アップルのAR/VRヘッドセット、6月のWWDC前に発表で秋発売? iOS 17やiPadOS 17は小規模更新に留まる可能性

ガジェット XR / VR / AR
Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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Image:Ian Zelbo

この数年にわたり噂されていたアップル製AR/VRヘッドセットは、ようやく今年(2023年)春にお披露目、秋に出荷が始まることになるようです。

発信源はアップルの内部情報に詳しいBloombergの名物記者Mark Gurman氏。もともと「アップルがヘッドセット開発中」とのうわさが具体的になったのは、Gurman氏が2017年に報じたことが始まりでした。

自身のニュースレターでGurman氏は、当初アップル製ヘッドセットは2019年に発売予定のはずが、諸事情による遅れが積み重なり、やがて2020年、2021年、そして2022年の発売も見送られたと振り返っています。

アップルが一度たりとも公式に触れてない未発表製品が「遅れた」扱いされているのは、逆にいえば他の未発表製品について正確な内部情報を伝えてきた Gurman氏のためとも言えます。

昨年も2023年1月にメディア向けイベントを開催、3月に量産開始との説が有力でしたが、現在では「ソフトウェア関連の問題」により1月イベントはナシになったとの観測が主流となっています

さてGurman氏によると、アップルは6月のWWDC(世界開発者会議)前にAR/VRヘッドセットを公開し、秋には出荷する予定。すでに「Reality Pro」なる製品を「少数の著名な」ソフトウェア開発者に提供しており、専用のサードパーティ製アプリ開発に着手させているとのこと。

現在の予定スケジュールでは、アップルは消費者向けに本製品を紹介してから、6月には一般開発者もソフトウェア機能に対応できるようにする見通しです。まず発表時点でアップル純正アプリのほか大物アプリを紹介し、秋の製品ローンチ時には多数のサードパーティ制アプリを揃えておくためにも、妥当な計画だと思われます。

ちょうど先週、有名アナリストMing-Chi Kuo氏が「アップルのAR/MR(複合現実)ヘッドセット開発は、機械部品の落下テストとソフトウェア開発ツールの利用可能性にまつわる問題で遅れている」とツイートしたばかり。

そのため1月にメディアイベントを開催する可能性はますます低下し、春に独立したイベントあるいはWWDCで発表される可能性が高い……とのKuo氏の見解と、今回のGurman氏の情報はほぼ一致しています。

ただし、本製品は「ハードウェア、ソフトウェア、サービス、マーケティング、販売方法」などにまだ多くの問題を抱えているとのこと。要するに全般的に問題山積みとのことで、それでもアップルとしては「今年注目の新製品」と位置づけているとあり、最優先事項とされているようです。

そうした事情から、アップル社内ではハードウェアとソフトウェアのエンジニアをヘッドセット部門にかき集めており、そのために他のプロジェクトにも支障が出ているとも伝えています。景気後退による遅延や予算削減に悩まされている部門もあり、iPadもApple WatchもHomePodもApple TVも年内には大幅なアップデートはない(小幅なマイナーチェンジの可能性はある)可能性が高いとのことです。

またソフトウェア面でも、ヘッドセット用OS「xrOS」に力を注いでいることで、次期「iOS 17」や「iPadOS 17」も「いくつかの新機能を犠牲にしている」余波があるとしています。

すでに「今後10年以内の引退」(2021年時点)を仄めかしているティム・クックCEOは、特にARに強い思い入れを明かしていただけに、ヘッドセットは「花道」的に異例のリソースが割かれているのかもしれません。


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《Kiyoshi Tane》
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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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