本日、12月12日にiOS 17.2が公開になった。このバージョンからiPhone 15 Pro及びiPhone 15 Pro Maxを使うと空間ビデオの撮影が可能になる。
iPhoneで撮影する「空間ビデオ」というのは、簡単に言えば、右の目と左の目のそれぞれに合わせた映像を記録したビデオということになる。iPhone 15 Proにあるカメラをうまく組み合わせることによって、そういうビデオを簡単に撮れるようになったのだ。
写真アプリにも「空間」という項目が設けられるようになり、他のビデオとも区別されている。来年Apple Vision Proが発売されたときには、この空間ビデオを再生できるようになる。
ではそれまで、立体で楽しむことはできないのか?
そんなことはない。ここではその方法をちょっと解説してみよう。
iPhoneで撮影可能な空間ビデオ=「1920×1080ピクセル・二眼」の映像
まずファイルの話から。
iPhone 15 Proが撮影する空間ビデオは、「片目1920×1080ピクセルで撮影され、HEVCでエンコードされた、ステレオペアの動画」である。
この時点で、歴戦の3Dビデオ界隈の方々は「あーはい、つまりそういうことね」とお分かりかと思う。
対応環境でない場合には片目分(すなわち1920×1080ピクセルのビデオ)が再生され、対応環境だと右目・左目に映像が流れる。
フォーマットの技術詳細は以下のリンクに詳しい。
・Apple HEVC Stereo Video Interoperability Profile (Beta)
ではこれをどうやって立体のまま見るか?
要は「立体視可能なデバイスにデータを渡す」ことができればいい。3DテレビやMeta Quest 3のようなVR機器でも、ファイルさえ用意できれば済む。先日クラウドファンディングが始まった「Looking Glass Go」でも表示できる。
ただ、そういう変換ソフトは確実にありそうなのだが、筆者も現状、「これが簡単で確実におすすめ」というものが見つけられていない。
しかしもっと簡単な方法はある。
最近増えてきたサングラス型ディスプレイを使うのだ。
VITURE One用アプリ「SpaceWalker by VITURE」を使う
以下の写真は、サングラス型ディスプレイ「VITURE One」を使い、空間ビデオを見ている時のものだ。
VITURE Japan公式ストア
VITUREはiPhone用に専用アプリ「SpaceWalker by VITURE」を公開している。利用は無料。App Storeへのリンクはこちら。
これをiPhone 15 Proにインストールし、USB Type-C端子にVITURE Oneをつなげば準備は完了だ。
このアプリは本来、VITURE Oneで、広い仮想画面を使ってウェブや動画を見るためのもの。ちょっとした付加機能、と思えばいい。
このアプリに先日、アップルの空間ビデオを再生する機能が搭載されたので、それを使うのが一番簡単なのだ。
SpaceWalkerには「360 Player」というミニアプリが組み込まれているので、これを使う。簡単に言えば動画・静止画のビュワーだが、UI上右側に出るアイコンをタップすると、動画ファイル選択が「iPhoneの側に」表示されるので、こちらから見たい空間ビデオを再生すればいい。
ただし、このままでは単に「映像が横に並んで表示されるだけ」だと思う。
なのでちょっとおまじないが必要になる。
表示されたら、VITURE One本体の左側のツルにあるボタン(音量ではなく、透過度を切り替える方)を長押ししよう。
すると、VITURE Oneが「3D表示モード」に変わり、空間ビデオが正しく再生されるようになるのだ。かなり品質は高いので、初体験の時には「おお」と驚いてしまうことだろう。
ビデオを見終わって平面の世界に戻る場合、自動的には戻らないので、また「長押し」でモードを切り替える。動画ファイルを選択し直すたびに行う必要があるのでご注意を。
また、これは現状の不具合かと思うが、動画撮影時のiPhoneの持ち方によっては、上下逆の動画になってしまうことがある。要は動画内の「向き」情報を考慮していないのだ。ここはぜひ改善してほしいと思う。
VITURE Japan公式ストア実は他社のサングラス型ディスプレイでも動作。しかし……
さて、ここからがおまけだ。
実はSpaceWalker、VITURE Oneでしか動作しないようには作られていない。というか、他のサングラス型ディスプレイでも、少なくとも表示については動作している。
どれもiPhone 15シリーズにはUSB Type-Cケーブル1本で直結なので簡単だ。手元にはXREAL Air/Air 2 ProとRokid Maxがあるが、どちらもつながる。特にXREAL Airでの表示品質は良好だ。
こちらもVITURE Oneと同じく、空間ビデオ視聴時には「3Dモードへの切り替え」が必要になる。
XREAL Airの場合には「ボリュームボタンの+を長押し」、Rokid Maxの場合には「明るさ切り替えボタンを長押し」で3Dモードに切り替える。
なお、Rokid Maxの場合、動画のアスペクト比が崩れる(横長になる)現象が起きているので、体験は他の2機種にちょっと劣る。(もともとサポートされた使い方ではないのでしょうがないことだが)
なお、LightningのiPhoneではどうか?
まず、無線接続などを使う「XREAL Beam」などを介した接続では使えない。
次に、アダプターを介したLightningでの接続だが、手元にあるXREALのアダプターでは、接続後の3Dモード以降ができなくなり、表示もできなかった。他のアダプターならできる可能性もあるが、正直不透明だ。
簡単さ・確実性を考えても、USB Type-Cに移行したiPhone 15以降が望ましい……ということのようだ。
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