iPhone 17 Pro MaxとApple Watch Series 11、AirPods Pro 3というアップルの“ギーク鉄板”構成を使い始めたばかりですが(いや、ギークはAirという説もあるんでした)、並行して1週間ほどGoogle Pixel 10 Pro FoldとPixel Watch 4、Pixel Buds 2aを試用しておりました。

Pixel Foldはフォルダブルですし、Pixel Budsは上位のProではないので正しいカードとは言えませんが、そこは新モデルレビューということで。結論から書くとAppleエコシステムどっぷりの身からしても思いのほか快適で、アップルが倒産したら全然こっちで生きていけるなと思いました。わかってます倒産するわけないし、なんならウチのほうが……ただ、アップルも倒産寸前だった時期あったんですよ(老害)。
Pixel 10 Pro Foldは外側6.4インチ、内側8インチの2画面構成で、明るさピークは3000ニト。いずれのディスプレイもカンカン照りの屋外で視認性バッチリでした。折りたたみ時の厚みは10.8mm、重量は258gとサムスンのGalaxy Z Fold7に比べるとずっしりとしていますが、iPhone 17 Pro Maxと比べるとさほど変わりません。
直接、Pixel 10 Pro Foldの評価というわけでもないのですが、2ペイン対応アプリが、私が最後に(真面目に)フォルダブル試したときから、だいぶ増えましたね。Outlook、Discord、Teams、LINEなど、仕事でもプライベートでも使う主要アプリの多くが左右にリストと本文を分けて表示できるようになっていて、これはストレートに戻れなくなるほど魅力的だなと。SlackやFacebookメッセンジャーは未対応ですが、メールやスケジュール管理、チャットを同時にこなす作業がPCなしでも快適にやれます。どうしても移動中に出ないとならないオンライン会議で資料とか出てくると、1画面スマホでは横にしても見えないですが、Pixel 10 Pro Foldだと開けば見える……ということがまさに先ほどありました。

▲とはいえ細かい文字が見えるかどうかは個人の目年齢次第
実は最初は“開く手間”が少し面倒にも思えました。さらに純正のPixelsnapケースを装着すると、ヒンジ部分の掴みがわずかに難しくなり、スッと開く感覚が少し失われてしまいます。開くのにちょっとコツがいるようで、下の写真の親指の位置、折り目の中央下側を押すとスムーズに行きました。

▲下すぎるとケースが外れてしまうので注意
ナビゲーションはジェスチャー操作よりも3ボタン式のほうが指の移動量は減るかもしれません。私は、なんとなくPixelシリーズはジェスチャー、Galaxyシリーズは3ボタンに慣れているのでそのままにしていますが……。とはいえ、どちらでも使い込むと大きな不満は残りません。
動画視聴(やゲームは、と言いたいところですがTensorなので、ね……)は、やはりフォルダブルならではの醍醐味と感じました。スピーカー音量は十分で、ネトフリやYouTubeも台詞がしっかり聞き取れます。ただ、音質はiPhone 17 Pro Maxのほうが上質と感じました。低音の厚みや定位感、ステレオの広がりはアップルが常に一歩先と感じるのですが、Pixel 10 Pro Foldの明るく反射の少ない画面と、HDR時の階調の豊かさは非常に魅力的で、視聴環境によってどちらを好むかは分かれそう。

バッテリーは5015mAh、今回カメラテストまでできませんでしたが、1日フツーに使って30%を切ることはありませんでした。Qi2による15Wワイヤレス充電、USB-Cでの急速充電にも対応し、バッテリーの悩みはほぼなさそうです。内部はTensor G5と16GBメモリの組み合わせで、複数アプリを同時に開いても遅延を感じることはありません。Wi-Fi 7やUWB、FeliCaにも対応し、7年間のOSアップデート保証が付きます。

カメラは広角48MP、超広角10.5MP、望遠10.8MPの3眼構成。暗所でも自然な発色で、5倍光学望遠域の解像感もAIでクッキリ保たれます。シャッター後にベストショットを提案する「ベストテイク」や、フレーミングをサポートする「カメラコーチ」、AI機能マジックサジェスト(Magic Cue)やGemini LiveなどもほかのPixel 10シリーズ同様に利用できます。
私個人的には音声操作をほとんど使いませんが、文章や返信候補を提示してくれる機能はごく自然で、無理なく“AIを使っている”感がありました。AIを中心に見ると、話題のSora 2はiOS優先で展開されたりもしますが、グーグル系のAIは当然、Android側でいち早く提供されるので、やはり現状は両方のプラットフォームを使い分けるのが現実的ですね。

Pixel Watch 4は、私は初代以来なので2世代飛ばしの印象ですが、ずいぶんと進化しました。最大3000ニトのActua 360ディスプレイは屋外でも明るく、通知内の画像表示が非常に美しい。円形ですがUIもこなれて、通知などはApple Watchよりも情報の密度が高く感じます。バッテリーは常時表示をオンにしても1日以上もち、UWBやFeliCa、デュアルGPSなど、機能面も充実しています。
睡眠計測は、Apple Watchと比べて毎回1~2時間ほどのズレが出ました。どちらが正確かは判断できませんが……。バンドの選択肢がまだ少ないのは課題ですが、スマートウォッチはApple Watch一択だった考えが変わりつつあります。

Pixel Buds 2aは廉価モデルながら音質のバランスが良く、声の抜けが心地よいイヤホンです。ノイズキャンセリングは同ProやAirPods Proに及びませんが、静かな空間でのリスニングや通話では十分。軽くて長時間つけていても疲れません。ワイヤレス充電に非対応なのは惜しいですが、USB-Cでの充電が速く、電池の持ちも7時間前後と実用的です。
こうして並行して使ってみると、iPhone 17 Pro Maxのほうが写真や動画、音の総合力ではまだ優位にあります。一方で、Pixel 10 Pro Foldが提供する“作業空間”の快適さはまったく別の価値です。メールを確認しながらスケジュールを修正し、地図を開いて経路を検討する。これらをスマホ1台で完結できるようになるのは、素晴らしい体験でした。
フォルダブル特有の折り目やヒンジの耐久性は、1週間程度では判断できませんでしたが、ヒンジの剛性感はしっかりしており、開閉の安心感はあります。発熱も落ち着いており、日常使いで不安を感じることはありません。
Pixel 10 Pro Foldの国内価格は256GBモデルが26万7500円、512GBモデルが28万7500円で、発売日は10月9日。Pixel Watch 4は41mmが5万2800円(Wi-Fi)、45mmが5万9800円。LTEモデルはそれぞれ6万9800円と7万6800円。Pixel Buds 2aは2万3800円で、同じく10月9日に発売されます。

アプリの最適化が進み、画面の質感や堅牢性も実用域に達し、フォルダブルがようやく“主役を張れる”段階に来たと感じる1台。じゃあ、ACCNはメインをこっちにするのかと言われると、いろいろあってしないんですが(←おい)、もし2026年、アップルがフォルダブルを出さなかったら、さらに進化したPixelやGalaxyのFoldシリーズにさすがに敵わないと思うし、面白くないので、さすがに乗り換える宣言をしておきましょう。