AI作曲サービスのSunoが魅力的な機能を追加した新モデルv4.5+をベータ版として公開しました。有料プランのユーザーのみが利用できます。



今回の新機能によりSunoは「ミュージシャンなら使わないともったいないレベル」に達したと言って良いでしょう。
v4.5+はまず、基本機能が向上しています。リズムに関しては、繰り返しを減らし、特にメタルやポップ・パンクでバリエーション豊かな展開が可能になっています。
ハーモニーが強化され、即興的で複雑なボーカルアレンジを実現。プロンプトで曲をアレンジするカバー機能、ボーカルなどのキャラクター性を維持するペルソナ機能が強化されています。
これに加え、ボーカル、インスト、インスパイアという3つの新機能を提供しています。
Sunoはこれまでも最長で8分までのオーディオアップロード機能があり、そこからExtend(延長)、Cover(アレンジ)、STEM(パート別分離)が可能でしたが、さらに使いやすくなっています。
Sunoが作曲したインストゥルメンタル曲や、STEMのボーカル抜き音源をベースに、歌詞を付けて楽曲として完成させることが可能になりました。
逆も可能です。Sunoのインスト曲で気に入ったものがあったり、ボーカルだけ差し替えたい場合にも、対応できます。
つまり、プロンプトを変えていくだけでアレンジやり放題。作曲・編曲の可能性が無限に広がるということです。
ボーカルだけはできたけど、伴奏するためのスキルがない。そもそもコードとかわからない。でも、楽器の編成や雰囲気の指定はできる。そういった「万能ではないミュージシャン」のためのツールと言って良いでしょう。
いいコード進行の伴奏はできたけど、ボーカルのメロディーが考えられない。そんな場合にも対応が可能です。
具体的には、Sunoにアップロードされたボーカルまたはインストトラックから、Remix/Editメニューを呼び出し、その中のAdd Instrumental、Add Vocalsを選択。


すると、Create画面になるので、音楽スタイルや歌詞を指定して完成させます。音源がボーカルだけの場合は、音楽スタイルや楽器を追加しておきます。
試しに、GrokのAniさんにラップをしてもらい、そのオーディオをアップロードして、伴奏をつけてもらいました。そこからさらにカバー機能でKawaii Futurebassにアレンジして、Hedraでリップシンクを追加。
インスパイア(Inspire)は、指定したプレイリストの曲を参照し、その雰囲気をもとにした曲が作成できる新機能。ただし、プレイリストの中で参照できるのは自分がSunoで作成した曲だけです。
従来も、ペルソナ(Persona)機能を使えばボーカルと音楽スタイルを指定することはできました。しかし、複数の音楽スタイル、ジャンルの幅を持たせたい場合には、その都度音楽スタイルを指定しなければならず、意図通りのサウンドはなかなか出しづらかったのです。
しかし、この新機能では複数楽曲をまとめて指定できるので、雰囲気(Vibes)でこんな感じの曲、というのが生成しやすくなります。これまでシティポップ風、Kawaii Futurebassなどのニッチジャンルを作ってきた人も、そのプレイリストを指定さえすれば、お気に入りの曲を簡単に作れるようになるというわけです。
Inspoというボタンを押すと、プレイリストを指定できます。以前作った架空のプログレバンドThe Midnight Odysseyのプレイリストを参照して、新曲を作ってみました。ちなみに、最近、AIで作ったのではないかという疑惑のロックバンドが話題になっていますが、The Midnight Odysseyは昨年2月にデビューを果たしております(笑)。

曲はクラシックロックというよりはエレクトロな感じですが、ボーカルや歌詞のスタイルはThe Midnight Odysseyで目指したもので、第一に曲がそもそも良いです。Synchronicityの頃のThe Policeっぽい。
妻音源とりちゃん[Suno]というペルソナで作った曲のプレイリストからも生成してみました。音楽スタイルを指定しないで生成したら、エレクトロなサウンドになって、これも新鮮で、しかしボーカルの雰囲気は維持していて、良いです。

また、いつの間にか、テンポコントロールが倍率単位でできるようになっています。前回のアップデートでBPMで可能でしたたが、今でXX.X倍の指定ができます。ピッチは維持することもできます。つまり、タイムストレッチ機能が実装されたということ。
さっきの曲を1.12倍速にしてみました。
DAWや各種プラグインと同様に、ツールとしてのSunoを見直しておくべきではないかと考えます。「自分で作曲できるからAIは不要」という人にとってもかなり有用なレベルに到達したのではないでしょうか。