Anthropic、サプライチェーンリスク指定を受け米政府を提訴。OpenAIとGoogleの一部従業員がAnthropicの訴訟を支持する声明

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Munenori Taniguchi

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Anthropicは3月9日、米戦争省(DoW。米国防総省の現政権における呼称)がサプライチェーンリスク(国家安全保障上のブラックリスト)に同社を指定したことに対し、撤回を求める訴訟をカリフォルニア州連邦裁判所に起こしました。

同社は、「言論の自由と適正手続きの権利を侵害している」と述べ、「(サプライチェーンリスク指定は)前例のない違法行為だ。憲法は、政府がその強大な権力を行使し、保護された言論を理由に企業を処罰することを認めていない」と主張しています。そして、政府は同社の見解に同意したり同社の製品を使用する必要はないが、国家権力を使って同社の表現を処罰したり抑圧したりすることはできないと主張しました。

Anthropicのダリオ・アモデイCEOは、提訴は「国家安全保障を守るためにAIを活用するという当社の長年のコミットメントを変えるものではない」としつつ、「事業と顧客、パートナーを守るために必要な措置」であり「解決に向けたあらゆる道筋を追求」すると述べています。

Anthropicがサプライチェーンリスクに指定されるに至った原因は、同社が「大規模な国内監視」および「自律型兵器システム」の運用に同社のAI技術が使用される可能性について懸念し、これらの用途に使用しないとの確約をDoWに求めたからでした。これに対しDoWのピート・ヘグセス長官は、「あらゆる合法的な目的」でAIシステムにアクセスできるべきであり、民間の請負業者がその使い方に制約を課すべきではないと主張しました。そして最終的に、従わなければ同社をサプライチェーンリスクに指定するとの脅し文句にも譲歩しなかったAnthropicとの契約を打ち切りました。

DoWに協力する企業や機関は、サプライチェーンリスクに指定された技術やシステムを使用していないことを証明する必要があります。現在もいくつかの民間企業はAnthropicと協力関係にあり、またマイクロソフトやGoogle、アマゾンといった自社サービス内でAnthropicのAIを取り扱っている企業らは、あえてその協力関係を維持することを表明しているものの、現状のままでは、Anhropicは政府が移行猶予期間に定めた6か月のうちに、政府機関との取引の多くを失うことになるとみられています。

このAnthropicの申し立てを支援するため、OpenAIとGoogle DeepMindの一部従業員は裁判所にアミカスブリーフを提出しました。アミカスブリーフとは、当事者や裁判の参加人以外の第三者が、問題解決のための意見や資料を提出できる制度のことです。

この書類の中でOpenAIとGoogle DeepMindの従業員は、DoWが「Anthropicとの契約条件に満足しなくなった」のであれば、「ただ契約を解除し、別の大手AI企業のサービスと契約すればよかった」とし「もしこの措置が容認されれば、米国を代表するAI企業の一つを罰しようとするこの試みが、人工知能分野およびそれ以外の分野における米国の産業・科学競争力に間違いなく影響を及ぼす」。さらに、「今日のAIシステムのリスクと利点に関する我々の分野における率直な議論を萎縮させるだろう」と述べています。

また、AnthropicがDoWに示したレッドラインについても、強力な規制の枠組みを必要とする正当な懸念事項であるとし、AI利用を規制する公法(国・公共の団体と個人との関係を規律する法律)が存在しない現状においては、開発者が自社システムに課す契約上および技術的な制限こそが、壊滅的な悪用を防ぐための重要な安全装置だと主張しています。この声明に署名した従業員の多くは、少し前にDoWに向けて発表された公開書簡にも署名しており、Anthropicへのサプライチェーンリスク指定の取り消しを求め、業界リーダーらに同社への支援と、政府機関による自社のAIシステムの一方的な使用を拒否することを呼びかけていました。

なお、Anthropicはサプライチェーンリスク指定された企業がその決定を不服とする場合、連邦調達法で控訴が認められていることから、ワシントンD.C.巡回控訴裁判所にも別の訴状を提出しました。同社は訴状で、サプライチェーンリスク指定は、連邦調達法に違反する、違法かつ報復的なものであり、不適切に執行されたと主張しています。そして、同社を国家安全保障上のサプライチェーンリスクに指定した決定について改めて裁判所が審査し、覆すよう求めています。






《Munenori Taniguchi》

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