Metaは、米国のユーザー向けに新しいパーソナルAIエージェント「Muse」を発しました。Metaが独自に開発したAIモデル「Muse Spark」を採用し、ウェブブラウジングやファイル操作、フォームへの入力、購入手続きといった幅広いタスクをバックグラウンドで自律的に実行します。
Museはユーザーが質問を投げかけ、AIが答えを返すという「一問一答」形式ではなく、ユーザーが目標やタスクを設定すると、アプリを閉じている間もバックグラウンドで作業を継続し、重要な情報が出てきたときだけ通知を送るという仕組みを採用します。開発チームは「ユーザーの生活をより良くすること」をシステムの第一目標として掲げているとのこと。こうしたアプローチは、GoogleのGemini SparkやAnthropicのClaude Coworkなどですでに提供されています。
Metaの開発者はMuseを紹介するブログ記事で「子どもの新学期準備をMuseに任せたところ、見落としていたスポーツの試合の申し込み締め切りを検知して知らせてくれた」と紹介しており、単なる情報検索にとどまらない実務的な補助を想定した設計となっていることをうかがわせています。
Museは独自のファイルシステムとターミナルを持ち、必要に応じてコードを自ら記述してツールを作成できます。また、ブラウザーへのアクセス機能により、ウェブ検索やサイトのナビゲーション、フォーム入力、予約・購入といった操作も実行可能とのことです。
チャット欄では従来の一問一答形式ではなく、一つの長い会話として継続するスタイルを採用しています。ユーザーは返答を待たずに複数のタスクを同時に送信でき、会話の文脈はセッションをまたいで維持されます。複雑なプロジェクトには「サイドチャット」機能で別の会話を管理することも可能です。
Museが生成する出力はテキストだけでなく、ドキュメント、PDF、ウェブページ、インタラクティブなダッシュボードなどさまざまな形式に対応します。これらは「Artifacts(アーティファクト)」と呼ばれ、チャット内だけでなく独立した形でも利用可能とのことです。
ユーザーが自身のアバターや名前、スタイルを自由に設定できるカスタマイズ機能も搭載されており、開発チームはこれが「ユーザーが最も反応する機能の一つ」だと紹介しています。
安全面では、メール送信や購入といった「取り消しが難しい操作」に対して、ユーザーの承認を求める「ヒューマン・イン・ザ・ループ」機能を実装しています。承認の厳格さはユーザーが設定で調整可能で、Museの活動ログや付与した権限はアバターをタップすることで確認できます。また、目標の進捗や計画を一覧できる「Goalsタブ」も用意されています。
なお、紹介したようなMuseの機能を存分に使おうとすれば、メールやカレンダー、決済情報、健康・フィットネスアプリ、スマートホームなど、ユーザーの日常に深く関わるアプリやサービスとの連携が必要になります。多くの個人情報をMetaに預けることになる点は、過去のMetaの個人情報の取り扱いを気にするのなら、よく検討すべきかもしれません。
Metaは、ユーザー自身がどのアプリやサービスを連携させるかを一つずつ選択するオプトインの仕組みを採用することで、情報提供の透明性を高めていると説明しています。
またプライバシーとセキュリティに関して、Museは「Muse Secure VM」と呼ばれる専用の仮想マシン(VM)上で動作するとMetaは説明しています。Muse Secure VM環境ではMuseがユーザーのパスワードや決済情報を直接参照することはなく、ユーザーの会話やデータがMetaの広告システムと共有されることもないとのこと。この仮想マシン上では「Sentinel」と呼ばれる別のエージェントが動作し、システムレベルでMuseとは分離された状態になっているとのことです。ただ、これらの主張については、セキュリティ専門家による詳細な検証が必要だとする見方もあります。
Museは基本的に無料で利用できますが、利用開始にはクレジットカードの登録が必要で、使用量が増えると有料プランへの移行が促されます。開始当初は有料プランとして月額20ドルの「Power」と、と月額100ドルの「Maximum」の2種類が用意され、いずれもMuseに対して日常的なタスクを任せるための利用枠が拡大します。とはいえMetaは、ユーザーの大半は無料プランで利用可能な範囲内に収まるの見込みを示しています。
なおMuseのアプリでは使用量メーターが表示され、無料枠の残量を確認できるほか、上限に近づくと通知も届くようになっています。そのため、うっかり使い込んでしまい気がつけば上限に達していた、といった状況にはなりにくいと考えられます。
Museは米国内ではすでに公式のウェブページ、iOSアプリ、Androidアプリ、WhatsAppのチャット経由で利用でき、MetaのAIグラスにも対応する予定です。






