AI生成画像には「歴史的背景」がない。アーティストは形の奥にある物語を知っている(生成AIクローズアップ)

テクノロジー AI
山下裕毅(Seamless)

2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にして紹介しているWebメディアのSeamless(シームレス)を運営し、執筆しています。

特集

1週間の気になる生成AI技術・研究をいくつかピックアップして解説する連載「生成AIウィークリー」から、特に興味深いAI技術や研究にスポットライトを当てる生成AIクローズアップ。

今回は、Webコミック「Phantomarine」のBlueskyアカウントで投稿された一連のポストを取り上げます。

「コンセプトアーティストはAIを使えば仕事が楽になる」という意見に対して、真っ向から反論しています。

例として挙げたのは、コンセプトアーティストClaire Hummelさん。彼女の卓越したスキルは、歴史的な資料を地道に研究することで培われたものであり、AIに頼っていては決してそのような実力は身につかないと主張しています。

▲PhantomarineのBlueskyアカウントより引用

「アイデアを素早く大量に出す必要があるから」という反論に対しても、コンセプトアーティストたちは何十年もの間、効率的にアイデアを練り上げる訓練を積んできたのだと切り返しています。質より量を優先する企業の姿勢は、最終的な製品に必ず表れ、雑な仕上がりになってしまうと警告しています。

▲PhantomarineのBlueskyアカウントより引用

さらに、ゲーム専門メディアの記事も引用しています。その記事では、十数人のプロのコンセプトアーティストに取材した結果、全員が仕事をより難しくしたと回答したと報告。世界観を構築する初期段階こそがゲーム開発の核心であり、そこに「作る喜びのない、ただの複製アート」を持ち込むべきではないという意見も紹介しています。

最後に、アニメーターとしての立場から、コンセプトアーティストたちへの敬意を表明しています。コンセプトアーティストの仕事があってこそ動きや雰囲気、情熱が生まれるのであり、そのアート的仕事は何としても守られなければならないと締めくくっています。

▲PhantomarineのBlueskyアカウントより引用


《山下裕毅(Seamless)》

山下裕毅(Seamless)

2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にして紹介しているWebメディアのSeamless(シームレス)を運営し、執筆しています。

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