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プレクスターが自社開発した最後のDVD±R/RWドライブ「PX-760A」(2006年頃~):ロストメモリーズ File010

テクノロジー Science
宮里圭介

宮里圭介

ディスク収集家

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需要のわからない記事を作る自由物書き。分解とかアホな工作とかもやるよー。USBを「ゆしば」と呼ぼう協会実質代表。

特集

プレクスターが自社開発した最後のDVD±R/RWドライブ「PX-760A」(2006年頃~):ロストメモリーズ File010
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[名称] DVD±R/RWドライブ
(参考製品名 「PX-760A」)
[種類] 光ディスク
[記録方法] レーザー光(650nm)
[サイズ] 146×170×41.3mm
[接続] ATAPI(Ultra ATA/66)
[電源] 5V/12V
[登場年] 2006年頃~

ひとつ、またひとつと消えていき、記憶からも薄れつつあるリムーバブルメディア。この連載では、ゆるっと集めているメディアやドライブをふわっと紹介します。

「PX-760A」は、プレクスターが開発したDVD±R/RWドライブ。当時最速となる18倍速のDVD±R、10倍速のDVD+R DL書き込みに対応したほか、ディスクの品質を測定し、最適な条件で書き込める「AUTOSTRATEGY」機能が強化されていたのが特徴です。

プレクスターの光学ドライブは、高品質な書き込みを武器に、CD-R/RWの時代に多くのファンを獲得してきました。しかし記録型DVDドライブはなかなか発売されず、今か今かと待っていた人は多かったのではないでしょうか。

ようやく発売されたのは、他社より1年半ほど遅れた2003年2月になってから。「PX-504A」という製品が、プレクスター初の記録型DVDドライブとなります。

しかしこのドライブは、4倍速のDVD+R/RWドライブという平凡なもの。すでにDVD±R/RWドライブが登場していただけに、目新しさがありません。しかも、中身はNECの「ND-1100A」というドライブで、プレクスター製の記録型DVDドライブを待ち焦がれていた人達の期待に添えるものではありませんでした。

プレクスターの自社開発による記録型DVDドライブは、2003年9月に登場した8倍速の「PX-708A」が最初です。これは業界初という8倍速書き込みに対応していたほか、対応ディスクもDVD±R/RWと幅広くなっていました。また、2004年5月には12倍速の「PX-712A」、同年12月には16倍速の「PX-716A」が発売されています。

こうして順に追っていくとわかりますが、プレクスターの記録型DVDドライブでは、どこよりも高速なドライブをいち早く投入することが重視されていました。今回紹介するPX-760A(2006年2月発売)も、業界初の18倍速という点が強くアピールされていました。

▲当時の製品ページでも、18倍速の圧が強めです

しかし、プレクスターは元々、CD-Rの書き込み品質で人気となったブランド。それだけに、記録型DVDドライブでは速度競争に傾倒していく姿に、少々白けてしまった人もいたことでしょう。

それでも支持する声が大きかった理由のひとつが、PX-712AやCD-R/RWドライブの「PlexWriter Premium」などから添付されるようになった、「PlexTools Professional」というツールにあります。

一般的なドライブのほとんどは、書き込み時のパラメーターはメーカー任せで、ユーザーが変更することはできません。しかしプレクスターのドライブは、PlexTools Professionalで一部パラメーターを変更した書き込みが可能となるのが強みでした。

このツールでできることは数多くありますが、レーザー出力の調整を行う「VariRec」、線密度を変更することで大容量記録を可能にする「GigaRec」、リード/ライト速度テスト、ディスク品質チェックといった機能には、お世話になった人が多そうです。

▲ドライブの詳細確認から特殊な書き込みまで可能な「PlexTools Professional」

ということで、PX-760Aを見ていきましょう。

細部までこだわったドライブの作りはさすが

プレクスターのドライブは、このPX-760Aの直前に出た「PX-755A」から、フロントパネルのデザインが変わりました。以前はトレーの下部に黒い樹脂がはめ込まれていましたが、これが省かれています。

▲よく見ると凹凸があり、従来デザインをちょっと継承してます

天板部分には3つの凹みがありますが、これは高回転する光ディスクから発生する気流を調整し、振動などを抑えて回転を安定させる目的があります。

プレクスターではPX-716Aからの追加ですが、大体2003年頃から、各社でいろいろな形状の天板が登場しました。例えば、パイオニアだと六角形のハニカム構造(DVR-A08)、日立LGだと深めの凹みと浅い横長の凹みの組み合わせ(GSA-4040B)、といった感じです。

▲凹みは光ディスクを中心に、左右に浅め、奥に深めの3つあります

インターフェースはATAPI(Ultra ATA/66)。その左にあるのは、MA/SL/CS設定切り替え用のジャンパーです。IDEケーブルは1本で2台までのドライブを接続でき、片方をMA(マスター)、もう片方をSL(スレーブ)とすることで、2台ともPCから認識できるようになります。

なお、CS(ケーブルセレクト)にしておけば自動で認識されますが、たまにうまくいかないドライブがあったりもするので、自分はMA/SLを明確に設定していました。速度や認識トラブルを考えて、なるべく1台しか接続しないようにしていたという人も多いでしょう。

