Apple WatchのマイクロLED搭載プロジェクト中止か。Apple Car (仮)と同時に整理との報道

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

特集

Image:Apple/YouTube

アップルはスマートウォッチ最上位モデルApple Watch Ultraシリーズに、いずれ次世代ディスプレイ技術「マイクロLED」を採用すると見られていました。

これはアップルの事情に詳しい記者のみならず、ディスプレイ関連サプライチェーン専門家など識者らも一致して述べていたことです。

先日、このプロジェクトが一時的に棚上げされたとのアナリスト報告をお伝えしました。


それに続き、アップルがスマートウォッチ用ディスプレイを独自設計・開発する長期プロジェクトを終了させたと著名ジャーナリストが報じています。

アップルの内部情報に精通するBloombergのMark Gurman記者は、同社がマイクロLEDディスプレイを開発する社内の取り組みを中止したと報道。

その決定が、噂の自社ブランドEV「Apple Car」開発中止とほぼ同時期に行われたと述べています


なお、マイクロLED搭載Apple Watch UltraもApple Carの存在も、アップルは公式に一度も認めたこともコメントしたこともなく、どちらも「発表されたこともないプロジェクトを、部外者が中止と報じている」に過ぎません。

今回のマイクロLED開発プロジェクト中止に関する記事の概要は次の通りです。

  • 中止の原因は、最終的に製造コストと複雑さがあまりにも大きいことが判明したため

  • 具体的には大量生産が困難。LEDチップを基板に転写する(ディスプレイにピクセルを配置する)工程が複雑

  • 本プロジェクトは、アップルがより多くのパーツを自社で設計するという広範な方針の一環だった

  • マイクロLED化のメリットは、現行モデルの有機ELディスプレイより消費電力が少なく、色を正確に再現でき、デバイスの薄型化を可能にすること

  • プロジェクトが始まったのは約7年前。開発コード名は「T159」

  • 本社近くに独自のディスプレイ製造施設を建設、そこで数百人のスタッフがマイクロLED画面の製造をテスト

  • 当初は2020年、Apple WatchにマイクロLEDを搭載する予定だった。それが2024年、そして2025年以降に延期

アップルは自前でマイクロLEDの設計とテスト分の生産はできたものの、大量生産のためには製造パートナーが必要となります。

その1つが、先日名前の挙がっていた照明大手のOsramであり、アップルが契約をキャンセルしたと著名アナリストMing-Chi Kuo氏が報告していました

これと並行して、サムスンが将来のGalaxy WatchにマイクロLEDを搭載するとの噂もありました。韓国の電子業界誌The Elecが報じたほか、サムスン公式に「スマートウォッチなどの小型画面にもマイクロLEDを導入できるよう検討中」と述べていたこともあります。

しかし、サムスンの未発表製品に詳しいリークアカウントRevegnusは「アップルのマイクロLEDプロジェクトが頓挫したことで、サムスンのプロジェクトも不確実になった」とXにポスト。なぜなら、アップルとサムスンのロードマップは非常に似ているため、とのこと。

もっとも、今回の記事では「アップルが将来的に他のプロジェクトでマイクロLEDを使うことを視野に入れている」との関係者の証言を報じています。社内で培った技術が、数年後にiPhoneやiPad、MacBookに活かされるのかもしれません。


《Kiyoshi Tane》
Kiyoshi Tane

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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