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ギタリストワナビーの聖杯「表現力豊かなソロが弾ける電子ギター」をMaker Faire Tokyo 2022で手に入れた

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松尾公也

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テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

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ギタリストワナビーの聖杯「表現力豊かなソロが弾ける電子ギター」をMaker Faire Tokyo 2022で手に入れた
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東京ビッグサイトで9月3日と4日に開催された「Maker Faire Tokyo 2022」に行ってきました。Maker Faireはメイカームーブメント、DIY精神に則った「作ってみた」イベント。リアル開催は2020年が最後だったので2年ぶりということになります。2020年と同様に時間を区切っての参加ということでしたが、それでも待機列は長いままで、親子連れも多く見られるなど、往年の盛況ぶりを思い起こさせてくれました。科学実験、ロボット、エレクトロニクス、クラフトなどのゾーンに分かれており、入場口付近にはモビリティ、ミュージックのゾーンが配置されていました。

東京で開催されるMaker Faireにはまだ名称がMTM(Make:Tokyo Meeting)だった頃から参加していて、ずっと注目していた分野があります。それはガジェット的な電子楽器です。初音ミクが登場してしばらく経った頃、「Innocence」という楽曲のミュージックビデオに登場したショルダーキーボードをリアルで作ってしまう動きが同時多発的に起きるなど、電子工作と音楽・楽器との親和性の高さは証明済みですが、その後はArduino、Raspberry PiなどのIoTコアパーツの登場で自作の容易さは増し、外装についても3Dプリンタやレーザーカッターが気軽に使えるようになってきました。ここ2年はコロナ禍でこうした「ガジェット楽器」を見る機会が少なくなってしまったのですが、今回のMaker Faireではその最新の成果を見ることができました。

電子技術と楽器の関係では、1970年代のアナログシンセサイザーブームもそうでした。例えば「初歩のラジオ」誌ではアナログシンセ自作の連載が人気を呼んで、キットが売られていたりもしました。実際、今回のMaker Faireでは当時連載を執筆されていた山下春生さんがそのシンセサイザーをEuroRackという最新フォーマットにしたものを展示していたりとタイムスリップ感満載です。

ポリフォニックシンセの名機「Prophet-5」のコンセプトをCreative Commons Attribution-ShareAlike 4.0 Internationalライセンスでオープンソース提供するプロジェクト「Profree-4」の実機も展示。ミニ鍵盤、バッテリーで動作してスピーカーも搭載する、今どきのミニシンセ風ですが、サウンドはProphetのもの。Kickstarterのクラウドファンディングで得た開発費を元に、着々とプロジェクトを進めているそうです。

ガジェット楽器はこのほかにもたくさん展示があったのですが、個人的な白眉は、「偏ったDTM用語辞典」でも知られるg200kgブースに展示されていた「SOROBAN」。ギターであれば6弦のうちの1~4弦のフレットを13個までボタン化したもので、たしかに算盤に見えなくもないのですが、出ている音は紛れもなくロックギターソロ。開発者である新谷垣内達也さんが縦横無尽に弾きまくり、加速度センサーを使ってビブラートもかけています。

この演奏にハートを盗まれました。新谷垣内さんに買えないかと相談したところ、試作機が2台あるということなので、その1台を購入してお持ち帰り。

「自分はキーボード弾きだけど、ギターをもっと手軽に弾きたい」という欲求は1970年代から盛んで、ユートピアのロジャー・パウエルによるProbeをはじめとする「キーター」「ショルダーキーボード」には根強いユーザーがいました。ちなみに「ショルキー」というのはヤマハの製品名です(持ってます)。

筆者は1979年ごろ、出たばかりのカシオトーンにギターのネックをくっつけて弾いていましたし、MacのFinderやNewtonを作ったスティーブ・キャップスが開発し1990年に発表されたジャミネーターは、フレットに当たる部分にギターソロのフレーズ(バッキングも)をサンプリングしたものを割り当てて、ただ押すだけで誰でもギターソロが弾けちゃうよというものでした(2台持ってます)。ディープ・パープル、エリック・クラプトンの楽曲を弾けるカートリッジも別売されていました。カシオも1981年にデジタルギターを謳う「DG-1」を出しています。

マルチタッチを備えたiPhoneが登場してくると、こういったことがアプリで可能になり、まだApp Storeが存在しない頃(海賊版ストア)から出ていたPocketGuitarが、ギターソロに関しては本物のギターに肉薄する域に達しました。筆者は東京ドームでiPhoneを2台縦に並べてLet It Beのギターソロを演奏しています。

演奏を見ればわかると思いますが、ビブラートはiPhoneを揺らすことで実現しています。つまり、SOROBANと基本原理は同じなのです。

Apple純正の無料アプリ「GarageBand」のiPad版であれば、広い領域のネックで似たようなことができますが、ビブラートに加速度センサーを使うアイデアは採用していません。つまり、ギターソロが弾けるくらいの広い音域を持ち、加速度ビブラート、アーミングができるという、ギタリストになりたい(けどなれない)ワナビーにとってのホーリーグレイル(聖杯)が、この「SOROBAN」ではないのかと筆者は思うのです。

ただ、これはPocketGuitarも同様なのですが、フレットのボタンを押すと出る音はギターの1~4弦とまったく同じピッチなので、どのボタンを押してもブルーノートになるというわけではありません。最低限、スケールの練習はしておく必要はあります。

それでも左手の運指と右手のピッキングのタイミングが合わなくて困っているへぼいギタリスト(自分です)にとってはやはり良いギターと言えるでしょう。

自宅に持ち帰ってオーディオインタフェースに繋ぎ、エフェクトをかまして試奏してみたところ、数十分ほど手が止まらないほどの楽しさ。本体の下部にあるノブの使い方もわかりました。フレットに一番近いノブはピッチを上下でき、ピッチベンドの役割を果たしてくれます(本来の機能はチューニングです)。これを使えば、ギターのチョーキング、アームアップといった効果が得られ、チョークアップ(音程を一時的に上げる)した後にボディを揺らして細かいビブラートをかけるといったことも可能。その隣のノブはオクターブ単位でのピッチ切り替えで、低周波まで出ます。一番奥のボタンは音量調整。上の列にある2つはポルタメントと矩形波のデューティ比です。

音色は矩形波のみでデューティ比を調整することで多少変えられるくらいですが、ディストーションを含むエフェクターを併用することを考えれば、ワナビーがやりたいギターソロ向け表現力としては十分でしょう。

コード演奏については「InstaChord」を買ってあるので、SOROBAN + InstaChordのダブルネックにしようかと思っています。InstaChordは2023年初頭に新生aiwaから量産モデルが出ることが決まっており、ギター的ガジェット楽器はこれからも注目を浴びそうです。


《松尾公也》
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