NTTソノリティの新ブランド「cocoe」、世界初のオープンイヤー型集音器「cocoe Ear」を12月23日からクラファン開始

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山本竜也

20年務めた会社を辞めて、ガジェットなど好きなことをブログなどに書いて生きています。

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NTTソノリティは12月3日、新しい“聞こえ”を提供する新ブランド「cocoe(ココエ)」を発表しました。その第1弾製品として、「世界初」をうたうオープンイヤー型の集音器「cocoe Ear(ココエ イヤー)」を開発。12月23日(火)よりクラウドファンディングサイトGREEN FUNDINGにてプロジェクトを開始します。

聞こえづらさによる社会的孤立を防ぐ新ブランド

cocoeは、加齢や生活環境によって生じる聞こえづらさに寄り添い、誰もが自分らしく会話や音を楽しめる社会の実現を目指して生まれたブランド。国内では推定1430万人が難聴を抱えているとされ、聞こえづらさは認知症リスクや社会的孤立など、生活の質を左右する社会課題にもつながっているとのこと。

NTT常務取締役の大西氏は発表会で、「聞こえづらさは70代以上の問題ではなく、50代では10人に1人が難聴または難聴かもしれないと思っている。誰にでも訪れるライフステージの変化だ」と指摘。聞こえ方の課題が持つ社会的重要性を強調しました。

▲NTT常務取締役 大西氏

一方で日本における補聴器の普及率は約15%と、欧米の50%近い水準と比べて極めて低くなっています。「煩わしい」「それほどひどくない」といった心理的抵抗や、経済的な理由から十分に利用されていないのが現状です。

NTTの音響技術とオープンイヤーのノウハウを融合

cocoe Earは、NTTが長年の音響研究で培った特許技術と、NTTソノリティがこれまで開発してきたオープンイヤー型イヤホンのノウハウを融合して開発されました。従来の耳穴をふさぐ集音器とは異なり、閉塞感や圧迫による不快さ、自分の声のこもりが生じにくく、長時間装着しても快適に使える軽量で開放的なデザインを実現したとしています。

NTTソノリティ代表取締役の坂井氏は、「オープンイヤーの開発をずっと続けてきた当社として、今のアクティブなシニアに向けた新しい聞こえの選択肢を届けられないか。そんな問題意識から今回の挑戦が始まった」と開発経緯を説明しました。

▲NTTソノリティ代表取締役社長 坂井氏

ハイブリッドで自然な聞こえ

加齢によって高い音は聞こえにくくなるものの、低い音は比較的聞こえが維持されるという聴覚特性に着目し、聞こえる音はそのままに、不足する高い音をデバイス側で増幅して補う「ハイブリッド」な聞こえを実現。これにより、閉塞感や自分の声がこもる不快さを解消し、自然な音質と快適性を両立しています。

オープンイヤー型は構造上、音漏れやハウリングが発生しやすいという業界の定説があったとのこと。cocoe Earは、NTTの特許技術である音空間技術「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)」を活用した音響設計を搭載。音の打ち消し距離を精密に制御することで、音漏れを抑制しながら、高性能チップとソフトウェアによるハウリング抑制機能と組み合わせることで、自然な聞こえと装着感を両立したとのことです。

また、直接耳に届く音と、デバイスが増幅して届ける音との時間差(レイテンシー)が長いと、音が二重に聞こえるような違和感が発生しますが、cocoe Earは高性能チップを採用することで、この遅延を0.0025秒まで大幅に低減しています。これにより、直接音と増幅音が自然に調和し、より良い音質を実現したとしています。

装着感や使用感にもこだわっています。片耳わずか約10gという一般的なメガネよりも軽い設計を実現。耳にかけるだけで起動し、初期設定は不要でスマートフォンを持たない方でも直感的に操作できるとのこと。ボタン一つで集音機能のON/OFFができ、ワイヤレスイヤホンとしても使用可能です。

開発では50名以上のユーザーの声を反映

製品開発では、50代以上の聞こえに課題を持つ約50名にヒアリングを実施。「テレビの音が聞こえにくい」「スマートフォン操作が難しい」といった悩みを丁寧に拾い上げ、生活の中で自然に使えることを徹底的に追求したとのこと。

cocoeプロダクトマネージャーの中野氏は、「聞こえの課題は、データだけではわからず、生活の中の困りごとにその本質がある。操作性や装着感、デザインに至るまで幾度もテストを重ねた」と語りました。

実際の開発過程では、スピーカー位置やフックの形状など、装着感を最適化するため様々な耳型で検証を実施。中野氏自身も「cocoeをつけて仕事をして帰宅したとき、虫の声がよく聞こえるなと思ったら、装着していることを忘れていた」というエピソードを紹介し、つけ心地の良さを強調しました。

▲cocoeプロダクトマネージャー 中野氏

テレビ用トランスミッター「cocoe Link」も同時展開

多くのユーザーから寄せられた「テレビの音が聞こえにくい」という声に応え、テレビ用ワイヤレストランスミッター「cocoe Link(ココエリンク)」も同時に展開します。販売予定価格は1万500円。

テレビのヘッドホン端子にケーブルを差し込むだけで接続でき、cocoe Earの充電ケースとケーブルで接続しボタンを押すだけで設定が完了します。また、cocoe Linkにマイクを搭載しているので、ヘッドホン端子に接続しなくても、テレビの近くに置いておくだけでも利用できます。ヘッドホン端子に接続するとテレビから音が出なくなってしまう。テレビの設定で対応できるが、その方法が分からない。そうしたユーザーにも配慮したとのことです。

このほか、Auracastに対応しており、テレビの音声を複数のcocoe Earに同時に配信することが可能。オープン設定にしておけば、cocoe Ear以外のAuracast対応機器でも利用できるとのことです。

クラウドファンディングと店頭展示

クラウドファンディングは12月23日から2026年2月15日まで実施。cocoe Earは最大30%オフ、cocoe Linkとのセットは最大35%オフのリターンが用意されます。販売予定価格は3万9600円で、カラーはホワイト、ベージュ、ブラックの3色展開。

バッテリー持ちは約8時間 (音楽再生時、集音機能時間含む)。対応コーデックはSBC、AAC、LC3、CVSD、mSBC。

製品は二子玉川の蔦屋家電+、SHIBUYA TSUTAYA 4階のGREEN FUNDING「TOUCH&TRY」ブース、福岡天神 蔦屋書店で12月23日から2026年1月22日まで体験可能。

また、12月3日よりドコモショップ丸の内店、札幌店、六本松店で、cocoe Earを使用した店頭応対トライアルを実施。来店者が実際に装着・体験しながらスタッフと会話できる機会を提供し、聞こえに課題を抱える方々が安心してコミュニケーションをとれる店舗環境を整備するとのことです。

《山本竜也》

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