SpaceX、2度目のStarship軌道飛行試験までに1000か所以上を修正へ。マスク氏は早期実施に自信

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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4月20日、SpaceXは最大級のロケット兼宇宙船Starshipの初の軌道飛行試験を実施しましたが、計画どおりに2つのステージを分離することができず制御不能状態になりました。その結果、最後は指令爆破という格好に終わっています。


当初、SpaceX CEOのイーロン・マスク氏は数か月後には次の試験飛行を行う意向を述べていましたが、6月24日にTwitter上で行ったジャーナリストAshlee Vance氏との討論の中で、2回目の試験飛行を成功させるべく、Starshipの設計に1000か所以上の変更を加えていると述べました。

大きな変更としては、失敗の主な原因になったステージ分離ができない問題の再発を防止するために「ホットステージング」と称する方式を導入することが挙げられます。

これは、1段目ブースターを分離してから2段目に点火するのではなく、分離の直前から2段目を起動する方式。たとえばロシアのProtonロケットはこの方式を採用しており、1段目と2段目の接続部は分離前の2段目の噴射炎を逃がすために格子構造になっています。

マスク氏いわく、ホットステージングはロシアのロケットでは一般的で、この方法を採用すれば1段目ブースターの推進が終わる前に、減速せずに2段目の推進力を得られるため、ペイロード容量が約10%ほど増える利点もあるとのこと。ただし、分離方式の変更をするためには、関連する機構をすべて変更しなければなりません。

また、4月の打ち上げの際に使用されたStarshipのマウントは、強力なロケットの炎が噴射された結果、その周辺も含めて大きく損傷していました。これに関する修復と、次回の打ち上げに備えた対策も行われています。

様々な修正や変更が加えられるにもかかわらず、Starshipの2度目の打ち上げは、今後約6週間ほどで準備が整うだろうとマスク氏は述べています。

ただ、前回の打ち上げの際には、周辺地域に謎の灰や土砂のようなものが降り注ぎ、指令爆破後の破片が近くの州立公園などに多数落下したことが報告されました。そして複数の環境団体が、事前に打ち上げ失敗時の環境および地域社会への影響の可能性を適切に評価していなかったとして、米連邦航空局(FAA)に訴訟を起こしています。この訴訟が、今後FAAが行う打ち上げ許可の条件を厳しくする可能性も、考えられなくはありません。


《Munenori Taniguchi》
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