動画生成AI「MiniMax-H3」のComfyUI向け軽量版が登場、少ないVRAMでも動作、スマホ完結でサクサク動く軽量AIエージェント「LFM2.5-2.6B」など生成AI技術5つを解説(生成AIウィークリー)

テクノロジー AI
山下(Seamless)

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を個人運営しています。

特集

この1週間の気になる生成AI技術・研究をいくつかピックアップして解説する今回の「生成AIウィークリー」(第155回)は、動画生成AI「MiniMax-H3」のComfyUI向け再配布版や、映像が届いたそばから編集できるリアルタイム動画編集AI「JoyAI-Video-Edit」を取り上げます。

また、長い作業でAIエージェントが起こす連続ミスを防ぐ手法「LongHorizon-Harness」や、スマホ完結でサクサク動く軽量AIエージェント「LFM2.5-2.6B」をご紹介します。

そして、生成AIウィークリーの中でも特に興味深いAI技術や研究にスポットライトを当てる「生成AIクローズアップ」では、WordやPDFといった多様な文書をLLMが読みやすいMarkdown(GitHub-Flavored Markdown)に高速変換するRust製ライブラリ「anydoc」を別の単体記事で取り上げています。

映像が届いたそばから編集できる、リアルタイム動画編集AI「JoyAI-Video-Edit」を中国JDが開発

中国企業JDの研究部門Joy Future Academyが、リアルタイム動画編集モデル「JoyAI-Video-Edit」を発表しました。16Bパラメータの自己回帰型拡散モデルで、映像が流れ込んでくるそばから編集結果を出力できます。

従来の高品質なビデオ編集技術は、動画全体の情報を一度に処理するオフライン環境を前提としていたため、ライブ配信のようなストリーミング環境での利用には不向きでした。一方で、ストリーミング向けに簡略化された既存のモデルは、動画が長くなるにつれて映像の品質劣化や一貫性の喪失が起きやすいという課題を抱えていました。

JoyAI-Video-Editは、映像を小さな単位(チャンク)に分割し、直近の数チャンクとアンカーとして残す先頭チャンクだけを参照しながら順次処理します。これにより、動画がどれだけ長くなっても計算量とメモリが一定に収まります。

また、「SA-DMD」(Source-Anchored Distribution Matching Distillation)と呼ばれる新たな蒸留技術を採用し、元の映像の特徴を維持しつつ、生成に必要な計算ステップを削減しました。さらに、長時間の処理で蓄積するエラーを抑制する最適化技術も組み込まれており、長い映像でも破綻のない編集を維持できるといいます。

性能面では、既存のストリーミング系モデルを大きく上回り、時間をかけて処理するオフライン型とも肩を並べる品質を達成。単一のNvidia B200 GPUを使用し、720pの高解像度ビデオを約30FPSで処理できることが確認されました。

JoyAI-Video-Edit: Real-Time Open-Ended Video Editing with Autoregressive Diffusion
Yicheng Xiao, Wenxun Dai, Xinran Qin, Lin Song, Maoquan Zhang, Hang Xu, Yukang Chen, Yitong Li, Guohui Zhang, Yuan Zhang, Xuying Zhang, Tommy Zhang, Jianlong Yuan, Peihao Li, Shuai Lu, Siming Fu, Chuyang Zhao, Xin Han, Jie Huang, Wenbo Li, Guoqing Ma, Wei Huang, Xiaojuan Qi, Haoyang Huang, Nan Duan
Paper | GitHub

長い作業でAIエージェントが起こす連続ミスを防ぐ手法「LongHorizon-Harness」をアリババ研究チームが発表

AIエージェントが長期的なタスクをこなす際、処理の履歴が長くなるとエラーが蓄積し、本来の目的を見失ってしまう課題がありました。これを解決するため、アリババの研究チームが新たなシステム「LongHorizon-Harness」を発表しました。

従来は作業の実行や状態管理をすべて一つの枠組みで行っていましたが、新手法では「マネージャー」(計画・管理)「エグゼキューター」(実行)「オーディター」(検証)の3役に機能を分割しています。余分な履歴を持たない状態で個別の作業を実行し、第三者役が結果を客観的に検証して事実のみを記録していくことで、AIの勘違いによる連続ミスを防ぎます。

結果、Qwen 3.7-PlusではWeaveBenchの達成率が51.8%から80.7%に、Terminal-Bench 2.1が69.7%から77.2%に、OSWorld 2.0が2.8%から8.3%に向上しました。さらにOSWorld 2.0のサブセットにおいて、Claude Opus 4.7を20.0%から34.3%へ引き上げ改善が確認されています。

LongHorizon-Harness: Advancing Long-Horizon Agents for Real-World Tasks
Ziyu Ma, Hailang Huang, Shun Zou, Yong Wang, Shidong Yang, Yiming Hu, Fei Wei, XiangXiang Chu
Project | Paper | GitHub | Blog | Hugging Face

動画生成AI「MiniMax-H3」のComfyUI向け再配布版が登場、軽量版などVRAMの少ないGPUにも対応

Comfy-Orgが、動画生成AIモデル「MiniMax-H3」をComfyUI向けに再パッケージした再配布版をHugging Faceで公開しました。

MiniMax-H3は映像とステレオ音声を同時に生成できるモデルで、テキスト・画像・動画・音声を混在させた入力に対応します。出力は4~15秒、24FPS、音声は32kHzステレオ。21:9から9:16まで幅広いアスペクト比に対応し、セリフは日本語・英語・中国語など11言語をサポートします。

今回の配布版では、BF16版に加え、INT8やFP8に量子化した版、さらにpruned版と呼ばれる軽量版が用意されています。テキストエンコーダ側にもINT8などの軽量版があり、VRAMの少ないGPUでも動かせる余地が広がります。

MiniMax-H3
Comfy-Org
Hugging Face

スマホ完結でサクサク動く軽量AIエージェント「LFM2.5-2.6B」をLiquid AIが公開 約4倍規模の大型モデルに匹敵する性能

Liquid AIは、スマートフォンなどのエッジデバイス上で動作する26億パラメータの軽量エージェント型モデル「LFM2.5-2.6B」をオープンウェイトで公開しました。

クラウドAPIに依存しないため、推論コストを気にすることなく、低遅延かつプライバシーを保った状態でAIエージェントを常時稼働させることができます。

約34兆トークンを用いた事前学習と独自のトレーニングパイプラインを組み合わせることで、小型でありながら優れた性能を実現しました。

ベンチマークテストでは、指示追従やツール使用の分野において、自身の約4倍の規模を持つ他社のモデル(Qwen3.5-9Bなど)と同等、あるいはそれ以上の高いスコアを記録しています。

速度面では、メモリ使用量2.5GB未満に収めながら、Ryzen AI Max+ 395で毎秒113トークン、M5 Maxで毎秒220トークンを記録。スマートフォン上でも毎秒30トークンで動作し、手元の端末だけでエージェントが即座に応答します。

LFM2.5-2.6B
LiquidAI
Blog | Hugging Face


《山下(Seamless)》

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