▲ATAPI対応ドライブのコネクターは40ピン。Ultra ATA/66なので、80芯のフラットケーブルを利用します

一番左にあるのは音声出力です。この時代にはもう使われることがほとんどなくなっていますが、アナログとデジタルの2種類が用意されていました。

ちなみに、ATAPIではなくSATAで接続する光学ドライブが登場したのが、2004年6月から。PX-712AのSATA版となる「PX-712SA」が初で、このあたりもプレクスターが頑張っていました。

話をPX-760Aに戻しましょう。

ドライブを利用するときにまず驚くのが、トレーが黒いこと。これはオシャレで黒くしているのではなく、レーザーの乱反射を抑え、ドライブ内での光学的ノイズを減らすための工夫です。

▲知らずにイジェクトボタンを押すとビックリする、真黒なトレー

また、このトレーのパネル部分にもこだわりがあり、裏に結構しっかりとしたクッション材が装着されていました。密閉率を高めてホコリの侵入を防げるほか、振動によるパネルのビビリ音、内部騒音の漏洩を防げるといったメリットが考えられます。

▲パネルを外してみたところ。裏にはクッション材を装備

トレー関連で面白いのが、前述のPlexTools Professionalを使うと、トレーのスピードを変更できることでしょう。勢いよく動くトレーは、ガシャガシャとかガコンガコンとか結構音がしますが、スピードを遅くするだけでスゥーッと静かに動くようになります。

▲ローディングとイジェクトで別の速度にできるというコダワリ

トレーのスピードは「Silent Mode」という静音化設定項目で変更できるのですが、ここではCDのリード/ライト速度制限なども可能です。回転数が高いとアクセスは高速になるものの、そのぶん騒音も大きくなりがち。この騒音を抑えるための、低速化設定です。

もうひとつ、PlexTools Professionalの機能として紹介しておきたい……というか、むしろこのためにプレクスターのドライブを購入した人がいたといっても過言ではないのが、ディスク品質をチェックできる「Q-Check」という機能。

光ディスクのエラー率と訂正状況をチェックできるもので、とくにCDでは「Q-Check C1/C2 Test」、DVDでは「Q-Check PI/PO Test」がよく使われていました。

光ディスクは必ずといっていいほどエラーが起こるため、誤り訂正符号で復元するまでがセットで考えられています。復元できるならいくらエラーが多くても読み出せるため、利用上は問題ありません。

▲試しに市販の音楽CDでC1/C2を調べたところ。少ないとはいえC1エラーが発生しています

とはいえ、エラーが連続して頻発すると、訂正しきれない場合が出てきます。音楽CDであれば直前のデータから補間して誤魔化せますが、データCDの場合はそういうわけにはいきません。そのため、エラーは少なければ少ないほど安心できるわけです。

ということで、このディスク品質を比較するのに、エラー数をチェックできるQ-Ckeck機能が便利だったわけです。ただしこの機能、ディスクだけでなく読み書きするドライブによっても変わるため、あくまで目安ですけどね。

高速化の恩恵が少なく、高性能路線も強みが出せず困難に

PX-716Aで初搭載され、PX-760Aで改良された「AUTOSTRATEGY」機能は、太陽誘電が開発した技術。書き込むディスクごとの特性を計測し、それに基づいて最適な書き込み方法を行うというものです。

一般的なドライブは、ディスクに記録されているメディアIDを読み取り、予め登録されている特性データを使って書き込みます。そのため、工場やライン、ロット、製造時期の違いなどによる品質のバラツキにまでは対応できません。

これに対し、AUTOSTRATEGY機能ではディスクの特性を自動で調べるため、こういった品質のバラツキに対応可能。さらに、ドライブ製造以降に登場した未知のディスクに対しても、最適な方法で書き込めるのが強みです。

品質チェックがあるぶん書き込み時間は長くなりますが、PX-760Aではこのチェック時間が短くなったこともあり、かなり実用的になりました。

▲AUTOSTRATEGYの設定はPlexTools Professionalから変更可能。オフにもできます

プレクスターのドライブはCD-R/RWの書き込み品質に定評があり、とくに音楽CD品質にこだわる人に支持されてきました。これは、音楽CDはデジタル化されているとはいえ、圧縮されていないデータを直接再生するメディアであり、ディスク品質や書き込み品質といったアナログ的な要因が音質に影響することがあったためです。

しかし、DVDではデータは圧縮されており、読み出したあと高度なデコード処理が行われます。そのため、訂正できないエラーが起こらない限り、再生品質への影響はまずありません。また、有名メーカーのまともなディスクを選んでいる限り、そうそうエラーが頻発することもなく、そこまで書き込み品質が重視されることがなくなりました。

PlexTools Professionalによる付加価値は魅力的でしたが、これを必要とする人は限られており、一般受けするかといわれると微妙。書き込み速度では業界をリードする存在として頑張っていましたが、そもそもDVDは4倍速書き込みで15分程度。8倍速もあれば10分を切るわけで、これ以上高速化したところであまり意味がありません。

明確な強みが打ち出せないこと、また、人気のあったDVDスーパーマルチドライブに対し、DVD-RAMに対応していないというハンデ(実際にDVD-RAMを使うかどうかはさておき)もあり、継続は困難だと判断したのでしょう。自社開発による記録型DVDドライブは、ファンに惜しまれながらもPX-760Aを最後に途絶えてしまいました。

参考文献:


《宮里圭介》
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