低軌道の宇宙基地局から市販4Gスマホへ直接10Mbps接続、AST SpaceMobileが実証実験に成功

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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地球低軌道に配備した衛星基地局を通じ、市販のスマートフォンを地上のあらゆる場所で利用可能にすることを目指すAST SpaceMobileが、最新の実験で10Mbpsのダウンロード速度を記録したことを発表しました

AST SpaceMobileは2022年9月に地球低軌道(LEO)に試験用の人工衛星「BlueWalker 3(BW3)」を打ち上げ、今年4月には、世界初というLEO上の衛星と市販携帯電話とのモバイルブロードバンド通信の確立、地上2拠点間を衛星で中継する音声通話に成功しています。この実験は楽天モバイルが協力して行われていました。


今回の実験では、軌道上のBW3衛星から、ハワイで日常的に使われている複数の市販無改造スマートフォンへのダウンロード速度を計測し、10Mbps以上を繰り返し達成できることを確認したとのこと。実験はAT&Tの周波数帯域とNokiaの無線アクセスネットワーク(RAN)を用い、4G LTE通信によって、上記速度を繰り返し安定的に確認できたとしています。

AST社は、この無改造携帯端末への宇宙からの4G速度によるセルラー通信の達成も、やはり世界初の成果だと述べつつ、実験の成功は「全米の人々が、それぞれの居場所に関係なく接続を維持できる世の中の実現に一歩近づいた」と述べています。

さらに、AST SpaceMobile会長兼CEOのAbel Avellan氏は「われわれの宇宙基地局によるセルラー機能は、セルラー通信の重要な拡張となるよう設計されている。電話に期待される基本的な音声通話とテキストサポートに加え、ユーザーはインターネットブラウジングや、ファイルのダウンロード、メッセージングアプリの使用、さらには動画ストリーミングも可能になるだろう」とコメントしています。

4Gによる通信が十分に可能であることを確認できたのを受け、AST社は次なるステップとして、今度は5G通信をBW3衛星との間で実験したいと考えています。

ちなみに、AST社が使用するBW3衛星は約64.4平方メートルという、商業衛星として最も巨大なアンテナを備えており、これで地上との通信を実現しています。しかし、あまりに大きなアンテナは夜空で太陽光を反射して非常に明るく見えるため、天文学者たちにとっては観測の邪魔をする厄介な存在かもしれません。


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