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パンチカードの置き換えから始まった元祖「8インチフロッピーディスク」(400KB~、1972年頃~):ロストメモリーズ File007

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宮里圭介

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需要のわからない記事を作る自由物書き。分解とかアホな工作とかもやるよー。USBを「ゆしば」と呼ぼう協会実質代表。

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パンチカードの置き換えから始まった元祖「8インチフロッピーディスク」(400KB~、1972年頃~):ロストメモリーズ File007
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[名称] フレキシブルディスケット、200mmフレキシブルディスク、8インチフロッピーディスク
(製品名) Diskette 2D
[種類] 磁気ディスク
[記録方法] 磁気記録
[メディアサイズ] 203.2×203.2×1.8mm
[記録部サイズ] 直径約200.2mm
[容量] 400KB/800KB/1.6MB(アンフォーマット)
[登場年] 1972年頃~

ひとつ、またひとつと消えていき、記憶からも薄れつつあるリムーバブルメディア。この連載では、ゆるっと集めているメディアやドライブをふわっと紹介します。

「8インチフロッピーディスク(FD)」は、IBMが開発した磁気ディスク。フィルムに磁性体を塗布したディスクを記録部とし、塩化ビニルなどで作られたジャケットに封入したメディアです。ジャケットの内側には不織布などが貼られ、ディスクを傷つけないようになっています。

フロッピーディスクはこの8インチから始まり、5.25インチ、3.5インチなどと進化していきました。

▲左から8インチ、5.25インチ、3.5インチ。比較すると、8インチのでかさが目立ちます

規格上の名前としては、ISOでは「200mm(8in)flexible disk cartridges」で、JISでは「200mmフレキシブルディスクカートリッジ」。「8インチFD」は通称となりますが、こちらの方が一般的な呼び名として定着しています。ちなみに、ベースとなったIBMの製品は「Diskette」。ややこしいですね。

最初の8インチFDは、1970年に登場したIBM3330という磁気ディスク装置で使用されたもの。これはシステム370モデル155/165で使われた装置で、ドライブとしてはIBM 23FD-IIというものが採用されていました。

ただし、このドライブは読み取り専用。容量も81.6KBしかなく、画期的ではあるものの、実用性の面ではまだまだ発展途上といった製品でした。この8インチFDの写真がないかと検索してみたところ、Twitterで写真を公開している方がいましたので、引用させてもらいます。

メディアの名前は特に決まっていなかったのか、「Magnetic Disk Cartridge」や「Magnetic Recording Disk」などと書かれていますね。

本格的に8インチFDが使われるようになったのは、1972年に登場したIBM3740シリーズで搭載されたドライブ、IBM 33FDの登場から。このシステムでは、それまでパンチカードなどで入力していたプログラムやデータを、8インチFDから行えるようにしたというのが大きな特徴です。8インチFDを使うことで単純な高速化はもちろんのこと、繰り返し利用できる耐久性、場所を取らない大容量、修正が容易に行えるといった点でメリットがあり、他の機器でも広く使われるようになりました。

この時使われていたのは、片面・単密度(Single Sided・Single Density、面数と密度の頭文字を取って“1S”と略されます)の「Diskette 1」。容量はアンフォーマット時400KB、フォーマット時で250KBと大きくはありませんが、約1900枚のパンチカードを記録できるだけの容量がありました。元々パンチカードで成長したIBMですから、この8インチFDへの移行は、社内でも大きなインパクトがあったことでしょう。

1976年には両面・単密度(Double Sided・Single Density、“2S”)の「Diskette 2」が登場し、容量は2倍の800KBに。さらに1977年に登場した両面・倍密度(Double Sided・Double Density、“2D”)の「Diskette 2D」では、1.6MBまで大容量化しました。

▲アンフォーマット時の容量で1.6MBとなった2D

ということで、そんな8インチFDを詳しく見ていきましょう。

片面と両面の違いはインデックスホールの位置

8インチFDはディスクがジャケットに封入されているメディアですが、ディスクの回転やデータの読み書きのために、3つの穴と最大3つの切り欠きがあります。

▲8インチFDは、203.2mmの正方形。ちなみに厚みは、最大2.1mm

中央の丸い穴が、セントラルウィンドウ。ここから見えるディスク部分を挟んで固定し、ディスクを回転させます。

下にある細長い穴がヘッドウィンドウ。ドライブのヘッドが前後に動いて接触し、データの読み書きを行う部分となります。

少しわかりにくいですが、セントラルウィンドウの斜め上方向にあるのが、インデックスウィンドウです。ちょうどここを通るようにディスクに穴が開けられており(インデックスホール)、これを検出することで、トラックの開始位置(セクタ)がわかるようになっています。

