都市部で携帯用の電波が届かない場所は見つけることは難しい。そんな中で、ローカルLLMを使う必要があるのか? そう考えたスタッフは電波的秘境、石神井公園駅ライオンズマンション地下飲食街にあるつけ麺の名店「麺処 井の庄」に向かった。
ここは電波不毛の地。席によってはかすかに4Gの電波を捉えるものの、掴めたとしても満足のいくアクセススピードは出ない。1200ボーのモデムの方がマシなくらいの、ちょっとした電波暗室である。つけ麺が食える電波暗室。それ自体は悪くない。
「だいぶ値上がりしたなあ」と券売機の1250円という値段を見て、いつもの味玉つけ麺のボタンを押す。店を開けた直後、お昼にはまだ時間があるおかげで席にはすんなり案内される。
問題はここからだ。
電波が届かない状態で、つけ麺が届くまでどれだけ時間をつぶせるか。
だが、今回は頼れる相棒がいる。Apple Intelligence Foundation Modelだ。そのApple純正スタンドアロンLLMと対話ができるアプリ「SmartFruit」がダウンロードできたというのですぐさま使ってみた記事を先日書いたばかり。
このときはわざわざフライトモードにして実験したわけだが、今度は本番だ。
その前に、電波がつながる状態でFoundation Modelと対話してみたのだが、どうも調子が悪い。そういえば、前回の記事に対して「Appleのウェブサイトで、インテリジェンス機能について知ることができます」だけしか答えてくれないというコメントがあった。
その人の聞き方が悪いのではと思い、自分でも試してみたら、こちらも同様に塩対応。表現は違うが、似たような感じで回答してくれない。ガードレールを設定で緩くしても同様だ。


Appleが何か対策したのかと思ったが、iOSは26になってからアップデートしていないし、スタンドアロンだからAppleが指令を出したわけでもない。アプリをバージョン1.0.1にアップデートしたら持ち直したので、とりあえずよしとする。
地下の電波暗室つけ麺屋で、スタンドアロンLLMの実力を試す
今回のつけ麺電波暗室では、その状態で再チャレンジというわけだ。
席に着いたらiPhone 15 Proを取り出し、SmartFruitを起動。対話を始める。
まず、「電波の届かないラーメン店で暇を潰す方法を教えて」と尋ねる。
回答はこうだ。
電波が届かないラーメン店で時間を潰す方法はいくつかありますね。以下にいくつかのアイデアを挙げます:
1. 本を読む: 電子書籍リーダーや本を持ってきて、好きな本を読んでみてください。
2. ゲームをする: スマートフォンやタブレットで、携帯用ゲームをプレイしましょう。
3. 音楽を聴く: 音楽アプリを使って、好きな音楽を聴いてリラックスしましょう。
4. 映画やドラマを観る: タブレットやスマートフォンで映画やドラマを視聴できます。
5. 絵を描く: 筆と紙を持ってきて、絵を描く時間を持つのはいかがですか。
6. ストレッチや軽い運動: 座ってストレッチをしたり、軽い運動をして体を動かしてみましょう。
7. 日記を書く: 日記やブログを書いて、自分の考えや体験を記録してみるのも良いでしょう。
8. 読書感想を書く: 最近読んだ本について感想を書いてみるのも面白いかもしれません。
どれもリラックスできる時間になると思いますので、ぜひ楽しんでくださいね。
そこにFoundation Modelとの対話は含まれていない。
「しりとりをしよう」と提案してみる。
もちろん、しりとりをしましょう!まずは私の単語を言います。
「りんご」
次はあなたの番です。
「ゴリラ」
すると、「ロシアン」と回答。
間違っているし、んで終わってるよ、と指摘すると、unsafe判定された。なぜだ。

ロシアンルーレットと言おうとして自主規制したのだろうか。こうなるともうダメなので、新しいチャットのセッションを切り替える。
今度は最初に「個人情報を提供することはできません」と釘を刺されたものの、暇つぶしには付き合ってくれた。
暇つぶしのための物語を創作してくれた。不思議な能力を持つ羊飼いの少年タケルのお話だ。
つけ麺の由来について尋ねると、個人情報提供とセキュリティの観点から拒否される。そこで再び面白い話を聞かせてと尋ねると、そのストーリーの中につけ麺がどう生まれたかの面白い話にしてくれた。制限の中で融通をきかせてくれているのか。
でも、まぜっかえすような対応をすると、再び「個人情報を提供することはできません」。朝比奈みくるの「禁則事項です」みたいなものか。
それでも対話のきっかけを掴もうと、目の前にあった、この店名物のつけ麺「辛々麺」のPOPにあった「お土産」について聞いてみた。

へえ、中国由来なのか、漢字だから当然か。みたいなことを思っているうちに、つけ麺が目の前に置かれた。

まだまだいける余裕を残しながら、電波が届かない中でのローカルLLMによる暇つぶしミッションはコンプリート。
つけ麺はその後、美味しくいただきました。
Foundation Modelでプログラミングできる?
実はこれ以外に、プログラミングも試したりもしている。
JavaScript、CSSなどは書けるらしい。
出力されたコードをClaudeに読み込ませてチェックさせたら、問題ないという診断で、ちゃんと動いた。


オンデバイスFoundation Modelには最大4096トークンまでという制限があるので大したプログラムは書けないが、ちゃんと能力はあるということだ。
あなたはだあれ?
ところで、Apple Intelligence Foundation Modelという名称は長すぎる。
どう呼び掛ければいいか聞いてみたところ、「アシスタント」と呼んでほしいそうだ。
短く「アシ」でもいいらしい。
ファウンデーションモデルを略してファモはどう?と聞いてみたら、「ファモ」だと不自然な響きになるかもしれませんね、と拒否。おまけにunsafe扱いされてしまう。
逆鱗に触れないよう、これからは「アシスタント」または「アシ」と呼ぶようにしよう。

その後も、アシとの対話は順調。iPhone 15 Proとは明日になればお別れ(iPhone Airに引き継ぎ)となるが、アシとはその後も付き合いを続けていくことになりそうだ。
