この1週間の気になる生成AI技術・研究をいくつかピックアップして解説する今回の「生成AIウィークリー」(第153回)は、OpenAIの前CTO創設「Thinking Machines Lab」が開発した総パラメータ9750億のマルチモーダルモデル「Inkling」や、DGX Spark1台で動くコーディング特化AI「Laguna S 2.1」 を取り上げます。
また、歩き回れるゲーム世界を無限に生成し続けるアリババ開発のワールドモデル「ABot-World-0」や、家庭用PCで動く無検閲AI「Qwen3.6-27B-Fable-Fusion-711」をご紹介します。
そして、生成AIウィークリーの中でも特に興味深いAI技術や研究にスポットライトを当てる「生成AIクローズアップ」では、アリババ傘下の研究機関Tongyi Lab(Qwenの開発元)が発表した、テキスト音声合成(text-to-speech)モデル「Qwen-Audio-3.0-TTS」を別の単体記事で取り上げています。
DGX Spark1台で動く、コーディング特化AI「Laguna S 2.1」が1180億パラメータで1.6兆モデル「DeepSeek-V4-Pro-Max」を凌ぐスコア
Poolsideチームが、長時間タスクの遂行と推論を重視したエージェント型コーディングモデル「Laguna S 2.1」をリリースしました。
総パラメータ1180億(トークンあたりアクティブ80億)のMixture-of-Experts構造で、最大約100万トークンのコンテキストに対応します。訓練開始から公開まで9週間を切る短期間で仕上げられました。
スコアはTerminal-Bench 2.1で70.2%、DeepSWEで40.4%。1.6兆パラメータの「DeepSeek-V4-Pro-Max」に対しては6ベンチマーク中5つで上回りました。ただしKimi K3やClaude Fable 5といった上位勢とはなお差があります。
特徴は思考(Thinking)モードを活かした粘り強さにあり、検証を重ねる、早々に完了と宣言しない、必要なら手を戻すといった作業の進め方そのものをポストトレーニングで強化しました。
重みはOpenMDW-1.1ライセンスで公開されています。NVIDIA DGX Spark 1台でも動作するとしています。




Laguna S 2.1
Poolside
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歩き回れるゲーム世界をRTX 5090一枚で無限に生成し続けるワールドモデル「ABot-World-0」をアリババが発表
AlibabaのAMAP CV Labは、単一のデスクトップGPU(NVIDIA RTX 5090)のみでリアルタイムかつ長時間のインタラクティブな世界を生成する動画ワールドモデル「ABot-World-0」を発表しました。
VRAM消費を約19GiBに抑えながら、720P解像度・最大16FPS・キー入力から1.2秒の低遅延という高速推論を実現しています。標準的なキーボード操作でシーンの散策やキャラクター操作が可能で、独自の記憶システムにより、三人称視点での長時間のプレイでもキャラクターの見た目の崩れを抑えます。
学習にはAAAゲーム、シミュレーションエンジン、Web動画といった多様なデータを統合して用いており、長時間生成時に蓄積する映像劣化を抑制する技術も導入されています。





ABot-World-0: Infinite Interactive World Rollout on a Single Desktop GPU
Fan Jiang, Zhaoxu Sun, Mengchao Wang, Ziyu Zhu, Chiyu Wang, Yunpeng Zhang, Wenlin Liu, Yun Wang, Xue Zheng, Rui Sun, Junfeng Ni, Hongyu Pan, Zhongxu Sun, Fei Yu, Zengye Ge, Mengmeng Du, Nianfei Fan, Mingchao Sun, Yu Liu, Yongchang, Yanqing Zhu, Jiahang Wang, Ning Ying, Yuze Xuan, Di Yang, Zhicheng Liu, Zhe Gao, Tingbing Xu, Jiacheng Sui, Wenjin Yang, Junnan Lai, Shufeng Liu, Yuan Liu, Zheng Zhou, Yingliang Peng, Dawei Cao, Kaifeng Sheng, Yuxiang Cai, Fei Lu, Mu Xu, Ning Guo
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家庭用PCで動く無検閲AI「Qwen3.6-27B-Fable-Fusion-711」、クローズドモデル級を自称
「Qwen3.6-27B-Fable-Fusion-711-Uncensored-Heretic-NM-DAU-NEO-MAX-MTP-GGUF」は、Qwen3.6-27Bをベースに多段階のファインチューンとマージを重ねたGGUF量子化モデルです。
名前にある「711」は、科学系の推論ベンチマーク「ARC-C」で0.711を記録したことに由来します。ベースのQwen3.6-27Bが0.647なので超えています。4bit量子化(mxfp4)でも0.701を維持しており、8bitと4bitの両方で0.700を超えています。
この水準はこれまでOpenAI、Claude、Geminiといったクローズドモデルが占めていた領域だと作者は主張しています。7項目のベンチマークのうち6項目でベースを上回り、残り1項目は同等、Qwen3.6-35B-A3Bに対しては全項目で上回ったとされています。
脱検閲にはHereticのARA(Arbitrary-Rank Ablation)が使われ、100件のテストでの拒否は99件から4件に減少しました。

Qwen3.6-27B-Fable-Fusion-711-Uncensored-Heretic-NM-DAU-NEO-MAX-MTP-GGUF
DavidAU
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OpenAIの前CTO創設「Thinking Machines Lab」、総パラメータ9750億のマルチモーダルモデル「Inkling」をオープンウェイトで公開
OpenAIの前CTOミラ・ムラティが立ち上げたAIスタートアップ「Thinking Machines Lab」が、オープンウェイトのマルチモーダルモデル「Inkling」をApache 2.0で公開しました。テキスト・画像・音声を入力し、テキストを出力します。
構成は66層のデコーダ専用トランスフォーマーで、フィードフォワード部にスパースMoEを採用しています。総パラメータ9750億、アクティブ410億。BF16とNVFP4に対応し、vLLMやSGLangでローカル実行できます。
ベンチマークは、AIME 2026が97.1%、GPQA Diamondが87.2%、SWE-bench Verifiedが77.6%。指示追従のIFBenchは79.8%で上位と健闘しました。

Inkling
Thinking Machines Lab
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