1週間の気になる生成AI技術・研究をいくつかピックアップして解説する連載「生成AIウィークリー」から、特に興味深いAI技術や研究にスポットライトを当てる生成AIクローズアップ。
今回は、中国テンセントのHunyuanチームが発表したオープンソースの多言語翻訳AIモデルファミリー「Hy-MT2」を取り上げます。

このAIは、日本語や少数民族の言語を含む33の言語間で相互翻訳を行うことができます。今回リリースされたモデルは、パラメータ規模が異なる「1.8B」「7B」、MoE(Mixture-of-Experts)アーキテクチャを採用した「30B-A3B」の3種類です。
7Bおよび30B-A3BモデルはDeepSeek-V4-ProやKimi K2.6といったオープンソースモデルを凌駕しています。特に30Bモデルは、複数の評価指標において、大型モデルのGemini 3.1 ProとGPT-5.5のクローズドソースモデルに競争できる精度を示し、一部のベンチマーク(WildMTBench、WMT25など)で上回るスコアを記録しました。

▲Hy-MT2モデルシリーズと他の主要なAIモデルを性能比較した一部の結果
また、軽量版である1.8Bモデル単体でも、総合的にMicrosoft TranslatorやDoubao Translatorといった商用翻訳APIを上回る性能を発揮しています。
この軽量な1.8Bモデルは、スマートフォンなど計算能力の限られた端末上でも快適に動かせるように工夫されています。同社が独自開発した「AngelSlim」技術を用いた1.25ビットの量子化により、1.8Bモデルは約440MBのストレージ容量でエッジデバイスへの実装が可能となりました。推論速度も従来の4ビット量子化モデルと比較して1.5倍に向上しています。
Hy-MT2の特徴の一つにユーザーの指示を厳密に守る高い能力があります。金融、法律、医療などの専門用語の指定、文体のコントロール、出力フォーマットの固定、特定のコードや区切り文字を翻訳せずに正確な位置に維持するといった、実際の業務で求められる細かな指示を多言語で実行できます。

▲学習プロセス





