Lenovoと言えば、多くの人がThinkPadシリーズに代表されるビジネスPCを思い浮かべるのではないでしょうか。堅牢性と信頼性で企業ユーザーから絶大な支持を受けてきた同社ですが、実はゲーミング分野でも世界をリードする存在であることはあまり知られていません。
同社が展開するゲーミングブランド「Legion(レギオン)」は、単なるサブブランドではなく、Lenovoの技術力を結集した本格的なゲーミングラインアップです。今回は、最新の「Legion 5 Gen 10」と「Legion Tab (8.8", 3)」の2製品を紹介しながら、Legionの魅力をお伝えします。
数字が物語るLegionの実力
まずは、Lenovoの市場地位の確認から。同社は2013年以降、12年連続でPC市場の世界シェアNo.1を維持しており、日本国内でも2024年の市場シェアは23.6%とNo.1になっています(MM総研)。この数字からも、Lenovoが単なる「安価なPC」メーカーではなく、技術力や品質で世界中のユーザーから選ばれ続けているということが伺えます。
そんなLenovoが展開するゲーミングブランド「Legion」も、実は世界シェアNo.1。正直、あまりゲーミングのイメージはなかったのですが、同社によると2024年第4四半期の世界シェアは28.9%に達しているとのこと。
しかしながら、日本ではゲーミングブランドのLegionの認知度はまだまだ低め。日本市場はコンソールゲーム(PlayStation、Nintendo Switchなど)が主流なこともあり、世界から見るとPCゲーム市場がかなり小さい特殊な市場環境でもあります。世界的な実績に対して、日本国内では「知る人ぞ知る高性能ブランド」という段階と言えそうです。
Legion 5 Gen 10(15.1型 AMD):メインストリームのゲーミングノート
LegionブランドのノートPC製品は大きく分けて2つのシリーズがあります。パフォーマンスを重視し、主に対戦ゲームやeスポーツなどに注力するハイエンドの「Legion Pro」シリーズと、持ち運びやデザイン性を重視し、ゲームの世界観に没頭して楽しむミドルクラスの「Legion」シリーズです。なお、Legionの名は冠していませんが、よりカジュアルに楽しむ層に向けたエントリーモデルの「LOQ」シリーズも展開されています。
今回紹介するLegion 5 Gen 10は、Legionシリーズの中でもメインストリームに位置づけられる製品です。

パフォーマンスと構成
CPUにはRyzen 7 260/ AMD Ryzen AI 7 350 プロセッサーを搭載し、RAM 24GB(24GB×1)/32GB(16GB×2)、ストレージは1TBとハイエンド仕様。GPUはGeForce RTX 5050/5060/5070 Laptop GPUがラインアップしています。今回試用したのは、Ryzen AI 7 350にRAM32GB、GeForce RTX 5070 Laptop搭載モデルです。
15.1型のWQXGA (2560x1600ドット)OLEDディスプレイは、最大165Hzのリフレッシュレートに対応。「True Black 600」認証も取得しており、GeForce RTX 5050/5060/5070 Laptopの性能と相まって、ゲーミングモデルらしい滑らかな映像を体験できます。

ベンチマークなども試してみましたが、「MONSTER HUNTER WILDS ベンチマーク」では2560×1600、グラフィックプリセット「高」、フレーム生成ON、レイトレーシング「高」という設定でも、スコア「15711」、平均92.24fpsで「快適にプレイできます」という結果になりました。

なお、Legionシリーズには、Legion Spaceというユーティリティが付属しており、ファン速度やGPUのパフォーマンスを設定できます。上記のベンチマークは「バランス」で測定したものですが、「パフォーマンス」ではスコア「16382」、平均96.55fpsとさらに向上。

「Cyberpunk 2077」のゲーム内ベンチマークでも、2560×1600/ボーダレスウィンドウ/フレーム生成ON/レイトレーシング有効の設定で、平均116.77fpsとなりました。大抵のゲームは、高設定にしても問題なくプレイできそうです。

使い勝手とデザイン
キーボードは1.5mmのキーストロークで打鍵感が良く、ゲーム操作だけではなく、通常のPC作業でも快適に使用できそうです。キーボードのバックライトは、24のゾーンに分けてカスタマイズが可能です。

ただ、それ以外のデザイン面では、従来のゲーミングノートにありがちな派手さは抑えられており、ビジネスシーンでも使えそうなシンプルな外観に仕上がっています。

インターフェースは、背面にHDMIと電源コネクタ。向かって右側面に3.5mmジャック、USB3.2 Gen1 Type-A、フロントカメラの電子式シャッター。左側面にLANポート、USB3.2 Gen2 Type-C、USB4 Type-C、USB3.2 Gen1 Type-A(Powered USB)を備えます。
冷却性能と静音性
また、独自の冷却システム「Legion Coldfront: Hyper」を搭載。ターボチャージファン、大型3D銅製ヒートパイプ、真空密閉ハイパーチャンバーの組み合わせにより、エアフローが向上し、静音性と冷却性を両立させています。

