みなさんこんにちは、香港在住の携帯電話研究家、山根康宏です。Minimal Companyがクラウドファンディングで出資を募っていたQWERTYキーボード搭載のスマートフォン「Minimal Phone」の出荷が始まっています。今回、ホワイトモデルに触れる機会があったので、古の名キーボード端末と並べてみました。

最近、QWERTYキーボード搭載は年に1機種出るか出ないか程度のニッチ製品になっています。比較用に引っ張り出してきたのは、QWERTYキーボード携帯の代表格、BlackBerry Bold 9900とNokia E61。
Minimal PhoneはチップセットにHelio G99、メモリ6GB / 8GB、ストレージ128GB / 256GBという構成のミドルレンジモデル。ディスプレイは4.3インチのモノクロ電子ペーパーで800×600ピクセル、バッテリーは3000mAh、カメラは1600万画素です。バリバリ使うスマートフォンではなく、デザインやキーボードからわかるようにデジタル世界と一定の距離を置くという思想の製品です。

今回はキーボードに特化してチェックします。キーボードの配列は10文字×4段。最下段には一番左に500万画素のフロントカメラが埋め込まれ、Shiftや記号、長いスペースキーが並びます。一般的なQWERTYキーボードと比べるとキーの数が少ないため、記号の配置はかなり変則的。そのため日本語を打つときも配置を覚える必要があります。例えば長音記号(ー)はShift+Yです。

キーボードの押し具合ですが、キーストロークは深めで少々グラつきがあります。しかし、それぞれのキー間隔が開いているため押し間違うことはあまりありません。電子ペーパーの表示速度もタイムラグは感じられず、1文字1文字しっかり打つことができます。

今年1月に出荷された初期のモデル(本体カラーがブラック)ではGboardと記号配置が一致しないケースがあったようですが、5月に出荷されたホワイトモデルはSiftキーを押せばアルファベットキー上の記号が入力されます。アップデートされたのでしょう。
そうそう、このキーボードにはバックライトもあります。

ここで10年以上前のBlackBerry Bold 9900のキーボードを見てみましょう。キーボードはフラットで隙間はありません。両手で持って左右の人差し指がそれぞれのキーにひっかかるようなモールドがあるため、左右のキーをミスタイプしてしまうことがありません。このキーボードは今でも一級品ですね。

各キーも低く、キーストロークは浅めですが、クリック感はしっかりしています。時々このBlackBerryキーボードをパーツでかき集めた小型の外付けキーボードが商品化されることがありますが、キーボードの完成度としてはこれを超えるものが無いからでしょう。

こちらはノキアのベストセラー、Nokia E61。BlackBerryと同じQWERTYキーボードスタイルながら、キーの構造はかなり違います。それぞれのキーは独立し、左右のキーピッチもわずかですが開いています。

キーストロークは深めで、若干グラつきがありますが、いい遊び具合のため、それぞれのキーを押した感覚がしっかりと指先に伝わります。BlackBerryとは異なる感触ですが、こちらも長文入力がサクサクできた印象です。

では、Minimal Phoneのキーボード入力はどうでしょう。キーの押し具合を確認するため、実際に文章を打ってみました。キーそれぞれが独立しているため、BlackBerryやNokia E61のように指先を左右に滑らすような入力はできません。
Minimal Phoneのキーボードは、1つ1つのキーを確認しながら押すといった感覚です。キーの押し具合は悪くありませんが、画面よりもキーボードを見るタイミングのほうが多くなるように感じました。ある程度慣れが必要でしょう。5G非対応のモノクロモデルということで、価格は399ドル(約5万8000円)と比較的安価。QWERTYキー好きは注目の端末です。
