大規模言語モデル研究開発センターが公開した視覚AI「LLM-jp-4-VL 9B」、Opus 4.8に肉薄するマルチモーダルAI「DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp」など生成AI技術5つを解説(生成AIウィークリー)

テクノロジー AI
山下(Seamless)

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を個人運営しています。

特集

この1週間の気になる生成AI技術・研究をいくつかピックアップして解説する今回の「生成AIウィークリー」(第159回)は、Opus 4.8に肉薄するマルチモーダルAI「DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp」や、複数データを同時分析して未来を予測するGoogle開発のAI「TimesFM-3」を取り上げます。

また、大規模言語モデル研究開発センターが開発した視覚言語モデル「LLM-jp-4-VL 9B」や、学習データからログまで丸ごとオープンなAIモデル群「K2 Horizon」をご紹介します。

そして、生成AIウィークリーの中でも特に興味深いAI技術や研究にスポットライトを当てる「生成AIクローズアップ」では、AIエージェントを社内で一番怠惰だけど優秀なベテランエンジニアのように変身させる拡張ツール「ponytail」(ポニーテール)を取り上げます。

一部ベンチマークでOpus 4.8を上回るマルチモーダルAI「DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp」登場

DeepSeekは、DeepSeek-V4ファミリーにおけるマルチモーダルモデル「DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp」を公開しました。このモデルは、既存の「DeepSeek-V4-Flash」のアーキテクチャに視覚モジュールを組み込み、学習によって画像理解能力を付与した約3050億パラメータのモデルであり、MITライセンスで提供されています。

前バージョン(DeepSeek-V4-Flash-0731)と比較して、テキスト専用エージェントとしての同等の性能を維持したまま、マルチモーダルエージェントとしての能力が向上しています。一部のベンチマークでOpus-4.8を上回るなど、肉薄するスコアを記録しています。

unslothによる量子化版「DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp-GGUF」も公開されています。

DeepSeek-V4-Flash-Vision-Exp
DeepSeek
Hugging Face

Google、複数データを同時分析して未来を予測するAI「TimesFM-3」を発表

Google Researchは、複数のデータを組み合わせて高精度な時系列予測を行うAIモデル「TimesFM-3」を発表しました。

従来のモデルは、過去の単一データに基づく予測に限定されていましたが、TimesFM-3は他店舗の売上データといった関連情報や、天気予報、キャンペーン予定などの未来のイベントを同時に処理できる、より現実のビジネスに即した分析が可能になっています。

3億3000万のパラメータを持つ本モデルは、膨大なデータで事前学習されているため、用途に合わせたファインチューニングなしですぐに高い精度を発揮します。また、未来の予測を一度の処理でまとめて生成する仕組みを採用したことで、従来モデルの課題だった計算の遅延や誤差の蓄積を防ぎ、より正確かつ効率的な予測を実現しました。

TimesFM-3
Google Research
Blog | Hugging Face

国産推論モデルをマルチモーダル化、大規模言語モデル研究開発センターが視覚言語モデル「LLM-jp-4-VL 9B」を公開

国立情報学研究所の大規模言語モデル研究開発センター(LLMC)は、国産の大規模言語モデル「llm-jp-4-8b-thinking」をマルチモーダル化した約90億パラメータの視覚言語モデル「LLM-jp-4-VL 9B」を公開しました。

学習データには、ベータ版で使用された英語データセット「FineVision」のライセンスや品質の問題を精査し、問題を修正・除外して新規構築された「RefinedVision」が採用されました。さらに、推論過程を含む新たなデータセットの追加や、学習ステップ数の増加といった改良も施されました。

これらの改良により、ベータ版と比較してテキスト単体のタスクや高難易度の図表理解タスクにおいて性能向上が確認されました。一方で、Qwen3.5-9Bなどの最先端モデルと比較するとSTEM分野などで依然として性能差があり、今後の改善課題が残されています。

LLM-jp-4-VL 9B
大規模言語モデル研究開発センター
GitHub | Blog | Hugging Face

学習データからログまで、丸ごとオープンなAIモデル群「K2 Horizon」 小型モデルは同クラス最高性能

ムハンマド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)の研究機関IFMは、新しいAIモデルのシリーズ「K2 Horizon」を発表しました。

このシリーズは、スマートウォッチなどで動く小型モデルから、本格的な業務環境向けの巨大モデルまで、用途に合わせた6つのサイズ(375B-A23B、36B-A4B、32B、7B、3.7B、0.9B)で構成されています。

特に0.9Bから7Bの小型モデルは、同等クラスにおいてSOTA(最高性能)を達成しました。また、36B-A4Bモデルには新たなアーキテクチャであるMoVA(Mixture-of-Value-Attention)が採用され、少ないアクティブパラメータ数で効率的な処理を実現しています。

モデルの重みを提供するだけでなく、事前学習からエージェント向けの後学習に至るまでの全プロセス(中間チェックポイント、学習データや構築レシピ、コード、詳細なログなど)をApache 2.0ライセンス等で公開しています。

K2 Horizon
IFM
Project | Blog



《山下(Seamless)》

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