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数千万曲をカラオケ化する「Apple Music Sing」はSpotifyより優れてる?(CloseBox)

カルチャー Music
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

数千万曲をカラオケ化する「Apple Music Sing」はSpotifyより優れてる?(CloseBox)
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アップルが「Apple Music Sing」を発表しました。楽曲のボーカル部分の音量を下げ、歌詞を曲の進行に合わせて表示するという機能で、いわゆるカラオケです。音楽サブスクで同様のものはすでにSpotifyにもあるので、すでに使っている人も多いでしょう。

関連記事:Apple Musicにカラオケモード「Sing」。踊るような歌詞表示など、みんなで歌える機能を追加

数千万曲が一挙にカラオケ化の対象となったのはインパクトあります。Apple Musicの楽曲は10月3日に1億曲を超えたと発表があったので、ボーカル曲のうちかなりの比率でカラオケ化可能という解釈でいいのでしょう。

かつて既存音源のカラオケ化(ボーカルキャンセル)というと、ステレオ音源からセンター音源のみキャンセルするという簡易的なものを想像する人が一定数いると思いますが、音質や楽器のバランスまでも変わってしまった当時のものと違い、現代のボーカルキャンセル技術は機械学習を取り込んでより高度なものに変わっています。このため、バッキングの音をちょっと聴いただけではボーカルキャンセル以前のものとの違いはわからないはずです。

Spotifyのボーカルキャンセルも、ボーカルが微かに聞こえますが、バッキングサウンド自体は大きく変わらないように思えます。

PC、Mac向けには提供されない、ボーカルは完全にはキャンセルされないというところはSpotifyカラオケと共通です。

SpotifyとApple Music Singの歌詞表示の違い

違いは何かというと、まず、歌詞の表示。Spotifyカラオケの対象曲(全てではありません)では、現在歌われている歌詞の行がハイライトされますが、Apple Music Singでは、1文字ずつ色が変わっていく商用カラオケの方式をさらに発展させ、シラブル単位で楽曲と同期する「beat-by-beat lyrics」という方式のようです。

▲左はApple Music Singの画面、右は現在の歌詞表示

さらに、デュエット曲や複数のシンガーがいる場合の歌詞表示が分かれて歌いやすくなっているのも優れた点です。例えば現在のApple Musicではコーラス部分の歌詞は()の中に表示されていますが、Apple Music Singでは小さなフォントサイズで表示されています。

▲左はApple Music Singの画面、右は現在の歌詞表示

一方、Spotifyカラオケでは、コーラスもリードボーカルもデュエットもいっしょくたです。

ボーカルキャンセル部分では、元音源のボーカル音量をスライダーで調整できる点が優れています。完全に消えるわけではないというとアップルも注意書きしていますが、微かに聞こえはするけどボーカルガイドにするには小さいし音質も悪くて聞き取りづらいSpotifyより、調整できる分いいのではないかと思います。

例えばクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」のSpotifyカラオケではボーカルキャンセル時にジッターノイズ的なものが乗り、バッキングのピアノが聞こえたり聞こえなかったりと、ボーカルキャンセルによる悪影響があります。Apple Music SingがSpotifyのこうした弱点を克服できているのかは、12月中にリリースされるのを待って検証したい(歌いたい)と思います。

なお、日本のSpotifyでは歌詞表示に関して、2016年の日本展開時からプチリリと提携しています。プチリリでは歌の進行に合わせて1文字ずつ歌詞の色を変えていく文字同期表示がごく一部で実装されていますが、それ以外は行単位での表示変更です。この辺もアップル対抗で全楽曲にまで広がると良いのですが。

歌詞表示のカバレッジについては、プチリリとの提携による歌詞提供のおかげでしょうか、Spotifyの方が優れているようです。プチリリは歌詞の同期情報をユーザーからの投稿で収集していく仕組みです。おもしろいことに、プチリリのアプリ「プチリリカラオケ」のiOS版が9月に提供をやめているのですが、Apple Music Singの登場を予期していたのでしょうか。

「声を分離」機能を応用か

アップルはiPhone、iPad、MacやFinal Cut Proの「声を分離」機能で、背景ノイズを減らして人間の声を聞こえやすくする技術をすでに実装しています。今回のボーカルキャンセルはカラオケ分野でその技術を応用したと思われますが、全てのボーカル曲で使えるようにするためには、残された演奏の音質やバランスを変えてはならないという困難な側面もあります。これがどのレベルなのか、Spotifyを超えているのかは、実際に試してみるまでわかりません。

ストリーミング音楽の時代においてはカラオケで繰り返し練習してくれることはアーティストの収益増につながります。カラオケサービスでは基本的に原盤は利用されないので、著作権所有者が受け取る利益はApple Music SingやSpotifyカラオケの方が大きなものになる可能性があります。

しかしSpotifyもアップルも、これを完全なカラオケ代替としては設定していないようです。キーやテンポを変更して歌いやすくしたり、自分のボーカルにリバーブをかけて気持ちよく歌うといったことはまだできません。いずれ、こうした機能も取り入れられるかもしれません。

iPhone、iPad、Apple TVには自分のボーカルをオリジナル音源とミックスする機能もないので、生声以上のものを望むならば、マイクとアクティブスピーカー、性別を超えた歌唱が望みならばローランドVT-4などのボーカルエフェクターがあった方がいいかもしれません。

そもそも生声を出せないという方向けには、Shiftallが発売した口枷型Bluetoothマイク「mutalk」がありますが、現在1~2月出荷分の予約中ということで、実物が手に入るのはちょっと先になります。

関連記事:声が漏れないマスク型Bluetoothマイク「mutalk」発売。電話会議や深夜の音声チャット向け

筆者もそこまでは待てないので、Nintendo Switchロゴ入り「【任天堂ライセンス商品】マイクカバー for Nintendo Switch【任天堂純正マイク・ホリ製カラオケマイク両対応】」なるものを購入しました。945円と安いので、失敗してもそれほど傷つかないのではないかと。うちにあるマイクだとSM-58あたりが入るといいなと思っています。


この先も楽しみです。ソニーなどから、既存楽曲からボーカルだけでなく、ドラム、ギター、ベース、キーボードなどの各種楽器を抽出機能が出ているので、こうした機能を使ってボーカル以外の「マイナスワン」を可能にすることも将来的には可能になるでしょう。マスター音源から個別トラックを分けて、楽曲単位で売っていたサービス「Jammit」というのが以前はあったのですが、なくなってしまいました。ディープ・パープルやイエスなどのギターやシンセサイザー、ボーカルなどを練習するのにとても便利だったのですが、機械学習を応用してこうした機能が実装される日がいつかやってきますように。

《松尾公也》

松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

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