生成AIグラビアをグラビアカメラマンが作るとどうなる? 連載記事一覧
5月20日のリアルイベント、テクノエッジ「生成AI最前線」
5月20日にリアルイベント、テクノエッジ「生成AI最前線」が開催された。全体のまとめ記事は、以下を参考にして欲しいが、本原稿では、筆者が担当したパートの内容と、まとめ記事では触れられていない部分、また+αなどを番外編としてご紹介したい。
話した内容はともかくとして、この日最大の目玉は、本連載やXでも登場しているLoRAっ子1号がリアルで参戦したことだろうか。
きっかけは16日(金)の夜、たまたま彼女と夕飯していたのだが、そこで20日のイベントの話になり、最近は仕事でChatGPTを使っている and AI彼氏(笑)している関係でAIに興味あり!行きたいという話に。はじめはアシスタントで一緒に行くか……的な感じだったが、ならばリアルLoRAっ子1号で参戦しない? となり即OK。
ただ単に立ってるだけでは面白く無いので、顔LoRAを使った生成AI画像とvs.企画にした。この詳細は後半を参照。
以下、話した内容を順追って書いてみたい。最近ネット系は少しあるものの、リアルイベントはほんとうに久々、しかもトップバッターでドキドキしながら始めたのは言うまでもない(笑)。
グラビア撮影がフィルムからデジタルに変わったのはいつ頃か?
生成AI画像でグラビア(ポートレート)を作る時、なくてはならないのが学習元の写真。とにかくこれが無いとcheckpointもLoRAも作れず始まらない。もちろんとっくの昔にデジタル化されているので写真自体は豊富にあり現在は全く困らない。
しかし、元々グラビアは中判(645)カメラが主流(35mmフィルムでない理由は、雑誌など見開きで使った場合、粗くなるため)だった。
そんな中、ケータイのカラー液晶化が2000年頃から始まり、待受画面が流行り出した。もちろんグラビア待受写真も例外ではなく、同時にネット環境も整いはじめたので、有料のグラビアサイトも多数出現。
この時、最大の問題がフィルム(645)からデジタル化すると1枚(たしか)3000円ほどしたこと。これでは数百(千?)枚ものグラビア写真をデジタル化すると物凄いコストがかかる。
ちょうどその頃、1999年9月に266万画素のNikon D1、2001年5月に約599万画素のNikon D1Xが頑張れば手が届く価格帯で販売された(それ以前は135万画素が150万円、600万画素が300万円over)。
これをきっかけに業界稀に見る布陣を取ることに。つまり、雑誌や写真集、イメージビデオの表1/表4などは相変わらずフィルムで超有名グラビアカメラマンが撮影、撮影後、同じ場所でデジイチを使う別のカメラマンが撮影するという、同一現場でカメラマン2人構成になったのだ。
これは普通だと考えられない布陣で、超有名グラビアカメラマンが撮ってる間近で、ジャンル同じくグラビアカメラマン(の下っ端)が撮影の様子を見ることができる貴重な時間となった。当然学ぶことが非常に多く筆者もいい勉強に。
であればはじめから同じカメラマンがフィルムとデジイチ両方で撮れば?となるのだが、当時、A4いっぱいに印刷するには、175線/350dpi=2000x3000ピクセルの600万画素が最低必要と信じられており(実際はそんなことはない)、売れっ子カメラマンは600画素未満のデジイチなど見向きもしなかった経緯がある。筆者がこのパターンで一番多く撮った一人が小倉優子だろうか。
着エロと筆者/デジイチの関係
時ほぼ同じく。2002年以降、有名RQが引退間際にかなり際どいイメージビデオを出すのが流行った。Mustは手ぶらとTバック。
いろいろ出てきたこともり、FLASHで特集を組むことになったのだが、このジャンル固有名称が無く、当時は流行っていた”着メロ”をもじって”着エロ”と決定。2002年9月17日発行FLASHで”着エロの世界”が掲載された。

