Xiaomi(シャオミ)は、ハイエンドモデルのスマートフォン「Xiaomi 14T」「Xiaomi 14T Pro」を日本市場に導入することを発表しました。
同モデルは、9月にドイツ・ベルリンでお披露目されたばかりの最新端末。ライカと共同開発したカメラを備えつつ、Googleとの協業によりサムスン以外で初めて「かこって検索」などに対応しているのも特徴です。
(カメラをライカと共同開発したXiaomi 14T(上)とその上位版にあたるXiaomi 14T Pro(下))
端末名のナンバリングの後に「T」がつくモデルは、コストパフォーマンス重視のもの。どのようなポートフォリオを組むのかはメーカーによって異なりますが、Xiaomiは上期にフラッグシップモデル、下期に一部機能を抑えつつ高い性能を維持したTシリーズを投入するのが恒例になっています。
今回投入されるXiaomi 14T、Xiaomi 14T Proもそんな位置づけの端末です。安いと言ってもミッドレンジほどではなく、本体価格は10万円台前半といったところですが、各社のフラッグシップモデルが20万円を超える中、性能比ではお手頃です。
▲ハイエンドながら、オープンマーケット版の価格は11万円を下回った
例えば、Xiaomi 14T Proのメインカメラは同社のカスタムセンサーである「Light Fusion 900」で、センサーサイズは1/1.31インチと大型。
カメラに特化し、1インチセンサーを搭載した「Xiaomi 14 Ultra」ほどではありませんが、一般的なスマホとしては十分高性能です。Proはバッテリー容量5000mAhと大容量ながら、それをわずか19分で充電きる急速充電にも対応しています。
▲Xiaomi 14T ProはLight Fusion 900を採用。Xiaomiがカスタムしたセンサーでダイナミックレンジが広く、画質も精細だ
Light Fusion 900は、「Ultra」ではない無印モデルの「Xiaomi 14」(日本未発売)に搭載されていたイメージセンサー。その意味では、このモデルも十分ハイエンドと言えるでしょう。
一方でProのつかないXiaomi 14Tは、ソニーの「IMX906」を採用しています。こちらは1/1.56インチで、Xiaomi 14T ProのLight Fusion 900と比べるとやや小型です。昨年発売されたXiaomi 13Tシリーズはカメラ性能をそろえていましたが、今回は無印とProで違いがついた格好です。
▲ Xiaomi 14Tはメインセンサーがソニー製。望遠カメラの仕様もXiaomi 14T Proとは異なる
と、ここまではグローバルモデルも同じ。一方で、Xiaomi 14Tシリーズは日本ならではの売りもあります。それが、ライカブランドです。
昨年投入されたXiaomi 13Tシリーズまでは、一部の国でライカブランドが使われていませんでした。日本はその1つ。同じくライカを前面に打ち出しているシャープとの競合関係もあり、ブランドが利用できなかったとみられています。
▲ 燦然と輝くライカロゴ
単に名前が使えないだけならまだいいのですが、名前がないことで画質のチューニングも微妙に異なっており、ライカならではのフィルターも使えませんでした。
Xiaomi 14Tシリーズには「Leica Authentic」と「Leica Vibrant」という2つのモードがあり、前者に設定すると、よりライカのカメラらしい色合いや質感の写真が撮れます。
▲ ライカのトーンや、ライカのフィルターを採用する
後者のLeica Vibrantはコンピュテーショナルフォトグラフィを駆使した、どちらかといえば今っぽさを重視したトーン。Xiaomi 13Tシリーズまでの画質チューニングは、どちらかといえばこちらに近かったと言えるでしょう。
これに対し、Xiaomi 14Tシリーズはグローバル版と同じ撮影機能をそのまま使うことができます。ライカロゴの入ったウォーターマークにも対応しており、雰囲気のある写真を撮るにはうってつけです。
▲ 透かしを付けると、雰囲気がさらに出る
一方で、ライカだけでよければ、Xiaomiがオープンマーケットに投入したXiaomi 14 Ultraがあります。ただし、こちらの仕様はグローバル版に近く、キャリアで販売されていないこともあって販路は狭め。日本での必須機能といえるおサイフケータイにも対応していません。
これに対し、Xiaomi 14T Proはソフトバンク、14TはauとUQ mobileが取り扱い、販路の広さは十分。しかもおサイフケータイに対応しています。細かく分類していくと、Xiaomiとして、ライカブランドとおサイフケータイを両立させた初のスマホになったというわけです。
カメラ機能は気になるものの、おサイフケータイ非対応ゆえに普段使いに取り入れづらく、Xiaomi 14 Ultraに二の足を踏んでいた人には、うれしい進化といえるでしょう。
▲2機種ともFeliCaを搭載し、おサイフケータイを利用できる
キャリアが取り扱ったことで、Tシリーズの持ち味であるコストパフォーマンスの高さが、より際立つことにもなりそうです。特に注目したいのは、
ソフトバンク。同社はここ最近、「iPhone 16」や「Pixel 9」といった注目の端末を1年実質36円で販売していました。ハイエンドモデルを気軽に試せるという意味ではいい施策といえるでしょう。
▲お求めやすい価格にしたいと語ったソフトバンクの郷司氏
現時点で価格は未発表ですが、発表会にビデオ出演したソフトバンクのコンシューマ事業推進統括 モバイル事業推進本部 本部長の郷司雅通氏は、「お求めやすい価格にしたい」と語っており、期待が持てます。
特にXiaomiのように、日本市場参入からまだ日が浅く、多くの人に実力が伝わりきっていないメーカーの場合には、こうした販売方法が効いてくるはずです。日本でじりじりとシェアを上げているXiaomiですが、24年もまた一段ステップアップしたと評価できそうです。