先週開催されたGoogle I/Oの話をしたいところですが、その前に、Googleは新型トラッカー「Fitbit Air」と新フィットネスアプリ「Google Health」を発表したので、今回のGoogle Talesはそれらを少し使ってみての感想文です(Fitbit Airの一般発売は5月27日です)。
余談ですが、Google I/O基調講演の登壇者はほぼ全員、腕にFitbit Airを巻いておりました。ピチャイさんは長袖だったので不明ですが。

▲左から、Google DeepMindのデミス・ハザビスCEO、Googleのマーケティングトップ、ヴィジャヤ・スリニヴァサンさん、Google LabsとGeminiの上級副社長、ジョシュ・ウッドワードさん
私は「Pixel Watch」の歴代シリーズをずっと装着してきているので、機能限定のFitbit Airはいらないかなぁと思ったんですが、日中はPixel Watch 4を使いつつ、スリムで画面の付いていないFitbit Airを就寝専用で使ってみることにしました。
■Fitbitブランドはかろうじて残るけど、アプリは消えます
GoogleによるFitbit買収が完了したのは5年前、2021年のことでした。久しぶりに出した新トラッカーに、まだFitbitという単語を冠していることにちょっと驚きましたが、長年Fitbitを使っているユーザーへの配慮なんでしょうか。それでも、アプリの方はついに「Fitbit」という単語は消え、次のアップデートで「Google Health」という名称になります。Fitbit Premiumに加入して早期アクセスユーザーになっている私のアプリは既にGoogle Healthになっており、ペパーミントグリーンのFitbitのロゴは、なくなってしまいました。

▲FitbitアプリはGoogle Healthアプリに
そもそも「Fitbitアプリ」がどういう存在だったのかを、ちょっとおさらいしておきます。
Fitbitは、まだウェアラブルという言葉が一般的になる前から世界中の人々の腕に巻かれてきた、健康管理トラッカーの元祖ともいえる存在。そのデータを集約する「Fitbitアプリ」は、歩数や睡眠、心拍数などのバイタルデータを、見やすいグラフでシンプルに可視化するプラットフォームとして、長年多くのファンに愛されてきました。
2021年にGoogleがFitbitを買収して以降も、Pixel Watchのヘルスケア機能の頭脳として、その裏側でずっとデータを支え続けてきたのは、このFitbitの仕組みでした。
これがGoogle Healthになるということは、単なる名前の変更ではなく、GoogleがFitbitのDNAを完全に自社の中へ取り込み、次のステージへ進むための大きな転換点なのだ(とGeminiくんが言っています)。
ちなみに、2014年のGoogle I/Oでデビューしたヘルスケアプラットフォーム「Google Fit」 のアプリはまだ生きてます。2024年のコラムでFitbitアプリと統合されるといいなぁと書いたんですが、そうはなりませんでした。

▲この子の運命やいかに
■Fitbit Airとは?
Fitbit Airの一番の特徴はディスプレイがないことです。これまでもディスプレイのないトラッカーは他のメーカーからいくつか発売されていますが、Fitbitシリーズとしては初めて。
本体の厚みは8.3mm、重量は5.2g。Pixel Watchを使い始める前に使っていた「Fitbit Luxe」より約25%小さく、20%軽量化されています。 そして、ついにiOSにも対応しました(という話はたぶん、松尾さんが書くと思います)。

▲なつかしのFitbit Luxe(左)とFitbit Airの箱
画面がない代わりに、本体をダブルタップするとステータスライトが光り、バッテリー残量などを知らせてくれます。時計機能もプッシュ通知機能もないですが、目覚ましなどのアラームの設定はできます。本領を発揮するのは、心拍数や睡眠ステージ、血中酸素飽和度(SpO2)、不規則な心拍リズムの通知機能などのヘルスケア機能です。
そして、自分の声が届いたのかも~と思ったのは、付属しているバンドが、お馴染みのシリコン製ではなく、ナイロン編みの「パフォーマンスループバンド」なのです。

▲充電中の図。画面はなく、本体は腕に巻く時に隠れます
Pixel Watchシリーズでは、購入するともれなく“フルオロエラストマー”の「アクティブバンド」が付いてきてしまうのでした(Apple Watchは購入時に付属バンドを選べるのに)。防水ではありますが、どうしても通気性が悪く、汗ばむと肌に張り付くような感覚がありました。なのでいつもすぐにループバンドを別途購入していたんですが、Fitbit Airではその必要がないのが嬉しいです(別売でフルオロエラストマーバンドも購入できます)。
ちょっと残念なのは、また別規格の充電ケーブルが増えること。Pixel Watchと共用できるとよかったんですが。

▲Pixel Watchの磁気充電ケーブル(左)とGoogle Fitbit Air USB-C 急速充電ケーブル
■Pixel Watch 4とFitbit Airの使い分け
私は繊細さんじゃないので、ごついPixel Watchを腕にしたままでもぐっすり眠れます。でも、朝5時から海外速報を書く仕事柄、一般的な業界の人とは日本にいながらにして時差があり、寝入りばな(夜10時ごろ)にプッシュ通知が連続して来ることがあって閉口しておりました。そこで、寝る時は軽くてじゃまにならず、プッシュ通知も来ないけど睡眠トラッキングはPixel Watch 4とほぼ同じ精度でやってくれるFitbit Airに着替えることにしました。
ベッドサイドテーブルに2種類の充電ケーブルを常設し、就寝時に付け替える習慣にすればよさそうです(Fitbit Airは1度の充電で1週間持続するので、毎日充電する必要はないんですが)。
■トラッキング性能は本当にPixel Watch 4と同等?
というわけで、2日ばかりPixel Watch 4とFitbit Airを左右の腕に巻いて、別々のアカウントでログインしているPixelスマートフォン2台でチェックしてみました。
日中の記録のスクショは撮り忘れたんですが、睡眠トラッキングの誤差は以下のとおり。少なくとも睡眠時間は1分の誤差でした。

