劣化した、もしくは古いビデオをレストアするための変換・アップスケールソフトとして定評のあるTopaz Labsの「Topaz Video AI」。

筆者は自分のホームビデオから生成AIのアップスケールまで活用していますが、新機能の「Project Starlight」がこれまでとはレベルが違う性能を見せているので、使ってみました。
Project StarlightはTopaz Video AIが初めてDiffusionモデルを採用したもの。これまでは十分に対応できなかったタイプの動画も修復できるそうです。

Topaz Video AIの最新バージョンである6.1にアップデートすると、Project Starlightに既存のプロジェクトをそのまま適用することが可能。
Topaz Video AIはローカル処理するソフトなのですが、Project Starlightはサーバクラスのグラフィックスハードウェアを必要とするため、処理する元動画をクラウドにアップロードする必要があります。
この処理はプライベートクラウドで行われるため、公開されることはないとしています。
なお、既存のTopaz Video AIユーザーは週に3回まで、それぞれ10秒までのProject Starlight利用が可能。それ以上は、別途クレジットを消費することになります。
これはTopaz Video AIのサブスクリプション料金とは別。筆者は毎月400クレジットが使えるプランにしました。月額39.99ドルです。

まずは無料分で試してみました。1988年10月24日に、Video 8(8mmビデオ)で撮影した妻と長男のクリップですが、きれいにノイズが除去され、人物も背景の質感もディテールがわかるようになっています。
比較のために、オリジナルの8mmビデオ(をキャプチャしたもの)、以前Topaz Video AIでアップスケールしたもの、Topaz Video AI Project Starlightの順で並べてみました。
その違いは歴然です。色調はFinal Cut Proで調整しましたが、それができるのも解像度が上がっていて走査線が出ていないおかげ。ディテールがしっかり補完(というか補充)され、しかも不自然さは感じられません。


驚くのは文字のディテール部分。壁に掛かったパネルで妻がRolandのシンセサイザーを弾いているのですが、オリジナルではまったく読めないRolandの文字がProject Starlight処理後にはほぼ完全に読み取れます。


昔のビデオは全部これで変換したい。そんな気持ちにさせられます。
1分40秒のホームビデオを300クレジット使ってProject Starlight生成してみました。後半がオリジナルです。1時間20分かかっていますが、満足できる出来栄えです。毎月、少しずつ修復するのが楽しみです。
なお、Starlightは90クレジットで1分の利用が可能なのですが、この動画は60fpsのため、2倍かかっているのでした。
顔の修復に関しては、1カ月前にSVFRというオープンソースソフトを試しています。
試したときには解像度が512×512ピクセル固定だったため、アップスケールという点では限界がありましたが、顔のディテールを取り戻すには良い技術で、さらなる発展が期待できます。

商用ソフト、オープンソースの双方でAI修復のレベルが上がっているのは非常にありがたいことです。