みなさんこんにちは、香港在住の携帯電話研究家、山根康宏です。スマートフォンのAI機能は、いまや当たり前のものになりつつありますが、スマートフォンを取り出さずとも情報を見ることのできるウェアラブルデバイスも日々、進化しています。その究極形態とも言えるコンタクトレンズ型の製品が開発中です。

このスマートコンタクトレンズは、最終的には涙から健康データを取得したリアルタイムなスマートヘルス機能、ナノ粒子技術を使った暗闇視認や色盲の補正、そしてテキストなど情報表示を可能にするもの。スマートフォンと接続すれば、AIアシスタントからの回答を眼内に映し出すこともできます。

センサーや表示に電力を使うため、どのようにバッテリーをコンタクトレンズ内に収めるかといった技術的な課題はありますが、ディスプレイ表示に関しては網膜に直接表示するため、スマートグラスのスカウターなどに比べると消費電力は微小とのこと。ディスプレイをどのようにレンズに内蔵するかですが、開発中のモデルでは直接、ディスプレイ表示層をレンズに貼り付けていました。

2025年10月にドバイで開催されたGITEX 2025の同社ブースでデモが行われていました。実際に目に乗せることはできず、治具に取り付けた状態での展示です。目の前に画面表示があるとどのように見えるのか、というイメージを見せるデモが行われていました。現時点ではコンタクトレンズは透明ではなく、中にディスプレイ表示層が見えます。

カメラで撮影したのでボケていますが、実際に目を近づけてみると文字がクッキリと表示されているのが見えました。

動画で見るとこのような感じ。デモ用に外部から文字などが表示されましたが、心拍数など健康データを目の前で即座に見ることができるのは新しい体験です。将来、ナビゲーションに「コンビニはどっち?」と語り掛けると、目の前に右か左か前かの矢印が瞬時に表示される、なんてアプリケーションも十分実用的でしょう。スカウターほどの情報量は無くても便利なのは、スマートウォッチとスマートリングの関係に似ています。
スマートコンタクトレンズは顔に装着しなくても良いので、メガネが苦手な人も使うことができます。また、色盲補正ができればヘルスケア機器としても実用性は高くなります。視力補正もできるのか、あるいはこの上からメガネをかけることで対応するのか、現時点では不明です。いずれにせよ夢のある技術ですし、SFの世界でよく出てくるスパイカメラ的な機能も遠くない将来に実用化されるのではないでしょうか。

同様の製品は2020年にもMojo Visionが発表しており、その後ニコンとの提携も進めていますが、現時点では商用化には至っていません。技術的なハードルが高いものの、いつかは製品化され、未来の生活を変えるものになるでしょう。









