OpenClawも不要。完全ローカルで動くエージェンティックAIを非プログラマー(俺)が開発できる時代。しかも自分で機能追加して育成できるのだ(CloseBox)

テクノロジー AI
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

AI研究家の友人、清水亮さんから、エージェント作らないか、というお誘いがありました。エージェントにならない、ならわかります。スパイになれってことですよね? 違うの?

OKすると、シラスという動画プラットフォーム上で清水さんが開講している「教養としてのAI講座」の特番が建てられました。

ちなみにこのAI講座は月額3万6300円と比較的高価ではありますが、毎日清水さんによるAIニュースの実践的解説があり、このような講座もあるという、AIに関わる人間にとっては有用この上ない番組。筆者はスタートした2年前からサブスクしています。

【非エンジニア】自分専用エージェンティックAを作ろう!講座【還暦ハンズオン】

と題したこの講座の概要は、

自分専用のエージェンティックAIを作ってみたい!
そんなあなたのための特別授業を開講します
生徒役はお馴染み還暦AIアーティストの松尾公也さん。
プログラミング経験ゼロの松尾公也さんと一緒に、
Macで動くAIエージェントの作り方を1から学びます。
これで君もエージェンティックAI開発者になれる!?

というもの。これは責任重大。

実際は還暦どころではなくて、さらに6年を経た、働く年金受給者なんですが。AIを日々触ってはいるものの、プログラムは一切書けない非エンジニアなのは本当。

2時間でエージェンティックAIを作るのだ

そんな自分が2時間以内でまともに動作するエージェンティックAIを作らなければならないのです。

エージェンティックAIといえば、Clawdbot改めMoltbot改めOpenClawで有名になった一種のAI。


Geminiによる定義は、

Agentic AI(エージェント型AI)は、人間の指示を待つ従来のAIとは異なり、目標達成のために自律的に思考・計画・行動する次世代AI技術です。LLM(大規模言語モデル)を基盤に、タスクを分解し、外部ツール(検索、メールなど)を使って複雑な業務を自動で実行する能力を持ちます。

という、わかったようなわからないような。要するに、LLMを拡張して、さまざまな目的を手軽に遂行してくれるというものでしょうか。自分のPCでローカルLLMを動かしたその先の未来ということで、まあ便利そうです。

現在、ローカルLLMはPCだけでなく、スマートフォンでもある程度使えるものが動作できるようになっていますし、gpt-oss登場を契機にその性能もかなり向上しています。

エージェント的役割をしてくれるAIということだと、AppleのSiriやAmazonのAlexaがそうだし、コンセプトとしてはジョン・スカリー時代のKnowledge Navigatorがそう。

それらと、これから作っていこうというエージェンティックAI(長いのでAAIと略すことにする)はいったいどこが違うのか? ChatGPT、Gemini、Claudeに代表されるチャットインタフェースを持つLLMとはどこが違うのか?

番組ではこうした疑問に清水さんが一つひとつ解説する一方で、AAIを実際に作ってみようぜ、簡単だから、と筆者(66歳の非プログラマー)が実践の場に放り込まれたのです。

これまでClaude Artifactsで、簡単なプロンプトのやり取りでプログラムを作ったり、pip installほにゃららみたいな呪文をコピペしたりChatGPTに聞いたりしながら改良したりといったことはやってきましたが、コード自体は書いたことがありません。簡単なAppleScriptくらいですかね。

番組の冒頭30分は無料で視聴できます。

結論からいうと、筆者は2時間もかからず、実質30分で自分専用AAIを開発できました。

▲「AIニュースを検索して」で、リアルタイムでニュースを拾ってくることに成功

昨年購入してつい先日型落ちマシンとなってしまった(M5 Max MacBook Pro登場のせい)、MacBook Pro(Unified Memory 128GB、M4 Max)をフルに活用できる、俺専用の「mazzai」というAAIができたのです。

内部ではOpenAIのオープンソースLLMであるgpt-ossをollamaが動かしていて、チャットインタフェースでニュースを検索したり、計算をさせたり、さまざまなことが可能です。

ただ、できることはそこにとどまりません。機能を拡張していくことができるのです。

非プログラマーが初めて体験するClaude Code

というのも、開発に使っているのはAnthropicの開発環境であるClaude Code。自分のストレージ内の作業ディレクトリを指定し、チャットで大雑把な指示を出したりYes、Noを選択していくだけでプログラミングができるという仕組みです。