▲ある夜の、Fitbit Air(左)とPixel Watchの「睡眠スコア」
上の画像、Fitbit AirとPixel Watch 4でちょっと違うのは、Fitbit Airを接続していたPixel 10aのアプリは既に「Google Health」になっており、Pixel Watch 4を接続しているPixel 10 Proはこの時点ではまだ「Fitbit」アプリの早期アクセス版だったからです。
■Pixel Watch 4とFitbit Airの両刀遣いに
データ精度はだいたい同じことが確認できたので、Fitbit AirもPixel Watch 4と同じアカウントの同じ端末のアプリに接続することにします。1つのFitbit Airを複数のアカウントに接続することはできないので、Pixel 10aのアプリから削除し、Pixel 10 Pro上の、Pixel Watch 4を接続しているFitbitアプリ(途中でアップデートしたGoogle Healthになった)に接続し直します。

▲Pixel Watch 4を接続済みのGoogle HealthアプリにFitbit Airを追加
同じアカウントで2台。1日半くらい両腕に巻いてデータをとってみました。当然ですが歩数が2倍で記録されるということはありません。Google Healthアプリは、同じ時間帯に2台のデバイスから重複してデータが送られてきた場合、自動的に賢く計算して、より正確っぽい方のデータのみを優先して記録するそうです(サポートページより)。
■「Google Health」アプリでプレミアム機能を使う
冒頭にも書いたとおり、「Fitbit」アプリは「Google Health」アプリになります。画面下部のタブが「今日」「フィットネス」「睡眠」「ヘルスケア」の4つになり、デザインの第一印象は「ごちゃっとしたなぁ」ですが、要点が強調され、見やすくなった気もします。以前の3つのタブ(「今日」「コーチ」「自分」)については、「自分、とは?」と思ってたので。

▲旧版Fitbit(左)とGoogle Healthアプリ
でも、睡眠タイプを動物に例える機能がなくなったのはちょっと残念(私は睡眠時間が短いきりんさんでした)。

▲わりと好きだった睡眠プロフィールはなくなりました
基本となるデータの記録や、新しくなった4つのタブの閲覧は、従来のFitbitアプリ同様に無料で利用できます。ただし、今回目玉となっているGeminiベースのAIコーチ「Google Health Coach」や、より詳細な睡眠・健康の分析レポートを利用するには、年額1万3000円のプレミアムプランへの加入が必要です。

▲Google Health Premiumの特典
これまで「Fitbit Premium」と呼ばれていたプランはそのままま「Google Health Premium」に移行するようですが、それとは別に、Google Oneの「AI Pro」以上のプランに加入していれば、追加料金なしでGoogle Health Premiumのフル機能が使えます(私はFitbit PremiumとGoogle Oneの「AI Pro」の両方に加入していて、4月にうっかりFitbit Premiumの年契約を自動更新してしまったんですが、解約してもデータは引き継がれるそうなんで、先程Fitbit Premiumを解約しました)。
4つのタブは以下のような役割分担になっています。
今日: その日の歩数や消費カロリー、アクティビティの達成度がリング状のグラフィック表示されるダッシュボード
フィットネス: ランニングやウォーキングなどの運動ログ、心拍数の推移、週単位の有酸素運動目標の進捗などを集約
睡眠: 前夜の睡眠スコアや睡眠ステージ(深い睡眠とかレム睡眠とか)、睡眠時の呼吸の乱れなどのまとめ(上の画像)
健康: 生理周期や水分摂取量、体重、体脂肪などの“身体の基礎データ”を管理。アプリ連携していない体重計で測った体重などは、ここから手入力します
体重や体脂肪率の手入力は、「今日」タブの要点まとめの左下にある「+ 記録」をタップして「体重」や「体脂肪」を選ぶだけです。
Google Healthになっての最大のウリはGeminiベースの「Google Health Coach」です。やっぱりここにもGemini。Geminiアプリと同じように、いろいろ相談できるんですが、ここのGeminiはコーチというか、専属トレーナーみたいなやつです。
目標(何キロ痩せるとか、腹筋を割るとか)を設定すると、個人データをチェックしつつ無理のないプランをたててくれて、毎日(うるさいくらいに)アドバイスしてくれます。
私は「座り仕事でいつも肩と首と腰とお尻が痛いので楽になりたい」と相談して、ストレッチポールとかチューブはあるんだよねー、と言ったら1日に4回やるといい簡単な運動を動画付きで紹介してくれました。

▲コーチに相談
最初は結構ハードなものがあったので「これはやだー、もっと楽ちんなのがいいー」と言ったら、キャットアンドカウなどのマイルドなものに変更してくれるという、なかなか話のわかるやつです。
Google I/Oの基調講演を途中から見ようと午前3時からぼーっと起きていたら、「体がかなりお疲れのサインなので、今日はウォーキングもおやすみして、徹底的にリラックスを優先してくださいね。」といたわってくれました。

▲疲れていると、いたわってくれるコーチ(イラスト:ばじぃ)
健康管理なんて、ほとんど気にしないで生きてきましたが、Fitbit(今後はGoogle Health)で睡眠時間が平均よりかなり少ないことや、運動不足であることが数字で明示されるようになって、わずかながらケアするようになった気がします。
年額1万5800円のGoogle Health Premiumに加入するほどかなぁとは思いますが、もしAIをよく使うからと既にGoogle Oneの「AI Pro」プランに加入済みであれば、1万6800円のFitbit AirでGoogle Health Premium機能を活用してみてもいいかも、と思います。









