アップルのAR/VRヘッドセット、本格出荷は2023年後半まで延期?ソフトウェアに(また)問題か

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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Ian Zelbo

「アップル初のAR/VRヘッドセット」は公式に言及されたことが一度もないにもかかわらず、すでに「2023年3月に量産開始、翌月に発表」との予測が一定のコンセンサスを得たような状態です。

そんななか、本格的な出荷は2023年後半まで「延期」されるようだとの新説が浮上しています。

アップルの未発表製品に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏は、最新の調査に基づき「アップルのMR(複合現実=ARとVRを含む概念)ヘッドセットの大量出荷スケジュールは、ソフトウェア関連の問題により2023年後半まで遅れる可能性がある」とツイートしています。

そもそも未発表の製品の出荷が“遅れる“とはおかしな話ですが、これは以前Kuo氏が予想した2023年第2四半期(4月~6月)に対してのことです。

少し時系列を遡れば、アップル製ヘッドセットは今年6月の開発者向けイベントWWDCで発表されるとの噂があったものの、Kuo氏は当時「まだ量産までには時間がかかる」として否定的でした

実際に、今年のWWDCでの発表はナシ。そちらが当たったため、Kuo氏のいう「2023年1月にメディア向けイベントで発表、第2四半期予約注文を開始、WWDC 2023(おそらく6月)の前に店頭に並ぶ」とのタイムスケジュールが信ぴょう性を増すことに。

さらに、台湾の電子部品業界情報誌DigiTimesによる「2023年3月に量産開始、翌月に正式発表」とのサプライチェーン情報ともほぼ符合していたため、「だいたい3~6月頃に量産開始」は定説と見なされていた次第です。

しかし、Kuo氏の最新調査によれば「ソフトウェア関連の問題」のために完成品の出荷が遅れる可能性が浮上。さらに続きのツイートで「部品の大量出荷は依然として2023年前半/第2四半期である可能性が高い」として、ハードウェアの仕様も決定して発注済であるものの、ソフト的なバグによりストップが掛けられていると示唆しています。

アップルの未発表製品がソフトウェアの不具合で発売延期、場合によっては発売中止になるのは珍しくはありません。このヘッドセットも今年初め「オーバーヒートやカメラ、ソフトウェアの問題がある」ためにWWDCでの発表を見送るとの噂が流れていました。

今回の情報でもう1つ興味深いのが、2023年内のヘッドセット出荷が50万台未満になる可能性が高く、市場コンセンサスの80万~120万台よりも低くなると予想されている点でしょう。

もともと本製品は2000~3000ドルもの高額さとなり、開発者や新しもの好きなアーリーアダプタ向けのニッチ製品になると言われています(Kuo氏は2000~2500ドルと予想)。

やはり高級ヘッドセットに位置づけられる「Meta Quest Pro」でさえ、約1500ドルにすぎません。アップル製ヘッドセットが最大でその倍額になるとすれば、仮に年内の出荷台数が50万台を下回ったとしても、品薄になったり転売騒ぎが起きる可能性は低そうです。


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《Kiyoshi Tane》
Kiyoshi Tane

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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