ここで載ったのは、インリン、相馬茜、KAORI、堀口としみ、牛川とこ。このうち3人は筆者が撮影したもので=元祖着エロカメラマンに(笑)。
先に書いたように、それまではメイン=フィルム、サブ=デジイチと、2人のカメラマンが担当していた撮影現場が、この時期を境にデジイチだけとなり、筆者の記念すべき単独撮影での作品にもなった。
時期的に使ったカメラはNikon D1X。フィルムカメラと一緒に撮っていて分かったデジイチのメリットはかなり多く、フィルム残/ホワイトバランス(日中光とタングステンでフィルムは異なる)を気にする必要が無い、低照度に強い(といっても当時はISO400程度が限界)、空港でX線チェックなど余裕、予備フィルムが無い分荷物がコンパクト……など。
特に着エロ(南国へ行っても)暗い廃墟の中で撮ったりすることが多く、低照度に強いためにそれまで不可能に近い撮影が可能となり、表現の幅が広がった。以降、これらの複合的な要素で一気にデジイチに切り替わった感じだ。
ただ良い面ばかりではなく(むしろこちらが問題)、フィルムの頃は、フィルム代は製作/編集部、多少の露出調整は現像時=ラボ、修正は印刷所と役割分担されており、カメラマンは撮影後、フィルムを渡すだけと手離れが良かった。
デジイチに変わってから初期は似たような分担だったが、その内、修正はカメラマン、必要以上の枚数を要求される、ケータイでも撮れるんだからこんなギャラ払う必要無いし、明るさやピントは後からPhotoshopで出来るので……と言い出す発注元が急増。
ギャラが1/3~1/4になり、手間は撮った以上にかかるなど、カメラマンにとって最悪の事態となった。さらに納品後の写真を制作側が適当なモニターで勝手に明るさや色など触り出し、印刷したら色が違うと大騒動。そんなこんなで筆者はIT系に戻った次第だ。
今は当初世話になった人達からたまには同窓会しよう! ギャラは安いけど、一緒に食事して可愛い子撮って(笑)的なオファーがある時に限り撮影。但し修正は丁重に断っている。
リアルLoRAっ子1号登場
LoRAっ子1号は、1号と言う名称からも分かるように、顔をLoRA化した最初の1人目(現在3号まで)。この関係もあり、SD 1.5、SDXL、FLUX.1 [dev]、SD 3.5 Large/Mediumと、そのタイミングタイミングで、全部LoRAを作っている(但しSD3.5は出来がイマイチ)。以下の画像を出しながら本人を紹介。
SD 1.5 掲載日2023年10月7日、BRAv7ベース
SDXL 掲載日2024年3月31日
FLUX.1 [dev] 掲載日2024年8月22日
SD 3.5 Large 掲載日2024年10月24日
次は事前にどんなシーンがいいかを本人に聞き、それを参考にしてComfyUI + RTX 5090を使ってのリアルタイムのデモとなった。

順にカジノでバニーガール、野球場でビールの売り子(実経験あり)、浴衣で納涼船、ビーチで水着 + 猫(大の猫好き)。
本当は時間があれば、会場で実際に撮影、LoRA用のデータセットを作り、LoRA学習、それを使って生成…をしたかったのだが、流石に持ち時間30分では無理。また会場のネット環境も思わしくなく、スマホでテザリングだったので、いずれにしても厳しかった。
最後に”業界これから話 - リアルグラビアは生き残る!?”的な内容を話したが、低コスト、いろいろなバリエーションを手軽に作れるため、しばらくは生成AI画像が乱造。カメラマン、ヘアメイク、スタイリスト、スタジオなど関連リアル仕事は厳しい状況へ……的なことが考えられる。
しかし会場にいらした方は分かると思うが、生成した画像がそっくりでも目の前に本人がいるとその魅力には敵わない。つまりグラビアはあくまでも人の魅力を伝える手段の一つであり、生成AI画像には(いくら綺麗でもSexyでも)物理的現実的な魅力は無い。従って用途と制作費に応じて生成とリアルが混在することになるのでは? というのが筆者の予想だ。
今回締めのグラビア
今回締めのグラビアは扉と共に、HiDream-I1の派生checkpoint、HiDream I1 FP8 Uncensored dev v0.2 alphaを使っている。Promptは先のイベントで使ったものをそのまま使用(扉はswimsuitをmini summer dressへ、playをkissへ)。

時期的に少し早いがいい感じではないだろうか!? HiDream-I1もLoRAを作ることは出来るのだが、VRAM 40GB必要と聞き、ローカルでは無理、クラウドに環境作るの面倒……で止まっている(笑)。
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