Tileトラッカー、存在を隠す「盗難防止モード」対応。悪用したら罰金1億円でストーカー抑止

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山本竜也

20年務めた会社を辞めて、ガジェットなど好きなことをブログなどに書いて生きています。

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Tileトラッカー、存在を隠す「盗難防止モード」対応。悪用したら罰金1億円でストーカー抑止
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紛失防止タグのTileが、あらたに「盗難防止モード」を提供すると発表しました。

同社がストーカー対策として導入した「スキャン&セキュア」機能からTileの存在を隠すモードで、利用には政府発行のIDで本人確認を行い、犯罪に利用した場合には100万ドル(約1億3500万円)の罰金を支払うことに同意する必要があります。

AppleのAirTagが登場して以来、Bluetoothタグの認知が高まったことで、ストーカー被害の懸念も大きな話題となっています。相手のカバンや持ち物にタグを忍ばせることで、簡単に追跡できてしまう問題です。

Appleはこの問題に対応するため、AirTagが音を出して存在を知らせる仕組みとしたほか、他人のAirTagが自分と一緒に移動している場合にはiPhoneが通知を出せるようにアップデートし、未知のAirTagを高精度で特定できるようにしました。

これに追従するよう、Tileでも2022年3月から、付近にあるTileを検出できる「スキャン&セキュア」機能をアプリに導入しています。

ストーカー対策としてはある程度有効と思われるこうした機能ですが、別の問題も浮き彫りになっています。それが盗難対策です。

たとえば自転車にAirTagやTileを隠して装着しておくとします。この自転車が盗難された場合、持ち主はアプリから位置を特定することを期待するはずです。しかしストーカー対策機能により、盗品にタグがついていることは犯人にも簡単にわかってしまい、すぐに外されてしまうというわけです。

Tileの「Anti-Theft Mode(盗難防止モード)」はこうした状況の改善を目指した機能。「スキャン&セキュア」でも見つけられなくするというオプションで、泥棒がストーカー対策機能を悪用することを防げます。

反面、ストーカー行為をしやすくなってしまうわけですが、Tileではこれを非常に厳しい利用規約で縛ります。具体的には、盗難防止モードを有効にするには、下記の3点に同意する必要があります。

  1. 政府発行の身分証明書による本人確認

  2. 法執行機関と提携し、この情報を共有することを許可すること(ストーカー行為が疑われる場合は令状がなくても可)

  3. Tileを犯罪に使用したと法廷で認められた場合、100万ドルの罰金を支払うことに同意すること

簡単にいえば、匿名でTileの盗難防止モードを利用することはできず、犯罪行為が疑われる場合には情報を当局に提供するということ。

Tileにどこまで個人情報を預けるのかという問題はありますが、犯罪行為に使わないのであればまず問題はない内容ではあります。

ちなみに、100万ドルの罰金という内容について、どこまで実効性があるのか疑問もありますが、Tileの親会社Life 360のCEOであるChris Hulls氏は、「私たちの製品を悪用した場合、法律の重さを十分に感じ、深刻な金銭的影響を受けるよう、最善を尽くします」とのこと。Tileを使ったストーカー犯罪の件数は非常に少ないので、企業としてこれに関わる余力があり、全力で取り組めるともしています。

ちなみに、Tileがリリースしたスキャン&セキュア機能の使用状況は、全世界で1日平均52回ほどとのこと。数百万人のアクティブなTileユーザーがいるにもかかわらずです。

Appleはデータを公開していませんが、Hulls氏は似たようなものだろうと考えています。実際、Android向けのAppleの「トラッカー検出(Tracker Detect)」アプリのインストール率は0.01%未満で、その数は徐々に減少しているとのことです。

ようするに、ストーカー対策として打ち出されている機能は、実際のところは役に立っていない(泥棒には役立っている)ということ。こうした状況を踏まえ、ストーカー問題に対応する有意義な方法として、3つの提案をしています。

  1. リアルタイムのGPSトラッカーなど、小型で人に装着できる位置情報デバイスは、すべて実名登録を義務付ける

  2. ストーカー犯罪を重罪にする

  3. 暗黙のうちに、あるいは明示的に人をこっそり追跡するために販売されているすべての装置を禁止する。これはプラットフォームレベルでも可能で、例えば、GoogleやAppleはこれらのアプリをストアから削除することができ、そうすべき。

身元確認によって逮捕される可能性が高まり、また重罪化することで、Bluetoothトラッカーメーカーに圧力をかけるよりも強力な抑止効果が得られる可能性があるとしています。

なお、Hulls氏は、盗難防止機能を有効化したTile製品がそれでも悪用された場合、その事例に関するすべてのデータを、法的に可能な限り公開すると約束。「数字が私たちの主張が正しいことを証明してくれると強く確信していますが、もし私たちが間違っていることがわかったら、軌道修正し、公にその誤りを認めます」と締めくくっています。


Apple AirTag 4個入り
¥15,334
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

《山本竜也》
山本竜也

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