iPhone 15先行レビュー、USB-Cには何が繋がるのか「15」と「Pro」実機で違いを確認する(西田宗千佳)

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西田宗千佳

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フリーライター/ジャーナリスト

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1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。

特集

「iPhone 15」と「iPhone 15 Pro」の先行レビューをお届けする。

▲iPhone 15と15 Plus。色はそれぞれ「イエロー」と「ブルー」
▲iPhone 15 Pro Maxと15 Pro。色は「ブラックチタニウム」と「ブルーチタニウム」

特に昨年以降、iPhoneは「価格を抑えたスタンダードな性能のライン」と、「高性能プロセッサー+望遠カメラを搭載する、最新最強のProライン」の切り分けが明確になってきた。

特に今年は、インターフェースが「USB-C」に変わり、プロセッサーが3nm世代になり、さらには素材がチタン合金になって、「Proラインの差別化」がはっきりしている。

デザイン的にはiPhone 15もなかなか良く、どちらがいいかは悩ましいところだろうが、「中身が気になる」という意味では、やっぱり「Pro」なのではないだろうか。

というわけで、「iPhone 15とPro、どのくらい違うの?」というところをチェックしていこう。

「ちょっとだけ丸く」なって持ちやすく

デザイン的に見ると、「ポップなスタンダードモデル」と「シックなProライン」という感じだろうか。

旧モデルに比べ、どちらも角の仕上げがより丸くなり、手への収まりが優しくなった。

▲左がiPhone 14 Pro Max、右がiPhone 15 Pro Max。角のアールが大きくなったのがわかる

iPhone 15については背面のカバーガラスがマット仕上げになって、指紋が目立たなくなって手のひらでの感触がサラッとしている。

▲iPhone 15 Plusの背面。マットで落ち着いた色合いに

iPhone 15 Proについては、フレームがチタン合金になって、こちらもマット仕上げになった。ステンレスの光沢仕上げに比べると、やはり指紋は目立たない。色によってイメージが異なるが、試用機材である「ブラックチタニウム」「ブルーチタニウム」は色が濃く、テクスチャー感が目立たない仕上げだ。

USB-Cには色々なものが「そのままつながる」

インターフェースがUSB-Cになったため、iPhone 15からは付属するケーブルも「両端がUSB-Cのもの」に変わった。

▲iPhone 15 Pro Maxの内容物。従来からケーブルが変更に
▲こちらはiPhone 15 Plus
▲インターフェースはUSB-Cに

付属するのはUSB 2仕様、すなわち「最大転送レート480Mbps」のケーブルで、これ自体は15とPro、双方で共通だ。

もちろん、手元にあるUSB Type-Cのケーブルでも充電できる。

▲普段使っている「給電容量表示付きUSB Type-Cケーブル」でも充電できた

充電は最大27W(9V×3A)で、Lightning時代と変わらない。ここだけを見れば、「単に形状が変わっただけ」という見方もできる。

ただ、USB-Cなのでもっと色々な使い方ができる。具体的には「いろんな周辺機器に、アダプターなどを用意せずにつながる」わけだ。

というわけで、どんなものがどんな風に繋がるかをみていこう。

◇HDMIケーブル

▲HDMIケーブルでテレビに接続

USB Type-CからHDMIへ変換するケーブル。昨年動作検証のために買っておいたもの。


なんの問題もなくさっくり接続。iPhone 15 Proはもちろん、iPhone 15でも同じく問題なし。

◇PCディスプレイへのUSB Type-Cケーブルでの接続

▲ケーブル一本でPCディスプレイと接続

こちらもまったくなんの問題もなく接続。

ただし、Display Port Altモードでの接続には「接続に対応したケーブル」が必要。iPhone 15付属のケーブルは「USB 2仕様」、すなわち非対応なので、USB 3.2もしくはThunderbolt 3以上に対応したケーブルを用意しなくてはならない。手元にあったThunderbolt 4ケーブルを利用した。

ちなみにこの場合、iPhone側への給電も行われる。ノートPCなどでよくある「充電とディスプレイ表示をケーブル1本で」が実現している。

◇イーサネット

▲「Ethernet」表示に注目。Wi-Fiの接続状況が悪いところなどで使うにはいいだろう

いつ買ったものかも不詳だけれど、とにかく「Wi-Fiがダメな時」のためにカバンの奥底で眠っていたもの。

こちらもさっくり接続できて、ドライバーなども不要。念のために「機内モード」でつないだが、イーサネットだけで通信ができた。「設定」内には「Ethernet」という項目が現れる。