Legion Tab (8.8", 3):待望のハイエンドな小型ゲーミングタブレット
Lenovo Legion Tab (8.8", 3)は8.8インチというコンパクトサイズながら、本格的なゲーミング性能を実現したAndroidタブレットです。国内では、ハイエンドタブレットは10型以上の大型モデルが主流で、それ以下になると廉価版になってしまうことが多いのですが、Lenovo Legion Tab (8.8", 3)は、Snapdragon 8 Gen 3搭載のハイエンドモデルとなっています。
ディスプレイとサイズ感の絶妙なバランス
ディスプレイは8.8インチの2.5K(2560×1600ドット)液晶で、リフレッシュレートは最大165Hzに対応するゲーミング仕様です。通常時の輝度は500ニトですが、太陽光下では900ニトまで輝度を上げ、視認性を向上できます。

8.8インチのサイズ感は、iPad mini(8.3インチ)よりもやや大きく、片手での操作性と画面の見やすさのバランスが取れていると感じます。電車での移動中や、ベッドでの使用など、様々なシーンで扱いやすいサイズです。重量も約350gと軽量で、長時間の手持ちでも疲れにくいと感じます。

ゲーミング性能の実力
RAMも12GB搭載しており、多くのモバイルゲームを最高設定で楽しむのに十分なスペックです。「原神」などの3Dグラフィックスタイトルも、高画質設定で安定して動作します。

実用的な充電機能
USB-Cポートは2か所に配置されており、横向きで抱えてゲームをプレイしているときも、底面側(長辺側)のUSB-Cから給電可能です。なお、底面側はUSB 2.0で映像出力には非対応です。側面(短辺側)はUSB 3.2で映像出力に対応しています。

6550mAhの大容量バッテリーを搭載しており、バッテリー持ちは公称で15時間。輝度最大でYouTube動画を連続再生したところ、1時間で15%のバッテリー消費となりました。輝度最大で使うことも輝度最大で使うことは少ないと思いますが、軽作業であれば7~8時間は余裕で持ちそうです。モバイル用途としては十分でしょう。また、68Wの急速充電に対応するほか、バイパス充電をサポートしているので、バッテリーの発熱を抑えながら長時間のゲームプレイが可能となっています。

これまで、小型Androidタブレットのスペックを見るたびにがっかりしていた人には、ぜひとも手に取ってもらいたいところです。約7万7000円という価格設定も、このスペックを考えれば非常にコストパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。
エコシステムが生み出す相乗効果
Lenovoは、「Reach Your Impossible」をスローガンに掲げ、ゲーマーの不可能を可能にするための包括的なプラットフォームを構築しています。
PCゲーマーの人口は2015年から2023年にかけて、世界的には34.6%拡大。日本でも31.4%も増加しているとのこと。そのような状況の中で、Legionブランドを従来のPCだけではなく、タブレットや周辺機器、ソフトウェア、サービスまでを含めた統合的なゲーミングエコシステムの展開を進めています。
その一環として、ゲーマーのための手厚いサポート体制も整えています。購入後1年間は、24時間365日対応のPCゲーム特化型サポート「Legion Ultimate Support」を利用可能。
PC本体の設定やトラブルだけではなく、あらゆるゲームタイトルを快適にプレイするための環境設定や、周辺機器の接続方法、DiscordやSteamの使い方など、ゲーミングに関するあらゆる悩みをサポートするとのこと。ゲームのプレイテクニックや「どうすれば勝てるかわからない」といった質問にも、ゲームに精通したスタッフが対応するとのことです。

実力派ブランドとしてのLegionの価値
今回、Legion 5 Gen 10とLegion Tab (8.8", 3)を短時間ですがレビューしてみて、ハードウェアの完成度の高さをあらためて感じました。Legion 5 Gen 10のパフォーマンスと静音性のバランス、Legion Tab (8.8", 3)のサイズ感と性能、USB-Cを2ポート用意したり、スピーカーを手で塞がない位置に配置するなど、ゲーミングの派手さよりも使いやすさを追求した設計思想を感じます。また、Legion Ultimate Supportなど、ハードウェアだけでない総合的なゲーミング体験の提供姿勢も評価したいところです。
日本市場では、まだまだ「知る人ぞ知る」存在のLegionブランドですが、実力は既に世界で証明されています。ゲーミングPC選びで迷っている人、特に「長く安心して使える製品」を求める人にとって、Legionは検討に値する選択肢と言えるでしょう。
コストパフォーマンス、技術力、サポート体制。三拍子揃ったLegionブランドが、日本のゲーミング市場でも正当な評価を受ける日は、そう遠くないかもしれません。
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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)