iPhone Airはその薄さから、2014年に発売されたiPhone 6が簡単に折れ曲がってしまう問題「ベンドゲート」を想起する人が多く、内部スペースの小ささからバッテリー消耗も早いのではないかとの声が一部ではありました。
しかし発売から数日が経過した時点でのネット上の評価を見てみると、どうやらiPhone Airに対する当初の心配は杞憂に終わりそうな気配です。

発表時、iPhone史上最薄をうたう5.6mmの厚さに、上位モデルであるiPhone 17 Proと同じ(厳密にはやや異なる)A19 Proチップを搭載するパワフルさも兼ね備えているiPhone Airは、そのデザイン性の高さに注目が集まる一方で「簡単に折れ曲がってしまうのではないか」、「バッテリーがあっという間に消耗してしまうのではないか」といった心配の声がありました。
しかし9to5Macは、実際にこの新しい薄型iPhoneを手にしたユーザーの感想は当初の予想に反して「耐久性とバッテリー寿命について、驚くほど肯定的な意見で一致」していると伝えています。
YouTuberのJerryRigEverythingは、入手したばかりのiPhone Airに対し耐久性をテストする動画を公開しています。この動画からは、細いドライバーやカッターナイフでを突き立てたり、ディスプレイをライターで炙るといった、iPhone Airへの虐待行為によって、残念ながら側面のフレームにはカッターの傷が大きく残ってしまったものの、それ以外の場所には目立つほどの傷は付かず、少しの炎ではディスプレイが故障することもないことがわかります。
また動画の後半では、手でiPhone Airをへし折ろうとするも、あまりの硬さに断念。どれほどの硬さがあるのかを知るため、自動車の修理工場らしき場所にこの薄いスマートフォンを持ち込み、チェーンブロックと呼ばれる重量物を吊り上げる道具を使ってiPhone Airに負荷をかけるテストを実施しています。その結果、ディスプレイに亀裂が走り、明らかに本体が「くの字」に曲がったときにiPhone Airに加えられていた力は約98kgに達していることがわかりました。日常的な使い方において、これほどの力が加わることは考えにくいことから、iPhone Airの強度についてはさほど心配する必要はないと言って良さそうです。
なお、iPhone Airはサバ折りにされて画面に亀裂が入り、完全にはもとの形に戻らないほど変形してしまっても、問題なく動作しているように見えました。これは、iFixitが公開したiPhone Air解体レポートを見ればわかるように、iPhone Airの内部構造的に、非常にコンパクトに設計されたメイン基板はほとんどがカメラバンプの部分に収められており、その他の、特に薄い部分のほとんどがバッテリー用のスペースになっていることが要因といえそうです。

iPhone Airのフレームに使われているチタンには、曲げモーメントが加えられても元の形状に戻ろうとする特性があります。アップルによるテストの様子では、橋をかけるようにiPhone Airを上端部と下端部で支えるように置き、その中央部に上から約60kgの負荷をかけてたわませる様子を見ることができますが、負荷をかけるのをやめれば、iPhone Airはほぼ元通りの形状に戻っています。
ただ、一度不自然に変形させられたバッテリーは、いつ内部でショートが発生するかもわからないので、万が一、手持ちのiPhone Airが大きく変形するようなことがあれば、速やかに代替の品に交換するほうが良いかもしれません。
バッテリーの持ちに関しても、YouTubeチャンネルのThe Tech Chapが実施したテストでは、iPhone AirのバッテリーがiPhone 17(無印)や、昨年のiPhone 16 Proと遜色ない結果をおさめていることが紹介されています。
もちろん、背面のカメラがシングルであったり、内蔵スピーカーがステレオ対応していないなどの簡素化された部分もiPhone Airにはあります。しかし、手持ちの機種から買い替えて、これから何年か使い続けるうえで重要な耐久性とバッテリーの持ちが予想以上に良いのなら、それらを心配して購入を見送る必要はなさそうです。
ちなみに、iPhone Airのバッテリーの持ちについて不安なユーザーにはiPhone Air専用として発売された「iPhone Air MagSafeバッテリー」がおすすめです。iFixitはこの外付けバッテリーについても分解動画を公開し、その内部におさめられたバッテリー部品がiPhone Airに内蔵されているバッテリーと同一品であることを確認しています。