Pixel 10 ProのAI機能を実機でチェック。超解像ズームは驚きのレベルだが、本当に写真なのかという疑問も(石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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グーグルは、28日に「Pixel 10」シリーズの3機種を発売しました。フォルダブルスマホの「Pixel 10 Pro Fold」は、10月に投入されます。

今回のPixel 10シリーズは、パッと見だと「Pixel 9」からあまり変わっていないように思えるかもしれませんが、その心臓部である「Tensor G5」の処理能力を生かし、AIを活用した機能を一挙に盛り込んできました。

▲AI機能テンコ盛りのPixel 10シリーズ。Pixel 10 Proで、その実力を確認していく

オンデバイスAIを処理するためのTPU性能を上げて、その上にPixelならではのサービスを盛り込むことで差別化を図るというのがグーグルの戦略。実際、Pixel 10シリーズでは、これまでのPixelにはない目新しい機能が多数搭載されています。中でもインパクトが大きいのがProモデルに採用されている「超解像ズームPro」でしょう。

▲望遠カメラ自体の倍率は5倍と変わっていないが、生成AIを組み合わせることで最大100倍までのズームが可能になった

これまでのPixelにも超解像ズームはありましたが、“Pro”はデバイス上で拡散モデルを使って画像を処理することで、100倍までの高倍率を実現しました。拡散モデルは、イラストや写真を出力するための生成AIでおなじみのあれ。30倍を超える高倍率で撮った際には自動で超解像ズームProになり、写真が生成AIによって補完されます。

その仕上がりは、驚きのレベル。以下のように、離れた位置にある草木をあたかも手元にあったかのようにどアップで写せたり、遠くにある交通標識をクッキリと写せたりと、生成AIのパワーをフルに発揮しています。AIが書き起こしたものを写真と呼んでいいのか……といった倫理的な問題はつきまとうものの、遠くのものを撮る際には便利。他メーカーとははっきり異なるアプローチを取ってきました。

▲▼遠くの花を、まるで手元にあったかのようにクローズアップして撮影できる

▲▼肉眼では判別不可能な看板も、ここまでクッキリに

ただし、生成AIの気まぐれなところも残っており、被写体によってはあまりうまく画像を処理できず、“写真のような何か”になってしまうこともあります。実際に使ってみた限りでは、ディテールが複雑な被写体だったり、撮影時にブレてしまったりすると、こうした謎の画像を出力しやすい印象。こうした画像を見ると、上記のように「これは本当に写真なのか」という疑問がより沸いてきます。

▲橋のディテールがかなり怪しい。かなりAIによる“独創性”が発揮されてしまった格好だ

▲電車の窓に貼られたステッカーには、謎の文字が出現

もっとも超解像ズームProで撮った写真は元画像もしっかり保存されており、おかなしな絵になってしまったと思ったらAIが加工する前のものを使用することもできます。また、来歴情報を記録するC2PAに対応しており、AIで編集したことは明示されます。こうした仕様からは、グーグルが生成AIによって生じる問題についてもきちんと考慮していることがうかがえます。

▲AIが加工する前の元画像を呼び出せる

▲C2PAの来歴表示にも対応

カメラ関連では、「カメラコーチ」もおもしろい新機能です。これは、AIが被写体を認識して、最適な撮影モードや構図、フレーミングを提案してくれるというもの。写真のセンスのようなものを磨ける機能と言っていいでしょう。

センサーやISPの処理など、カメラの機能がいくらアップデートしても、構図が悪ければ写真は台無しになります。ハードウェアやソフトウェアのアップデートだけではどうしようもない、撮り手のセンスを改善することで写真のクオリティを上げるというアプローチは非常におもしろい発想だと思いました。AIを上手にスマホに統合した一例と言えるかもしれません。

▲▼カメラ側が撮影の方法を教えてくれるカメラコーチ

もう1つ、目玉として導入したのが「マジックサジェスト」。これは、端末内に散らばった情報を学習して、通話やメッセージで関連する話が出た際に、ユーザーに先回りしてその情報を画面内に提示するという機能。フライトやレストラン予約をメールから探して自動で表示したり、約束しようとしている日の予定をカレンダーからピックアップしたりと、なかなか気の利いたことをしてくれます。

アプリを横断して、かつユーザーの行動を支援してくれるという点ではエージェント的なふるまいをするAIと言えるでしょう。筆者も話を聞いて非常に期待していたのですが、実機で試してみると、挙動がやや不明なところもありました。例えば、電話でいくつか会話してみましたが、マジックサジェストは特に反応してくれませんでした。

▲アプリを横断して、最適な情報をリコメンドしてくれるマジックサジェスト

メッセージアプリで予定について尋ねたところ、カレンダーがリコメンドされたものの、できたのはアプリを立ち上げることだけ。中の予定は見れなかったので、結局はアプリを行き来することになりました。それでも、自分でアプリを探して立ち上げてから、さらにメッセージに戻るよりは手数が少なくなるものの、コレジャナイ感は否めません。

▲予定について尋ねたところ、カレンダーアプリが提示されたが、それ以上踏み込んだサジェストはされなかった

もしかしたら、もう少し使い込んでいけばグーグルの説明どおりに動くのかもしれませんが、なぜあまりサジェストしてくれないのかはブラックボックス。ユーザー側から設定できのは、情報ソースとしてどのアプリを使うかといったことぐらいなので、手の打ちようがありません。思ったように機能しない時、どうすればいいのかはAI機能のちょっとした課題のような気もしました。

地味ながら便利なのが、「今日のまとめ」。その日の予定をザクっとまとめて、何があるのかを教えてくれる機能で、天気やカレンダー、YouTubeなどから自動的にオススメのコンテンツをピックアップしてくれます。発表会の予定をカレンダーに登録しておいたところ、「こんにちは、JUNYA.発表会に参加して情報を得る.」という形で概要を表示してくれました。

▲各種情報をまとめて表示してくれる機能が、Discoveryから利用できるようになった

この例えで分かる人がどこまでいるかは分かりませんが、サムスン電子の「Now Brief」に近い機能と言えるかもしれません。ほかにも、Gboardが入力した文字のトーンを自動で変更できたり、Geminiが特定のものをたずねられた際にそれを指し示せたりと、大小さまざまなAI機能が搭載されています。

▲Gboardが文章作成ツールに対応した

この中の一部はアップデートで過去機種にも対応できそうですが、オンデバイスAIを使っている部分は、処理能力に大きく左右されるだけに、Pixel 10以降限定というものもありそう。こうした機能をいち早く使ってみるうえでも、Pixel 10シリーズはぜひ入手しておきたい端末と言えます。

《石野純也》

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