Suno一強、あるいはUdioを含めた二強体制が続くAI音楽生成の世界で、筆者が「第三極」として期待を寄せ続けてきたサービスがありました。それが「Producer.ai」です。
かつて「Riffusion」と呼ばれていたこのサービスは、2025年8月に「Producer.ai」にリブランドし、AIプロデューサーと音声で対話しながら曲を作るという、他にはない体験を提供してくれました。

そのProducer.aiに、激震が走りました。2月24日、Google Labsへの参加が発表されたのです。

NotebookLMで発表内容をまとめると、
Google Labsに新しく加わったProducerAIは、最先端の人工知能を活用して音楽制作を支援する革新的なプラットフォームです。このツールは、歌詞の生成からメロディの微調整、さらには全く新しい楽器の創造まで、あらゆるレベルのクリエイターが直感的に操作できる機能を提供します。Google DeepMindが開発したLyria 3などの高度なモデルを搭載しており、プロ仕様の音質と細やかな制御を両立させています。著名なアーティストとの連携を通じて開発されたこの技術は、人間の創造性を拡張し、音楽表現の新たな可能性を切り拓くことを目的としています。ユーザーは無料版または有料版を通じて、自分だけの楽曲や映像コンテンツを世界中で自由に制作することが可能です。
となります。Producer.aiではなく、ProducerAIと記載されているので、これからはそう表記します。
実は2月21日、ProducerAIのDiscordコミュニティで「FUZZ-3-Demo」という新しいモデルが紹介されていました。FUZZは同サービスのAIモデルの伝統的な名称なので、そのアップグレード版だと思っていました。
運営チームのgreyplains氏は、これを「Producerにおける全く新しい世代のモデルの最初の味見」と表現する一方で、一方で、長さは3分に制限され、ラップやパンクといったジャンルにおけるボーカルのタイミングや発音の品質には課題があるなど、まさに開発途中のβ版と説明。
週明けの2月24日、「FUZZ-3-Demo」は、Googleの最新音楽生成モデル「Lyria 3」のプレビュー版(の初期ビルド)だったことが明かされました。
Googleは2月18日に、Gemini上でのLyria 3による楽曲生成を公開したばかりです。Gemini版はチャットで手軽に日本語の歌を作れるのが魅力ですが、尺は30秒に制限されており、その枠内で必ず完結するという、「お試し」的側面が強いものでした。
対して、新生ProducerAIは「Lyria 3のフル機能を試せる唯一の場所」という位置づけになります。Google Labsのブログによれば、Producer.aiではLyria 3を使って、テンポや歌詞のタイミングといった細かいパラメータ制御が可能になるようです。この辺りはSunoと同等機能ということになります。Geminiでライトに楽しみ、ProducerAIでプロフェッショナルに作り込む、という住み分けが見えてきました。
「SunoやUdioとは違う」独自の進化へ
Google傘下となったことで、いくつかの仕様変更も判明しています。
まずは権利関係。Googleの生成AI利用規約に基づき、生成されたコンテンツの所有権はユーザーにあり、Googleが著作権を主張することはないと明言されました。
一方で、これまでのProducerAIにあった「Cover」や「Replace」といったリミックス機能の一部は一時的に利用不可となっています。その代わりとして導入されたのが「Modify」ワークフローです。これは、有機的で自由なプロンプトを通じて曲を反復的に作り上げていく新しい手法です。
曲の長さ制限が一時的に3分に短縮されるなどの後退も見られますが、これは新しいモデルファミリーへの移行に伴う調整のようです。SynthIDのウォーターマークが入っているのはLyria 3なので当然ですが、利用規約ではユーザーの学習データが利用されるという条件も課せられています。
フルバージョンLyria 3をチェック
Geminiで触るLyria 3の出来には不満しかなかったのですが、ProducerAIでフル機能を使ってみて、その出来栄えをチェックしてみます。
筆者は月額8ドルのStarterプランに加入していますが、無料プランも用意されています。

新規ユーザーは200クレジットが付与されます。

ProducerAIはテキストチャットまたは音声対話でインタラクティブにやり取りをしながら音楽を作っていく仕組み。歌詞を与えるだけでも作ってくれます。
まず、「J-POPを」とチャットスペースに書き込んだらいきなり作り始めました。日本語変換のEnterでチャットが送り出されてしまいました。あるあるだ。
でも、曲ができてしまったので、そのまま進めて、「渋谷系にしますか?」と提案されるままに出来上がった曲はまあまあ。
ですが、SunoやMurekaと比較できるように同じ歌詞で曲を進めていくと、これはLyria 3のせいなのか、だいぶ劣化していることが判明しました。
まず、日本語の歌詞をまともに発音してくれません。メロディーをメロジーと歌ったり、散々です。

たしかに音質はクリアなのですが、コード進行もメロディーもありきたりというか、素人かという感じです。
「君はこれまでどんな音楽を聴いてきたの?」とか問い詰めたくなる出来です。これがLyria 3の実力?
このほかにも、歌詞をうまくメロディーに当てはめられず、同じフレーズを繰り返したりで、Sunoの初期でもそんなことしないぜ3年前かよみたいなレベルでした。
Gemini版Lyria 3は30秒という制限のおかげで誤魔化せていたけど、フル楽曲ではボロが出てしまうのでしょうね。
学習データが悪い、もしくは不足しているのか、モデルに欠陥があるのか。これは相当に改善しないと有料サブスクの価値はないと思います。
言い換えれば、Google謹製の音楽エンジンを作ったものの、そのままでは使い物にならないので、経験のあるProducerAIのチームに改善させようという意図なのでしょう。
これまでのProducerAIユーザーにとっては劣化でしかありませんが、チームの頑張りに期待しておきましょう。
唯一の取り柄は、ミュージックビデオ作成機能でしょうか。3600クレジット(月額8ドルコースで得られるクレジットは3000)かかりますが、2分のミュージックビデオ生成が約1時間でできるのは面白いです。テイストには好き嫌いあると思いますが、一応、ディレクションはできます。