◇小型USB DAC

▲USB DACとも問題なくつながる

小型でハイレゾ(32bit/384kHz)対応のもの。AndroidやiPad Proでの検証用に買ったものだが、まったく問題なく接続して聴けた。


ちなみに音量調整には「Headphone」と表示されて、問題なく音量も変えられる。

◇G FITSのLIGHTSPEED接続用ドングル

▲G FITSのLIGHTSPEED接続用ドングルも、アダプター経由で問題なくつながる

ロジクールのゲーミングヘッドセット「G FITS」。Bluetoothと独自のワイヤレス接続規格「LIGHTSPEED」に対応しているが、LIGHTSPEEDはUSBドングルが必要。こちらも接続にはドライバーなどは不要で、問題なく音が流れてきた。


◇USBマイク

▲UlanziのUSB接続ワイヤレスマイク。インタビュー取材などに便利。Android用のものがiPhoneでも使える

UlanziのUSB Type-C接続型のワイヤレスマイク。これも問題なくつながり、「ボイスメモ」の録音用マイクとして使えた。


◇USBメモリー

▲ごく普通のUSBメモリー。画面内の「場所」に「UNTITLED」というドライブがあるのが接続された印

いつ入手したのかも、スペックも不詳。「SP」マークがあるのでシリコンパワーのものだと思われる。容量は32GB。いつもはなにかあった時のために、財布の中で眠っている。

こちらも問題なく認識。「ファイル」アプリにもドライブとして出てくる。

◇SDカードリーダー

▲SDカードリーダーも、USBメモリーと同じようにつながる

Ankerの「USB-C 2-in-1 カードリーダー。2年ほど前に購入。こちらもUSBメモリー同様、特に問題なく認識した。


◇M.2 SSDの外付けケース

▲物理的にはつながっているが、「ファイル」アプリ内では認識されていない

内部に2TBのM.2 SSD(PCIe Gen 4.0×4)が入っていて、普段はバックアップに利用。今回唯一の「認識できなかった」もので、iPhone 15でもiPhone 15 Proでもダメだった。理由は後述する。

◇アイ・オー・データ機器 SSPE-USC500

▲500GBのSSDを使ったUSBドライブだが、こちらはつながった

USB 10Gbps対応のスティック型SSD。容量は500GB。こちらは認識できて、データ転送なども問題なく行えた。


ポイントは「4.5W以内」ルール、Proは確かに転送速度が速い

このように、iPhone 15もProもさほど差はなく、大半の周辺機器が問題なく接続できた。この辺の事情は、Display Port接続を除けば、他のAndroidスマホも似たようなところかと思う。また、Lightning時代もUSBアダプターを介せば動いたものが多く、予想できた話ではある。

ただ、M.2 SSD 外付けケースが動かなかったところがポイントでもある。理由はシンプルで、「iPhoneから供給できる電力量を超えていた」のだろう。

iPhone 15シリーズがUSB-Cに給電できるのは「4.5W」までとされている。多くの機器では問題ないものの、M.2 SSDの外付けケースでは4.5Wを超えた結果、うまく動かなかったということ。一方でSSPE-USC500はM.2 SSDほど速度が出ないものの、消費電力は小さいので動作した……ということになる。

ちなみに、USBメモリーなどからiPhone内部への転送速度を測ったところ、以下のようになった。

▲1.25GB分のファイル(50個)をiPhone本体にかかる時間を計測。Proシリーズは確かに高速な転送ができる

USBメモリーの側は転送速度がUSB 2.0の帯域制限以下なのでどれでも引っかからず、SSPE-USC500の場合には最大480Mbpsでは不足していた結果、iPhone 15 Proでは時間が短くなった……ということなのだろう。

プロセッサーは順当に高速化

ちなみに、ベンチマーク結果は次の通りだ。

▲Geekbench 6でのCPU速度チェック。参考のために、iPhone 12 Pro Max以降で計測。毎年少しずつ速度が上がっている
▲同じくGeekbench 6のGPU速度チェック。A17 Proのパフォーマンスアップは、CPUよりGPUの方が顕著

iPhone 15 Proは「A17 Pro」を使っているが、これは3nmプロセスで作られた初のスマホ向けプロセッサーとなる。順当に速くはなっているものの、GPUの方が伸びしろが大きい。

今回は3年前の製品である「iPhone 12 Pro Max」とも比較してみたが、想像以上の差が生まれている。3年で性能はほぼ2倍になっているわけだが、この辺を活かすのはやはりゲーム、ということになるのかもしれない。

だとすれば、A17 ProがGPUを強化し、レイトレーシングまで搭載してきたのは、「性能の向上をより必要とされるところに活かすため」と考えることもできそうだ。

iPhone 2023特集
《西田宗千佳》

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