アップルは、同社の企業秘密を窃取したとして、OpenAIおよびその関連会社io Products、元アップル従業員で現在はOpenAIに在籍するチャン・リウ氏とタン・タン氏を被告とする訴訟を、米カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所に起こしました。
訴状によると、OpenAIへ転職したアップルの元従業員らは同社の未発表製品に関する営業秘密を不正に持ち出したとのことです。アップルは差し止め請求と損害賠償を求めています。
アップルとOpenAIといえば、iOS 18以降に搭載されるApple Intelligence機能にOpenAIのChatGPTを統合するパートナーの関係。しかし一方で、OpenAIは、元アップルのデザインチーフであるジョナサン・アイブ氏のスタートアップio Productsを約65億ドルで買収し、独自のハードウェア事業を本格化させています。
そんな関係性もあってなのか、OpenAIにはいまや400人を超える元アップル社員が在籍しているとも言われており、アップルはこの状況を「組織的な機密情報の流出」と考えているとのことです。
アップルの広報担当者は「未発表の技術・プロセス・製品に関する秘密情報が不正に持ち出されたことを示す重大な証拠が浮上した」「OpenAIが自社の機密情報を活用して競合製品を開発しようとしている」と主張しており、今年2月にはOpenAIに直接懸念を伝えて調査と対応を求めました。しかし、OpenAIはアップルに返答をしなかったとのことです。
さらに訴状では、元アップルの製品デザイン担当VPで、現在はOpenAIの最高ハードウェア責任者のタン・タン氏が、OpenAIの採用に応募してきたアップル従業員に対し、アップルの社内プロジェクトに関する情報を、プロジェクトのコードネームを使って採用候補者に質問し、未発表のアップル製品の試作品や部品、CADデータその他の設計資料を面接に持参するよう指示していたとも主張されています。
もう一人の被告として名指しされた、チャン・リウ氏は、アップルに8年間在籍したエレクトロニクス関連の上級エンジニアで、OpenAIへは2026年1月に転職しています。同氏は退職後、ある時点でソフトウェアのバグを利用して、不正にアップルの共有ネットワークに侵入し「同僚のアップル支給の業務用ノートパソコンに『LOL』や『so funny』とメッセージを残した」と訴状は述べています。
リウ氏には不正なアクセスによってアップルから電子回路基板の製造に関する詳細な技術文書を含む、1000ページ超の機密情報をダウンロードした疑いがかけられています。
また、同氏は退職時にアップルから支給されていたノートPCを返却せずに持ち帰ったほか、OpenAIへの転職を検討する別のアップル従業員に対して、機密資料の持ち出しを指示していたとも主張されています。
OpenAIはその他にも、パートナー企業に対してアップルの許可を得ていると誤認させ、アップル独自の金属表面処理技術を自社製品向けに使わせたとも主張しています。さらに、長年アップル製品の電源・バッテリーを製造してきたサプライヤーに対しても、特定のアップル製品の部品について、内部の専門用語を使って「的を絞った質問」を行ったとしています。
訴訟では、アップルは一連の問題について陪審裁判を求め、OpenAIに対して問題となっている行為の停止、取得した機密資料の破棄、アップルの技術を使用しない形への製品再設計を求めています。
なお、アップルの訴えに対して、OpenAIの戦略コミュニケーション担当ディレクターを務めるドリュー・プサテリ氏は、OpenAIは「他社の企業秘密には一切関心がない」とXで主張しています。
OpenAIのハードウェア事業をめぐっては、2028年をめどにスマートフォンを開発中とのうわさがある一方で、HomePodに似たスマートスピーカーを開発中との報道もあります。

ちなみに、アップルはこの訴訟がApple IntelligenceとChatGPTの統合に関するパートナーシップ契約に影響することはないと述べています。
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