1.4兆円の宇宙望遠鏡は良い投資、米国人の6割が肯定。7割がNASAを支持

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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1.4兆円の宇宙望遠鏡は良い投資、米国人の6割が肯定。7割がNASAを支持
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NASAは先週、ビッグバン直後の宇宙の姿をとらえるべく開発したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)からの、初めてのフルカラー画像を発表し、これまでになく鮮明で美しい星雲や銀河の姿をわれわれに見せてくれました。

英国に拠点をおく国際的なネット市場調査およびデータ分析会社YouGovは、米国人1000人を対象に、宇宙開発やNASA、そしてウェッブ望遠鏡が撮影したカリーナ星雲の画像についての意見を調査しました。

その結果によると「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の開発・建造にかかった100億ドルもの費用は良い投資だったか」との問いに、多くの回答者がイエスと回答し、全体の60%がJWSTは投資に見合う価値があると述べたとのことです。またNASAの活動に対しても全体の70%が好意的な回答を示しました。支持政党別では、民主党支持者は79%が、共和党支持者も72%がNASAを好意的にとらえているとの結果でした。

JWSTはその開発に紆余曲折がありました。もともとは10億ドルから35億ドルという比較的低コストで打上げにまで至る計画でしたが、正式に開発が決定した2008年の時点ですでにコストは50億ドルにまで膨らんでいたとされます。2011年には、かさむ一方の開発コストを米議会が問題視し、計画中止が検討されたものの、米天文学会の反対や国際的な報道が中止に否定的な論調が多かったことから、開発続行が決まりました。

その後も2018年を目標に計画された打上げは、各種科学機器の機体への統合の遅れや、組み立て時のトラブルなどから遅延を繰り返し、新型コロナのパンデミックも重なってしまいます。最終的に打上げにたどり着いたのは2021年のクリスマスのことで、コスト総額も97億ドルにまで膨れ上がっていました。

それでもいざ打上げが成功し、JWSTがとらえた宇宙の果ての銀河が密集するSMACS 0723の画像をバイデン大統領が公開、さらにハッブルを凌ぐ鮮明さで撮影されたイータカリーナ星雲の姿を見たとき、米国の多くの人は、そのために100億ドル(記事執筆時のレートで1.38兆円)が投じられたことなど気にならなくなっていたようです。

YouGovに回答した人たちは、JWSTの画像の数々に「圧倒された」「驚いた」とその感想を述べています。また、この写真が宇宙に対する理解に与える影響について語った回答者もいたとのこと。YouGovは「NASAの継続的な宇宙探査が科学的知識に広く貢献していることを称賛する人もいれば、望遠鏡が他に何を発見するのか楽しみだと言う人もいる」と調査に関するリリースで述べました。

先週公開された一連の画像は、まだ最初の一歩に過ぎません。これから数多く届けられるであろう遙か彼方の宇宙の姿や、そこから得られる情報によっていままで見ることができなかった宇宙の姿から宇宙への理解をもっと深めていくことができるはずです。JWSTはこれから約20年にわたり活躍することが期待されています。退役するまでには100億ドル以上の価値を伴う成果があがっていることを願わずにいられません。

Source:YouGov

《Munenori Taniguchi》
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