非プログラマーな自分には無縁と思ってこれまで触っていなかったのですが、ローカルAAIの開発にはこれが必要ということで、清水さんに言われるまま、Macのターミナルを使ってインストール。

XcodeやVisual StudioといったIDEとは違って、そんなにこわくない感じでした。

その前に、LLMのチャットインタフェースとなるollamaと、LLM(gpt-oss)を組み込むために、清水さんが開発したSuzakuというプログラムを走らせます。LLMのコンテキスト拡張とDockerのインストールも自動で実行してくれます。

この辺りは、清水さんのnote記事「自家醸造 AgenticAIを作ろう!講座」に詳しく書かれているので参照してください。

そのあとはどうしたかというと、Claude Codeにさらなる要望を出して、mazzaiを機能アップしています。

gpt-ossで以前作った妻のボイスクローンによるAIアバターシステムでできていたことを実装していきます。


ボイスクローンTTS、画像生成も機能追加

最初にClaude Codeが組み込んだボイスクローンTTS(Text to Speech)は日本語をうまく発音できなかったので、以前使ったXTTSというTTSに切り替えて実装。

Claude Codeが実際に発音させてみせて、数字だけが読み上げできないなどの不具合を修正しながら、最終的にはちゃんと妻の声で日本語を話せるようになりました。

以前のやり方だと完成前に心が折れていたでしょう。実際、昨年8月のプログラム完成後は、うまく改良ができずにいました。

このあとは、どのように話してもらいたいのか、知識ベースをどのように増やしていくかも思い通りに拡張できます。なんという自由。

画像生成AI(Z-Image-Turbo)もインストールしました。M4 MaxなのでNVIDIA GPUと比べると遅くはありますが、なんでもできます。

リリースされたばかりのLTX-2.3をインストールして、動画生成も可能になりました。


心の自転車

番組中では30分で目標達成したので、それ以降はエージェンティックAIとはなんぞや、これから世の中はどのように変わっていくかといったことを清水さんが次々と解説していきます。

心に残ったのは、

Agentic AI is new "Hello, World"

Limit is only your imagination

という2つのフレーズ。エージェンティックAIはプログラミングにおける、新たな第一歩となるし、その限界は自分自身の想像力次第でいくらでも広げられます。

そして、Bicycle for the Mind。知的自転車として訳されることが多い、スティーブ・ジョブズによるMacintoshのコンセプト。

エージェンティックAIは、新しい時代の「心の自転車」なのかもしれません。それを動かすプラットフォームがMacintoshというのもにくいですね。

3月11日に届くことになっているMacBook Neo(キーライム、じゃなかった、シトラス)にも専用のAAIを組み込んで、どんなことができるのか試してみようと思います。


NVIDIA GeForce RTX 4090を搭載したWindows PC、DGX Spark互換機にもAAIを入れる予定です。

それぞれの強みを持った複数のAAI同士が通信しあったり、オーケストレーションできるようになったらどんなことが可能になるでしょうか。

Claude Codeも不要に?

……とここまで書いて、そろそろ記事を公開するかと思っていたら、「教養としてのAI講座」サブスクライバー向けDiscordで、清水さんの新しいGitHubプロジェクトが公開されていました。

Mubo(無貌)。Local LLM Bootstrapper。これがあれば、Claude Code不要でエージェンティックAIが作れるというのです。な、なんだって~!

完全ローカルのエージェンティックAIを作るのに、商用クラウドAIであるClaude Codeを作るのはなんだかなーと清水さんが話していたのですが、翌日にはあっさりClaude Code不要の仕組みを作ってしまうとは……。

DGX Spark互換機であるASUS GX10にインストールしているところです。

そして、あっという間にできてしまいました。自分のDGX Spark互換機で完全オリジナルのエージェンティックAIが動いているのです。

いやはや、すごいスピードで物事は進んでいますね。二人のスティーブ(ウォズとジョブズ)、キャプテン・クランチなどが集ったパーソナルコンピュータ登場時の会合に近い熱量が生まれようとしているのを感じます。まさに、Home Brew Agentic AI Club開催にふさわしい時が来たと言えるでしょう。

《松尾公也》

松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

BECOME A MEMBER

『テクノエッジ アルファ』会員募集中

最新テック・ガジェット情報コミュニティ『テクノエッジ アルファ』を開設しました。会員専用Discrodサーバ参加権やイベント招待、会員限定コンテンツなど特典多数です。