Pixel 10 ProでAIが自然に溶け込んでいく「新しい日常」はどんな感じ?(Google Tales)

テクノロジー AI
佐藤由紀子

IT系海外速報を書いたり、翻訳を請け負ったりしています。初めてのスマートフォンはHTC Desire。その後はNexus 5からずっとGoogleさんオリジナルモデルを使っています。

特集

8月28日発売のPixel 10 Proを数日早く使わせてもらいました。ハードウェアの進化については詳しい方々にお任せして、ここではTensor 5とGemini nanoが支えるPixel 10 ProのAI機能を使ってみた話をしていきます。

実際に使ってみた範囲で「これ、ちょっといいかも」と感じた新機能(と新機能じゃないけど便利を実感した機能)のご紹介です。

まずは、発表で一番気になっていたカメラの100倍ズームをわくわく使ってみたので(過去のレビューでもPixel 9 Proの30倍ズームとか紹介してきました)、カメラまわりのAI機能から。


カメラ関連の新AIの機能

Pixel 10 Proのカメラ構成はPixel 9 Proとほぼ同じですが、カメラアプリでできることが増えました。

100倍の「超解像ズーム Pro」

Pixel 9 Proの30倍ズーム(「超解像ズーム」という呼び名)でも十分自慢できましたが、100倍(こっちは「超解像ズーム Pro」)となると、遠くのものをグッと引き寄せて見たい時に威力を発揮するんではないか!?と期待しました……。

▲100倍!

表面がツルッとした人工的な物体は、AIによる修正が加わることで、かなり良い線まで再現してくれる印象です。あんまり遠くない木立の葉っぱもわりとうまくいきました。

一方で、とても遠くの屋根の瓦とかは勝手に作り変えられちゃったり、小さな文字は象形文字のようになってしまうなど、まだ改善の余地があると感じられる場面もあります。

遠くの看板の文字とか読めるといいなぁと思ったんですが、今のところ文字として認識せず、近い形を再現しているようで、それはアルファベットでも日本語の文字でも同じでした。

▲100倍ズームが創作した屋根瓦(左。側面はうまくいってる)と象形文字になってしまった文字

ツルッとした物体の代表として、駐車場に停めた車を撮影してみたところ、かなりきれいに再現されましたが、エンブレムは不思議な形になりました。

▲1倍(左)と100倍。


オートベストテイク

Pixel 9にあった「ベストテイク」はグループ写真で各人の一番いい顔を手動で選んで組み合わせるものでしたが、「オートベストテイク」はベストな顔をAIが選んでくれるようになりました。設定で「トップショット」を「自動」に、「オートベストテイク」をONにするだけで利用可能です。AIがいい顔だと思うものを選ぶので、せっかく変顔しても、選ばれません。

加工した写真には透かしが入ります

ディープフェイクなどの問題に対処するため、AIで加工した写真には透かしが入る他、Googleのフォトアプリで表示すると、使ったツールが表示され、「AIツールで編集」と明示されます。

▲Googleフォトでの、AIで編集しました、の表示

カメラコーチ

「カメラコーチ」は、写真を撮るときに構図などについてご指導してくれるAIです。

漠然と被写体にカメラを向けて右上のコーチアイコンをタップすると、映っている状態をAIが解析し、例えばデスクの上にミニカーを置いて映すと、「赤いミニカー」「デスク上の世界」「ミニカーと反射」といった、いくつかのコンセプトを提案してくれます。

1つ選ぶと(ここでは「ミニカーと反射」を選びました)、画面の左下あたりに完成形の画像が小さく表示され、これに近づけていくために「ミニカーにズームインして」「余計なものをフレームから外して」といった具体的なステップバイステップの指示が始まり、指示通りに進めていくと、お墨付きが出て、シャッターを押して完了。なのですが、お手本どおりになっていなくてもとりあえずシャッターを押せちゃうのでした。

▲カメラコーチ

私は普段、構図とか全く考えずに記録として写真を撮るので、こういうご指導を受けるとなるほど~と勉強になりました。とはいえ、人間相手だと「もっと笑え」などと被写体に頼まなくちゃならなかったり、ステップが多いと撮影までに時間がかかったりするため、相手を選ぶなと思いました。

日常に溶け込むAI機能

GoogleはPixel 10シリーズを「Geminiを搭載したユニバーサルAIアシスタント」と位置付けているくらいで、AIでユーザーの日常を助けていくのが目標です。Geminiアプリも日々進化していますが、ここではPixel 10シリーズで使えるようになったAI機能をご紹介。

