アップルは開発者イベントWWDC23で、同社としてはまったく新しい分野の製品「Vision Pro」を発表しました。
このゴーグル型デバイスはゲームや映画観賞などに加えて、日常生活や仕事でも活用することを想定しています。アップルの表現では「パーソナルコンピュータ」「モバイルコンピュータ」に続く「空間コンピュータ」。
とはいえ、この手のヘッドセット製品の用途として現状もっとも成功している分野は、やっぱりゲームでしょう。WWDCのキーノートでは、Vision ProがiPad向けゲームの多くに対応していることも明かされ、ソニーPlayStation 5の純正コントローラーDualSenseでプレイする様子も紹介されました。
アップルはVision Proに対応するサードパーティアプリのエコシステム構築のため、Adobe、シスコシステムズ、マイクロソフトなどとの提携を発表。さらに「われわれは、何年にもわたって素晴らしい3Dアプリを開発してきた開発者コミュニティを忘れていない」と述べ、Unityとの協力により、Unityベースで開発されるゲームやアプリが、パススルーや高解像度レンダリング、ネイティブジェスチャーといったvisionOSの機能に完全にアクセス可能になったことを明らかにしました。
キーノートでの発表を受けて、Unityの株価は直前の31ドル半ばから急激に上昇し、一時は26%増の約39ドルにまで達しました。その後はやや下げたものの、37ドル前後で推移しています。
WWDCキーノートの後、Unityの広報担当者は「われわれは、Unityが持つ強力かつ使いやすいリアルタイム3Dツールとその機能を、アップルのVision Proに提供できることを嬉しく思う。これにより、情熱あふれる開発者たちの巨大なコミュニティが、Unityで開発された新規および既存のアプリやゲームを、新しい空間コンピューティングプラットフォームに導入可能になる」としました。
そして「visionOSとUnityのPolySpatial技術を用い、開発者たちがVision Pro向けに作る新たなアプリやゲームを見るのが非常に楽しみだ」と述べています。
なお、アップルの株価はVision Proという話題性ある新製品を発表したにもかかわらず、WWDC後大きく下げる流れになっています。これはもしかすると、Vision Proの価格が3499ドル(約49万円)という非常に高額だったことが影響したのかもしれません。とはいえアップル株価はこの日、年初来の最高値を記録していました。その後下げたとはいえ、5月末時点の株価とほぼ同じ水準を保っています。