Twitter、サード製アプリ締め出しで自分が落ちる「現在のプランではアクセスできません」エラー表示

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テクノエッジ編集長。火元責任者兼任 @Ittousai_ej

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Twitter、サード製アプリ締め出しで自分が落ちる「現在のプランではアクセスできません」エラー表示

日本時間の3月7日未明、Twitter でリンクが開けない・画像が読み込めない等の不具合が発生しました。

障害が継続したのは数時間。完全にログインできないわけではなく、機能が落ちた状態でツイートは可能だったため、地域によってはトレンドがTwitter Down や Twitter API等で埋まる事態になりました。


Twitter は2023年に入ってからだけでも数回の不具合やサービス停止を繰り返していますが、今回の障害が斬新だったのは、ユーザーがリンクを開こうとすると「your current API plan does not include access to this endpoint」といったエラーメッセージが表示されたこと。

「あなたの現在のAPIプランではこのエンドポイントにアクセスできません」、つまり本来はサードパーティ製のクライアントアプリやサービスに対して、現在の(無料)プランでは使えませんよというエラーになぜかTwitter本体が引っかかり、ユーザーに向けて「詳しい情報は開発者サイトへ」と案内していた状態です。

最近のTwitter はサービスに不具合が発生しても特に説明しない / できない場合や、解決してからイーロン・マスク氏が旧経営陣や社員を非難するツイートで認める例が続いていました。

しかし今回は障害の発生中に Twitter Support から、「Twitterの一部が期待どおりに機能していない可能性があります。内部的な変更が意図しない結果を招きました」、復旧作業中ですと、曖昧な表現ながら問題の発生を認め原因にも触れる、大幅な改善を見せています。

Twitter は今年1月、サービスやアプリがTwitterの機能を使うための仕組みであるAPIへのアクセスを予告なしに遮断し、サードパーティ製クライアントアプリやサービスを停止させたのち、APIの有料化を発表していました。

Twitterの普及とともに歩んできた著名クライアントアプリも利用できなくなり、ユーザーの多くが影響を被りましたが、Twitterは広報部門を廃止したため何が起きているのかの照会には応えず、また開発者に対しても事前告知はなく、問題が発生してからの問い合わせにも回答がなかったことが分かっています。


このTwitter APIのアクセス遮断・サードパーティ締め出しについては、当初の告知なし遮断から「善良なBOT」や一部機能のみの軽量なプランについては無料アクセスを認めるなど、よく言えば柔軟な方針変更を繰り返したのち、有料化の期日を予告しては延期、予告しては延期を重ねてきました。

今回の障害についても、きっかけは単なる内部的な手違いながら、それがサービス全体に及ぶ規模になった理由には、経費削減のための大量解雇で現場を知るエンジニアや緊急事態に備える体制が損なわれた状態で、API有料化による収益確保を急いだ背景がありそうです。

CEOであるイーロン・マスク氏は、トレンドがTwitter関連で埋まった画像に対して、「小さなAPI変更が大きな結果につながった。コードスタックは大した理由もなく非常に壊れやすい作りになっている。最終的には完全に書き直す必要があるだろう」と答えています。

Twitter の内部に有力な情報源を持つ Casey Newton氏によれば、サービス全体に影響を与えるAPI有料化プロジェクトに対して、信頼性を確保する役割のSRE (Site Reliability Engineer)はただ一人。設定変更を間違ったことでサイト全体が破綻する事態になり、イーロン・マスク氏が激怒したことを社内の情報源から伝えています。

ツイッターはイーロン・マスク氏が裁判に訴えてまで回避しようとした高値での買収であったこと、買収の方式的にTwitter社自体に莫大な債務が生じ利払いに追われる状態であること、加えてマスク体制移行後の広告主離れなどの理由で昨年同期比マイナス40%と大幅に収益性が悪化していることなどから、あらゆる手を使ってコストを削減する必要に迫られています。買収前からは比較にならないほど悪化した環境とは思いますが、せめて「complete rewrite」時にはもう少しエンジニアを増やした体制で挑んでくれることを祈るばかりです。


《Ittousai》
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