▲ディスクにある小さい方の穴が、インデックスホール

ちなみにインデックスウィンドウは、片面(1S)と両面(2S/2D)とで位置が変わります。見比べるとわかるのですが、セントラルウィンドウのほぼ真上にあるほうが片面、右方向にずれているのが両面となります。

この物理的な違いにより、片面メディアは両面メディアとして使えず、もちろんその逆も使えません。

▲並べると、インデックスウィンドウの位置が異なるのがよくわかります

最大3つの切り欠き(ノッチ)があると書きましたが、先の写真を見てもらえるとわかる通り、ヘッドウィンドウの下にある小さい切り欠きがそれです。実はこれの役割は明確に書かれておらず、JISの規格でも「ノッチを付ける場合」という表現になっており、必須ではなさそうです。

では何のためにあるかというと、ジャケットを曲げやすくするため。切り欠きがない場合、辺全体の復元力で反発されてしまい、いくら強く曲げても膨らみやすくなります。とくにヘッドウィンドウ周辺は切り抜かれているぶん弱くなっていますから、膨らんで隙間が大きくなり、ヘッドがぶつかってしまう……なんてことも考えられます。

これに対して切り欠きを入れておくと、そこで辺が分断され、力が分散されます。結果、復元力による反発が小さくなり、ヘッドウィンドウ周辺が膨らまないわけです。

▲ジャケットの曲げに対する復元力を減らすための切り欠き

最後の切り欠きは、書き込み禁止ノッチです。といっても最初からは用意されておらず、ユーザーが自分で所定の位置を切り取ることで、書き込み禁止にできるというもの。

書き込み禁止ノッチは、右端から44.45mmを中心に、幅3.81mm、深さ5.08mmというもの。

ジャケットに切り取り線はないので、定規で位置を確かめながらハサミで切るか、専用のパンチで穴を開けることになります。

▲手元にあった、紙用の穴あけパンチとハサミで切り抜いてみた例。結構大変

再び書き込みたいときは、書き込み禁止ノッチをシールで覆います。

製品によっては最初から書き込み禁止ノッチが作られており、シールで覆ってから利用するというものもあったようです。こっちの方が使いやすいですね。

とはいえ、この仕様はあまり便利ではなかったようで、5.25インチFDではノッチがあると書き換え可能、シールで覆うと書き込み禁止というように、逆の動作に変更されました。

多く売られていたのは1Sと2Dの2種類

8インチFDはIBMの仕様をベースに規格化されたこともあり、他社のドライブやメディアであっても、基本的にこれの互換品です。そのため、ほとんどの8インチFDは1S、2S、2Dのいずれかとなります。

ただし、2Sが登場してから2Dが登場するまでの間は1年ほどしかなかったこと、また、小型コンピューターで利用できるほど普及する頃には2Dが主流となっていたためか、2S専用の8インチFDというのはほとんど見かけません。

個人的に世界屈指だと思っているCRIMSON Systemsさんのコレクションにも、8インチFDの2Sはないようです。

当時のカタログには載ってるんですけどね……。

▲昭和58年(1983年)のTDKカタログより。中央右の「F2S」が2Sです

なお、単密度と倍密度は記録方式の違いだけで、材料も物理形状もほぼ同じ。そのため、2Dの注意事項に「初期化すれば2Sとしても利用可能」と書かれていることもありました。同じ理由で、元となったIBMの製品にはない、片面・倍密度の“1D”を名乗る8インチFDも存在しました。

参考文献:

  • 高橋昇司, 「フロッピ・ディスク装置のすべて」, CQ出版社

  • 「Diskette」, IBM

  • 「IBM Diskette and Diskette Drive」, IBM, WayBack Machine

  • 「200mmフレキシブルディスクカートリッジ」, JIS X 6201, 日本産業標準調査会


《宮里圭介》
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