なぜアップルの幹部は人前でギターを弾きたがるのか #WWDC23 でフェデリギ上級副社長がヴァン・ヘイレン披露(CloseBox)

カルチャー Music
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

なぜアップルの幹部は人前でギターを弾きたがるのか  #WWDC23 でフェデリギ上級副社長がヴァン・ヘイレン披露(CloseBox)
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WWDC23キーノートではVision Proが発表され、大きな注目を浴びています。しかし、発表が始まって1時間ちょっと前あたりに驚くべきシーンがあったのをみなさん、覚えているでしょうか?

アップル基調講演の花形で、毎回何がしか面白い仕掛けをしてくる人物、ソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長であるクレイグ・フェデリギが今回もやってくれました。

macOS Sonomaの新機能を軽くまとめたフェデリギはなぜか革ジャンでトリプルネックギターを肩から下げて、ギターソロを弾き始めたのです。次のAirPods紹介に繋げるために、「80年代メタルを聴いたり……」と、ただそのためだけに。

バックにはマーシャルの巨大なアンプ。ギターには旧アップルロゴと同じレインボウが入っています。

手元をアップにして彼が弾き始めたのはヴァン・ヘイレンのファーストアルバム「炎の導火線」から「Eruption」。当時はライトハンド奏法とかトリルとか呼ばれてて、ギター小僧たちがこぞって真似してた、定番中の定番。彼にとってのギターヒーローは、故エディー・ヴァン・ヘイレンだったのでしょうか。その後はブラックサバス「パラノイド」のイントロ。ギターはトニー・アイオミですね。ちなみに弾いていたのは真ん中のネックだけで、トリプルネックの意味は全くありませんでした。


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ただ、このギター演奏が単なる当て振りではなく、ちゃんと演奏していることは、その2日後に証明されました。

最近のWWDCでは恒例となっている、人気ポッドキャスト番組「The Talk Show」に登壇したクレイグ・フェデリギは別のギター(シングルネック)でやはり同じくヴァン・ヘイレンのEruption(のショートバージョン)を弾いたのです。この演奏シーンを投稿したツイートには多くの賛辞が寄せられています。彼の人気ぶりがよくわかります。

The Talk Showのフル動画はYouTubeで公開されました。この最後のところで、ワールドワイドマーケティング担当上級副社長であるグレッグ・ジョズウィアック(ジョズ)が用意しておいた革ジャンを着せ、ギターを持たせて、本当に弾けるのかどうか見せてやれ、という流れで弾くことになったのです。

実を言うと、クレイグ・フェデリギが基調講演でギターを弾くことになった黒幕はジョズ。マーケティング責任者として、アイキャッチが欲しかったところでクレイグがギターを弾けたことを思い出し、それをやらせたと明かしていました。The Talk Showでの仕込みは司会のジョン・グルーバーとジョズの共謀で、「え、やるの?」というクレイグに、「マーケティングがいつも勝つのさ」とジョズ。そうしてギターソロ再演となったわけです。

1990年代だったと思うのですが、アップル幹部のフランク・カサノバが日本で行われた発表会になぜか自分のギターを持ち込んで弾き出したのを思い出しました(今回のクレイグ・フェデリギほどうまくはなかったですが、当日目撃していたアップル関係者の話では。このときはコードが弾けるくらいで、後で練習して、再び人前で披露したそうです)。ちなみにフランク・カサノバは2019年にアップルのAR責任者となったという記事がありました。ひょっとして、今回のVision Proにも何らかの関わりがあったのかもしれません。

自社の重要な発表会で、好き勝手にギターを弾いたりできるのはなんとも自由でいいなあと思うと同時に、創業者が自腹でロックフェスを開催したりする、ロックミュージックを基底にした文化がまだ続いているのだなと思ったりもします。

そういえば、97年から2004年までアップルジャパンの社長を務めた原田泳幸氏も発表会でドラムを叩いていたし、Mac'n Roll NightというMac業界バンド合戦も4回くらいやっていました。そんなことを懐かしく思い出します。

Apple Musicの新機能「Song Credits」

そしてアップルは今回、ギタリスト(とそれ以外の楽器のプレイヤー)にとって大きな発表をひっそり行いました。それは、Apple Musicに、楽曲ごとの参加ミュージシャンのクレジットが掲載されるようになったことです。

アップルが6月7日に発表した、今秋登場予定のAppleサービスについてのリリースによれば、Apple Musicの「Song Credits」という新機能がそれ。これまでの音楽サービスで、こうした情報を搭載しているところは知る限りありません(追記:音楽ストリーミングサービスのTidalが2019年からクレジット情報を提供していますが、残念ながら日本ではサービス自体使えません)。

たとえばマイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」のギターソロを弾いているのがエディー・ヴァン・ヘイレンで、リズムギターを担当しているのがスティーブ・ルカサーだったり、そのパロディ盤であるアル・ヤンコヴィックの「今夜はイート・イット」ではリック・デリンジャーがソロを弾いているとかが、Song Creditsならば曲を聴きながらわかるはずです。


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《松尾公也》

松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

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