AIキーが追加された「razr 60 ultra」 4.0インチ外画面とLook & Talkで縦折りスマホの活用範囲が広がる(石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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KDDIが、12月12日にモトローラの「razr 60 ultra」を発売します。同モデルは、大手キャリアではauが独占販売。MVNOではIIJmioが取り扱うことが表明されています。auからモトローラ端末が登場するのは実に13年ぶり。他社との差別化も含め、最上位モデルの販売を行います。

▲モトローラの最上位モデルとなるrazr 60 ultraが登場。大手キャリアではKDDIが独占的に販売する

発売済みのrazr 60とは異なり、razr 60 ultraはスペックもフラッグシップモデル級に高めています。チップセットにはクアルコムの「Snapdragon 8 Elite」を採用。ストレージが512GB、メモリが16GBと、モリモリのスペックになっている折りたたみ型スマホです。背面カメラ2つと前面カメラの計3つを5000万画素で統一している点も、ベースモデルのrazr 60との違いになります。

グローバルではカラバリというより素材バリが展開されているrazr 60 ultraですが、日本に導入されるのは背面にアルカンターラを採用したモデル。スウェードのようなさらさらとした手触りが気持ちよく、ケースをつけずに使いたくなります。ガラスのように落下で割れてしまう心配がないのも、この素材のいいところと言えるでしょう。

▲背面にはアルカンターラを採用し、高級感を高めている

モトローラはrazr 60の展開に合わせて「moto ai」を日本語化しており、録音を文字起こし、要約する「おまとメモ」や、通知を要約してくれる「とりまリスト」の搭載が始まりました。razr 60 utlraにも、これらの機能は受け継がれています。一方で、処理能力が高いultraならではのAI関連機能も用意されました。

▲文字起こし&要約が可能なおまとメモに対応

1つ目が、AIを呼び出すための専用キー。2回押しや長押しに、各種AI機能を割り当てることができます。実機を確認したところ、moto aiに加え、イラストを生成する「イメージスタジオ」や、モトローラが提携している「Perplexity」を設定可能。ボタンは左側面に搭載されており、電源キーや音量キーと間違える心配もありません。

▲側面にAI専用のキーを搭載する

▲AIキーには、moto aiのほか、イメージスタジオやPerplexityを割り当てることも可能だ

razr 60 ultraは、閉じたときのアウトディスプレイが4.0インチと大型。AIキーをダブルクリックもしくは長押ししてAIを呼び出し、話しかけて結果を画面に表示するといった使い方をする際に、端末を開く必要がありません。端末を開くのは、SNSや動画視聴、ブラウジングなど、画面を注視する必要がある機能を使う時だけで済んでしまうというわけです。

▲端末を閉じたまま、サッとAI機能を呼び出せるため、使い勝手がいい

もう1つの折りたたみならではのAI機能が「Look & Talk」。これは、端末の顔認証とAIを組み合わせたもの。本体をテント型もしくはスタンドモードにした状態でユーザーを検知するとAIが起動し、話しかけると答えが返ってきます。これぞまさに折りたたみならではのAIといった格好で、ユーザーが能動的に端末に触れ、能動的にAIを呼び出す必要すらなくなってきます。

▲置いた状態でユーザーの顔を検出すると、アウトディスプレイの周囲が輝く

置きっぱなしで、音声操作で使えるという意味では、スマートスピーカーに近い存在と言えそうです。開くとタブレットサイズになる横開きのFold型端末の場合、折りたためることのメリットが訴求しやすかった一方で、縦折りのフォルダブルはコンパクトになることやデザイン性以外の売りに欠けていた印象もありました。

これに対し、Look & Talkのように置いた状態でAIを使えるのは、縦折りのフォルダブルスマホならでは。半開きの状態で置くと外側のディスプレイが机やテーブル側に接してしまう横折りのフォルダブルスマホではできなかったことです。アウトディスプレイとカメラが同じ面に搭載されている縦折りフォルダブルスマホのメリットが、AIによって高まった格好です。

▲▼そのまま話しかけると、AIが音声と文字で回答を返してくれる。アウトディスプレイとカメラを同じ面に備えた縦折りフォルダブルならではの使い勝手だ

また、処理能力が高まったことで、浮いた状態の人やペットなどの一瞬を捉えられる「アクションショット」や、集合写真で全員がバッチリの顔になるよう合成する「グループショット」にも対応しています。いずれの機能も、ベースモデルのrazr 60は非対応だったもの。7月に発売された「motorola edge 60 pro」に搭載されていたのと、同等のカメラAIを備えています。

▲処理能力が上がり、razr 60にはないAIを使ったカメラ機能にも対応している

フォルダブルスマホというと、真っ先に思い浮かぶのはサムスン電子のGalaxy Zシリーズかもしれませんが、こと縦折りに関してはモトローラが奮闘しています。上記のように、「AI×縦折り」で新たな使い方を訴求できているのはもちろん、アウトディスプレイで基本的にすべてのアプリを起動できるのもGalaxyシリーズとの違い。閉じたときの使い勝手を、より洗練させているのはモトローラというわけです。

実際、カウンターポイントリサーチが公表しているフォルダブルスマホの出荷台数調査では、モトローラが25年第2四半期(4月から6月)にファーウェイに次ぐ2位に浮上。3位のサムスン電子を大きく突き放しました。

調査期間が「Galaxy Z Fold7/Flip 7」の発売直前だったことは割り引いて受け止めなければならないものの、縦折りオンリーのラインナップでもモトローラがサムスンの強力なライバルになっていることは見て取れます。moto aiの対応によってrazrの新たな魅力が開拓されている感もあり、その強さにはますます磨きがかかっていると言えそうです。

《石野純也》

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