SpaceX Starship初の軌道飛行試験は上空で制御不能、指令爆破におわる「次に向けて多くを学べた」

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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SpaceXが20日、大型ロケット兼宇宙船 Starship の初めての軌道試験飛行を実施しました。しかし離陸からしばらくすると、機体は明らかに姿勢の制御を失った状態に陥り、離陸後4分ほどで爆破コマンドが送信されました。

当初の予定では、Sparshipは離陸後2分49秒で1段目ブースターであるSuper Heavyのエンジンを停止し、2分51秒でSuper Heavyを切り離し、上段ブースターを兼ねるStarshipの6基のRaptorエンジンが点火するはずでした。しかし打ち上げ直後からSuper Heavyの33基あるRaptorエンジンのうち3基は点火しなかった模様です。さらに、上昇の最中に2基が噴射を停止したのがライブ配信の映像からもわかります。

その後はSuper Heavyをメキシコ湾に着水させ、Starshipを軌道に近い高度まで上昇させ、打ち上げから90分後にハワイ近海に着水させるというのが、全行程でしたが、Super Heavyブースターのシャットダウン~切り離し、ロケット上段となるStaship本体の6基のRaptorエンジンの点火という一連のシーケンスが行われる前に、機体は姿勢を崩して宙返りを繰り返すかのように、制御不能に陥りました。

結局、Starshipは目標としていた軌道には到達できないまま海の藻屑と消えたわけですが、SpaceXは打ち上げ前から今回はあくまで開発のためのテストだと強調していました。そして、ライブ配信のホスト役を務めたSpaceXのJohn Insprucker氏はこの打ち上げの「目標はデータを収集することであり、先ほども言ったように、打ち上げパッドをクリアして再び出発する準備を整えること」だったと説明していました。

また、打ち上げから爆破までの間に、Starshipは最高高度39kmに達していました。これだけでも、SpaceXにとっては大成功だったかもしれません。もし、リフトオフできなかったり、リフトオフ直後に何らかの問題で爆破することになっていれば、今後の打ち上げでも使用する発射台と周辺設備まで破壊してしまい、その再建のために、今後の予定が大幅に遅れる可能性がありました。

SpaceXは、開発期間を短縮するため、複数のバージョンのStarshipとSuper Heavyを並行して製造・保有しています。そして、その最新のバージョンには、今回打ち上げに使用した機体に施した設計変更も取り入れられているとのこと。SpaceXのCEO、イーロン・マスク氏は、今回の打ち上げの試みが失敗に終わった直後、「数か月後の次の試験飛行に向けて、多くのことを学べた」とツイートしています。


《Munenori Taniguchi》
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