Galaxy S25 Edgeのルーツを辿ると懐かしの変態端末を思い出す(スマホ沼)

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山根康宏

山根康宏

香港在住携帯研究家

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みなさんこんにちは、香港在住の携帯電話研究家、山根康宏です。サムスンからGalaxy S25 Edgeが登場しましたが、私にはこの「Edge」という名称に大きな思い入れがあるんですよね。

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サムスンで最初に「Edge」の名前を付けたモデル、それは今から10年ちょっと前、2014年9月に発売された「Galaxy Note Edge」でした。私はこのGalaxy Note Edgeを2年以上使い続けたほどのヘビーユーザーでしたが、使い勝手の高さからほかのモデルに移行しようとなかなか思えなかったほどです。
※当時の製品表記は「GALAXY」と大文字でしたが、ここではすべて現在と同じ「Galaxy」の表示にします。

Galaxy Note Edgeはサムスン初のエッジディスプレイを搭載したモデルでした。エッジディスプレイはディスプレイの側面を丸めた形状のもの。グループ内にサムスンディスプレイがあり、スマートフォン向けにも新しいディスプレイの開発を進めてた同社の最新技術にエッジディスプレイと名付け、それを初搭載したモデルというわけです。もちろん形状の意味だけではなく、スマートフォンに新しい使い方を提唱するという、Edge=尖った、最先端、という意味も込められています。

Galaxy Note Edgeは正面から見ると、エッジディスプレイになっているのは右側だけ。つまり左側は一般的なフラットディスプレイだったのです。左右非対称というだけでも十分変態養分を含んでいますが、この形状には意味がありました。

当時のスマートフォンは、通知をどのように表示するか各社がアイディアを絞っていました。主流だったのは手帳型ケースの上側に窓を設け、通知が来るとその部分に表示するというもの。スマートウォッチはまだ一般的な製品ではなく、初代の「Apple Watch」が登場したのはGalaxy Note Edge発売から約半年後の2015年4月です。

Galaxy Note Edgeは通知表示の改善を目指すべく、一般的な平らなディスプレイの側面をカーブさせました。そこに通知を表示したり、ウィジェットのようにニュースや天気の表示、よく使うアプリのショートカットアイコンなどを表示させることができたのです。つまりディスプレイを2つ繋ぎ合わせた構造なのです。

さらに手帳型のケースは、このエッジディスプレイ部分をカバーしません。カバーをしていても通知が見れる、そんな構造でした。

エッジディスプレイの機能はそれだけではありません。もっと変態的な機能があったのです。実はこの機能、私はよく使いました。それは「定規」。エッジディスプレイに正確なメモリが表示され、長さを計ることができたのです。この写真は実際に私が使っていたGalaxy Note Edgeです。カーブしたディスプレイなのでサイズを計りたい対象物にも当てやすく、展示会で何かの製品を見たときに簡易的にサイズを計るためによく使いました。

このように機能性が考えられたエッジディスプレイですが、実はスマートフォンの進化の過程で生まれた構造でもありました。当時はスマートフォン新機種が登場するたびにディスプレイサイズも徐々に大型化。片手ではだんだんと持ちづらくなっており、握りやすい形状として側面を曲面化したエッジディスプレイが生まれたわけです。

その後サムスンはエッジディスプレイを本格的に採用し、左右どちらも曲面とした「Galaxy S6 Edge」を皮切りに標準化させていきました。それに合わせるように他のメーカーの採用も相次ぎます。

昨今は大型モデルに多くの人が慣れたこともあってかエッジディスプレイの採用は減っています。現在ではEdgeの名称はモトローラの「moto edge」シリーズのほうが馴染みの存在になっているでしょう。

初代Edge製品、Galaxy Note Edgeをこうして振り返ってみると、Galaxy S25 Edgeという名称もただ薄さをアピールするのではなく、スマートフォンデザインに新たな潮流をもたらした革新性や先進性を強くアピールしたいという意図が読み取れます。そもそも安易にSlimというネーミングや、アップルを連想させるAirを付けることはないでしょう。スマートフォンの新しい価値観を提案するモデルとして、Galaxy S25 Edgeという名称はベストなものだと思います。

《山根康宏》

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