します。妻の顔をグーロー・シェーディングのサンプルにするところが、個人的に親しみを覚えます。

▲自分の妻の顔をシェーディングのサンプルに

Henry Fuchs(ヘンリー・フックス)は、自身が世に送ったCGのアルゴリズムのことではなく、元祖ヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)からARグラスまでの50年について語ります。

▲世界初のHMD「ダモクレスの剣」

そして、Jim Clark(ジム・クラーク)。スタンフォード大学の教授職にあったときに開発したジオメトリエンジンを使ったグラフィックスワークステーションを手にSilicon Graphicsを創業。その後はさらにNetscapeを創業した人物ですが、今回は、以前勤務していたEvans & Sutherlandから受けた影響について話します。

Alan Kay(アラン・ケイ)はSketchPad、Dynabook、Alto、Smalltalkなど、数々の業績により現在のパーソナルコンピュータの基礎を作った人ですが、今回のテーマは「僕らはラッキーだった」。何がラッキーだったのか。

John Warnock(ジョン・ウォーノック)。故チャールズ・ゲシキとともにAdobeを創業した彼もまた、隠面処理のためのウォーノックのアルゴリズムでAdobe以前から知られていました。彼もまたEvans & Sutherlandの出身です。

さて、これらコンピュータ、CGの巨人たちのほとんど全員に共通するものは何でしょうか?

それは、Ivan Sutherland(アイヴァン・サザランド)に師事していたということ。サザランドは、人類で初めてHMDを開発し、ペンとGUIを使った最初のCGシステムであるSketchpadを考案。

ユタ大学で教鞭を取っていたときの学生が、アラン・ケイ、ジム・ブリン、アンリ・グーロー、エドウィン・キャットマル、マーティン・ニューウェル。さらにCGによるシミュレーションシステムを販売するEvans & Sutherlandを創業します。その時の社員だったのがジム・クラークとジョン・ウォーノックなのです。この辺りについては、7年前にブログに書いたことがあるのでそちらを参照ください。

で、肝心のサザランドは当然呼ばれているのですが、CGには関心ないそうで、こんなコメントをしています。

というわけで、コンピュータ、CGの基礎を作った「アイヴァン・サザランドとその子供たち」による一大イベント。ぜったいに見逃せないのです。


《松尾公也》
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

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