作曲AIが新時代に突入。SunoがMIDI出力とマルチトラック編集(DAW)に対応、Tuneeは6曲同時生成で一般公開(CloseBox)

テクノロジー AI
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

9月26日、AI作曲サービスのSunoとTuneeがそれぞれ新機能を発表しました。Sunoは待望のDAW内蔵とMIDI出力を、これまでクローズドベータだったTuneeは一般公開を始め、1つのプロンプトから3つの歌詞・音楽スタイルをそれぞれ2曲ずつ、合計6曲を同時に生成できるようになりました。

SunoはDAW機能搭載、MIDIエクスポートも対応

まずSunoから解説します。Sunoは音楽制作ソフトの中でもトップレベルの分解能を持ったSTEM分離機能を持っていますが、それをマルチトラックの状態でエディットできるようになりました。予告されていたSuno Studioで、いわゆるDAW(Digital Audio Workstation)機能です。

Sunoで生成した楽曲、またはオーディオインポートした楽曲をSTEM分離し、そこからEdit in Studio開くと、マルチトラックのDAW画面に変わります。

それぞれのトラックはピッチやテンポを変更できます(もちろん全体でも)。

ただし、現状でDAW機能にはMIDIやソフト音源は入っておらず、単にマルチトラックで一覧できる以上のメリットがありません。トラックを追加してオーディオトラックから入力しようとしましたが、これも筆者の環境では録音できない状態(オーディオインタフェースやマイク入力の認識はする)。

追記:プロジェクトを変更したら録音できるようになりました。ブラウザ上で動作しているからなのか、不安定なようです。

X上で指摘してもらったのですが、新規トラックに楽器を「生成」できるのは面白い機能です。コンテキスト(リズムやコード)を理解した上で演奏してくれるので、スタジオミュージシャンを追加できる感じ。

範囲を指定してStyleのところに「Hammond Organ」と入れたら、Hammondのバッキング演奏が入ってました。これはすごいですね。

実装が洗練されていくのはまだまだですが、これはこれまでなかった機能なので、期待大です。

また、STEM分離で従来のMP3、WAVに加えてMIDIがエクスポートできるようになりました。

うまく分離できたドラムや鍵盤楽器では非常に便利です。

これまではSTEM分離した後でMIDI化ができるツール(Melodyneなど)を使うしかありませんでしたが、一応ちゃんと動きます。

ただし、これもまだ開発途中のようで、例えばギターでは必須となるピッチベンドのコントロール情報は入っておらず、限定的にしか使えません。

それと、v5になって気づいたのですが、STEM分離のときにボーカルにノイズが混ざってしまう問題が発生しておりちょっと困っています。全般にというわけではなくところどころなのですが。

Sunoのボーカル分離はリードボーカルとコーラスが分離できて便利なので、改善に期待したいところです。

いろいろと不具合はありますが、MIDI対応、DAW内蔵の第一歩ということで、まずは拍手を贈りたいです。現在はPremierユーザーのみですが、Proユーザーの手に渡るときには問題がフィックスされることを希望します。

Tuneeがついに一般公開

Producer(旧Riffusion)と並び、対話形式で楽曲を生成できるTuneeが、ついに一般公開されました。筆者はクローズドベータで試し、その柔軟さと楽曲の出来の良さに注目していましたが、9月26日から誰でも使えるようになっています。日本語にもフル対応です。

ベータ版の時からさらに進化しており、スマートフォンからもアクセスできるモバイルビューに対応しています。

ベータ版のときには、こちらからのプロンプト指示に対し、3つの提案をしてきて、そのうちの1つを選ぶというやりとりをしていたのですが、一般公開版からは第4の選択肢が選べるようになりました。

全部入り。つまり、提案された3種類の楽曲スタイルを全てまとめて生成するという選択肢です。これらは音楽スタイルだけでなく、歌詞も異なります。それぞれ2曲ずつ作られるので、第4の選択肢にすると、合計6曲が一挙に出来上がることになります。初回は途中失敗するところもありましたが、だいたいはうまくいってます。

Tuneeは対話形式でミュージックビデオを作ったりできますが、アルバム全部を一度に作れといった無理難題はやんわり断られます。

しかし、6曲一度に作られると、その中に名曲は生まれがち。今回も1曲目で驚くほど壮大なバラードができてしまいました。

歌詞の間違いが2箇所ほどあったので、それはSunoに取り込んで修正。Sunoはこういうときに便利です。Tuneeに読み間違いの指示をしたら、そのフレーズで別の曲を作ってしまいました。

参考のため、Sunoでも同じ歌詞、同じプロンプトで生成してみましたが、こちらもいい曲ができました。

歌詞の読み間違いは同じくらいですね。こちらも修正したものです。

これからはSunoとTuneeがAI作曲の新時代を切り拓いていく気がします。

《松尾公也》

松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

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