SpaceXの衛星インターネット「Starlink」は悪条件下で繋がるか、試してみた結果(CloseBox)

テクノロジー Space
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

SpaceXの衛星インターネット「Starlink」は悪条件下で繋がるか、試してみた結果(CloseBox)
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我が家のStarlink設置環境は決して良好とは言い難い、厳しい条件下にあります。

一軒家ではあるものの、平らで開けた屋上があるわけでもなく、以前BSアンテナを据え付けていたこともあるベランダはそもそも設置場所として推奨されていないし、そこに置いたとしても屋根が邪魔をする、庭の木が邪魔をする(これは苦労してだいぶ切った)……といった具合です。

衛星インターネット「Starlink」が届いたので中身を確認。だけど設置はどうする?(CloseBox)


アンテナ設置業者に頼んで屋根の上に設置するのが正しいやり方なのはもちろんわかっているのですが、それには時間がかかりますし、Starlinkのショップページにあるマウントが必要なのかどうかもわからない。何より早く試したい。「ベランダに設置とかできるの?」といった疑問の声もネット上には散見されるので、まずは今できるだけのことをやってみて、開通できるか試してみようと思ったわけです。

木の枝を切る以外に何をやったかというと、2階のベランダの隣家に近いところにスチールラックを設置し、その上にディッシュを固定する作戦です。片側は屋根で邪魔されますが、それ以外はクリアになるのではないかという期待で。そのために180cmのラックを購入。一番上にベースを結束バンドで固定しました。

それをベランダに移動。1.8mの高さにあるベースにディッシュを差し込みます。ディッシュと屋根の距離はギリギリでした。

その状態で電源を窓経由でコンセントに差し込むと、しばらくしてディッシュが動き出し、水平に。

▲劣悪な条件で接続できるのか?

そこで、StarlinkのiOSアプリを立ち上げます。すでに使用中でしたが、セットアップはすでに始まっており、Wi-Fiネットワークを設定するように促されます。SSIDとパスワードを入れたら、そのネットワークにログインします。

あとはWi-Fiで繋げるだけと、非常に簡単です。ただし、それは安定して衛星をつかんでいる場合。今の設置場所はかなりの悪条件なので、数分ごとに接続が切れます。まだセルラー網が普及しておらず、ハンドオーバー性能も悪かった時代のケータイやPHSの体験を思い起こさせます。この場合、高速で移動しているのはわれわれではなく、衛星の方なのですが。

接続状態はStarlinkアプリでモニターできます。「ONLINE」の表示がされ、その右に緑のランプが点滅していれば衛星をつかんでインターネット接続ができていることになります。その表示の下に「Obstructed」という表示があると、数秒後に「OFFLINE」となります。

繋がっているときのダウンロードスピードは33~102Mbps、アップロードは6.1~21Mbps。レイテンシは21~29ミリ秒でした。やはり光回線とは大きな開きがあります。

▲一番下の画面は、ソフトバンク光のWi-FiルータにiPhoneでアクセスしたときのFastベンチ。上の2つはStarlinkアプリの速度テスト結果

こうした不安定な接続状況だと、たとえばストリーミングビデオを長時間視聴したり、ビデオ会議をしたりといった用途には不向きですが、通じているときにコンテンツをオフライン用にダウンロードしたりすることは可能……というところまでは理解しました。設置場所がよくないとどういうことになるか、ということはおわかりいただけかと思います。

そして待つこと数時間。空のスキャンが終わり、最終宣告が来ました。

Starlinkは一部、遮られています。およそ57秒ごとに障害物にぶち当たる計算だそうです。そして、ネットワーク統計を見ると、9時間中、3時間5分ダウンしていると。なるほどこれはいかん。

この状況を改善するにはディッシュを北向きにしないといけないからベランダからは無理。北向きの出窓から外に出すか、屋根のてっぺんしかない。

そんな状態のStarlink、そもそもあなたには不要なのでは、と疑問に思う方も多いと思いますが、そこは宇宙と繋がっている気分、宇宙幻想なわけです。

▲冨田勲さんサイン入り「宇宙幻想」LP

CS / BSも宇宙から降ってくる電波を使っているわけですが、それはデータをダウンロードするだけ、こちらから発信するわけではありません。Starlinkではユーザーが送ったデータが衛星を経由して別の誰かに届く、反射衛星砲みたいな仕組み。さらに、2023年第1四半期には宇宙用レーザー光(ISL)による衛星間高速通信が予定されていて、さらに反射衛星砲っぽくなります。

工事についてはアンテナ設置業者に問い合わせ中。最初に電話をしたところでは、「スペースエックスという会社のスターリンクというのが先頃日本で使えるようになって」「テレビじゃなくて、衛星インターネット」「ディッシュアンテナは持ってます」「テレビは見てません」といった説明を長々とした挙句に「当社では対応させていただいておりません」との返答。先が思いやられます。

▲「アンテナ設置を手がける業者にお問合せ」してみた結果……

イーロン・マスクもいろいろ大変だとは思いますが、日本でStarlinkのアンテナ工事してくれるところのリストを用意するとかあってもいいんじゃないか、と不満を漏らしているユーザーがここにいることをお忘れなく。

イーロン・マスク、Starlinkによるウクライナ支援の費用かさみ不満漏らす

《松尾公也》
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

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