AIを使うと好みの楽曲を作ることができますが、細部を詰めようとすると難しい。今回はそんなお話です。
■架空の1980年代J-POP動画が大人気
「AIが奏でる80s Style Jpop / AI plays 80s」というYouTube動画が大きな話題を呼んでいます。冒頭、「悲しみはロンリネス」という80年代っぽい歌詞で始まる「めぐる」がいきなりの名曲。しかし、実際には存在しないAI生成による楽曲です。
投稿者はPlay Musicaさん。Suno AIで制作しているそうです。コメントを見ると、好みの楽曲に行き着くにはガチャ、つまり何度もトライするのは必須な模様。
筆者はこれまで、架空のプログレコンセプトアルバム、ラップ、歌謡曲など、それっぽい作品をAIで作ってきました。
しかし、J-POPのコンピレーションアルバムというコンセプトはやったことがなかったので、自分でもやってみることに。
■Sunoで架空のJ-POPコンピを作る方法
今回は、まずはJ-POPの名曲の特徴をChatGPTに分析させることから始めます。
次に、コンピレーションアルバムのタイトル、楽曲名と歌詞のエッセンスを出させて、それぞれの音楽スタイルをSuno向けにまとめさせます。
歌詞は、「煌く街の灯りに包まれて走り抜ける夜」といった歌詞のエッセンスをSunoの歌詞フィールドに入れて自動生成します。
■12曲を作るためにSunoで340曲を生成
そうやって出来上がったのがこちらの動画。
自分的に満足するものができるまで、およそ340曲を生成しました。出来上がったものに現代風なサウンドが入ってしまい「なんでこれが80sなんだよ」ってなったり、メロディーが気に入らなかったりというのは排除していますが、歌詞の間違いも、以前ほどではないにしろ、あります。
いいメロディーなんだけど、漢字の読み方で致命的なところがあったら、そこを間違えないようにひらがな、カタカナに変えて出力しなおし。Covers機能を使ってできないことはないんですが、ちょっと工程がめんどくさいんですよね。
修正の手間を考えると、もう一度生成してみよう、となってしまいます。もっと簡単に歌詞を変えられないかと思っていたら、Sunoの新機能が出ました。
■歌詞修正機能を使えば試行回数を減らせる
Sunoの新機能は「Replace」。選択した範囲の修正ができるというものです。完成した楽曲の範囲を選択して、その部分の歌詞と音楽スタイルを修正することが可能です。
ではやっていきましょう。J-POPコンピアルバムを作ったときの楽曲「Lost in Your Eyes」で、ただ一箇所の歌い方が気に入らず、ボツにした曲があったのです。これを修正したい。
1分44秒くらいの「孤独の中の君を見つめ続ける僕」のを、「孤独の中」「の君を」「見つめ続け」「る僕」とぶつ切りにして歌っているのです。これは気持ちが悪い。
曲としてはすごく気に入ってるんです。イントロのエレクトリックシタール風のシンセサイザーはポール・ヤング版「Everytime You Go Away」を思わせ、80年代洋楽風味たっぷりなので。
さて、SunoのReplace Selectionですが、修正したい楽曲のEditメニューから選びます。
すると、楽曲全体の波形が表示され、再生しながら、修正するポイントをドラッグして選択します。選択できるのは10秒から30秒まで。
選択した部分は歌詞フィールドに表示され、全体の位置は右端の歌詞全体の中で赤く表示されます。
新しい歌詞を指定し、Replaceボタンを押すと、確認画面が出るので、Confirmボタンを押します。
すると、2パターン、修正候補が生成されます。気に入らなかったら、さらにボタンを押すと、また2パターン出てきます。気に入るまでやりましょう。
良い生成結果が出たら、Selectボタンを押して、確定させます。すると、完成した楽曲のFull Songが生成されます。
では、修正前と修正後を比較してみましょう。メロディーラインやバッキングも変わっていることがわかります。
完成版はこちら。
なお、歌詞フィールドに、[Drum Break]とか[Guitar Solo]を入れると、歌詞修正だけでなく、楽器演奏の指定もできます。
次回からはこのReplace Selection機能を活用していきたいと思います。