「今日のまとめ」(Daily Hub)

「今日のまとめ」という名称から、1日の出来事をまとめる日記みたいな機能かと思ったんですが、英語では「Daily Hub」で、その日の天気やスケジュール、ユーザーが関心を持ちそうな情報をまとめて表示するコーナーなのでした。1日に何度か変わります。位置情報やGoogleマップの移動履歴、Webやアプリの利用履歴へのアクセスをGoogleに許可していると、それらのデータに基づいて、AIが「今日は、これを見たらいかがでしょう」という情報をパーソナライズして表示します。

朝は「おはようございます」の挨拶から始まり、その日の天気予報、カレンダーに登録された予定が表示されます。さらに、私の場合は、最新のAI情報やPixel 10の話題など、おすすめの情報収集テーマを提案。その下には、もう少し長期的な関心テーマが提示され、それぞれタップすると、Geminiがまとめた関連情報やYouTube動画へのリンクが表示されます。

▲今日のまとめの例

今日のまとめは、ホーム画面を右にスワイプするとGoogleアプリの左上に小さく表示され、それをタップすると全画面表示になります(右にスワイプでGoogleアプリを表示する設定は、ホーム画面の長押し→「ホームの設定」→「スワイプでGoogleアプリにアクセス」)。

「ジャーナル」は自分と向き合うことをAIがサポート(?)

「ジャーナル」は、iPhoneにiOS 17の途中から搭載されるようになった日記アプリと同じ名前ですが、中身はちょっと違います。Appleのもユーザーのデータを機械学習が解析して記入を提案しますが、Googleのジャーナルはもっと踏み込んできます。

心身の健康を保ち、成長を促すことを目的とした、AIがサポートする自己啓発的な側面を持つ機能、とでも申しましょうか。

書くためのヒントを画面の下に提示してくれたり、書き込んだテキストをAIが解析して、「ユーザーの考えや感情にインスピレーションを与え、理解を深める」ための「気づきや振り返り」を生成するのが特徴です。

実際に「せっかく休暇をとっても仕事が頭から離れないですー」と書き込んでみたところ、AIが「そのときどんな気持ちですか?」などと、まるで対話するように深掘りを手伝ってくれました。最終的には励ましの言葉付きの「振り返り」が表示されるんですが、うだうだと書いているとそのうち同じ質問を繰り返されるようになってしまいました。

▲ジャーナルの例

ChatGPTがユーザーに寄り添いすぎて問題になっている昨今、このくらいの距離感がいいのかもしれません。ヘルプページには「セラピーや専門的なメンタルヘルス ケアの代わりとして使用することを目的としたものではありません」とあり、あくまでもAIはユーザーが自分自身の理解を深めるお手伝いをするだけです、ということのようです。

なお、AIに提供するデータは細かく選べるようになっています。また、Googleがユーザーのデータを収集したり共有したりAIのトレーニングに使ったりすることはありません、と強調しています。

日記を漠然と書いているよりも、自分にとって何が問題になっているのかを考えるきっかけにはなりました。

ジャーナルと今日のまとめは連携しているので、ジャーナルを保存したあとで今日のまとめを開いたら、長期テーマの中にジャーナル保存前にはなかった「メンタルヘルスを改善するための習慣を身につける」というカードが表示されるようになっちゃいました。

今後に期待の「マジックサジェスト」

Pixel 10シリーズでGoogleが最もプッシュしているのは「マジックサジェスト」(英語では「Magic Cue」)だと思うので、期待して使ってみたのですが、発売前だからなのか、まだほとんど使えませんでした。

使えるようになったら、メールやカレンダーなどの個人データを横断して、状況に応じた便利な提案をしてくれるはずです。

デモ動画では、航空会社にフライト予約をする電話中に画面に予約に必要な情報が表示されたりするのですが、実際にレストランに予約電話をしてみたところ、そんな便利な情報は出てきませんでした(実際に予約しようとしていたので、ちょっとあたふたしてしまいましたよ)。

▲デモ動画では航空会社への電話中に便利な情報が表示される例が示されてます

ただ、「今日のまとめ」にカレンダーの予定が表示されたり、SMSのやり取りで「明日の予定は?」などと聞かれたときにロック画面のプッシュ通知に「カレンダーを表示」と表示される(けれどSMSの画面にはなぜか表示されない)など、ロールアウトの兆しは見えていました。徐々に使えるようになるんだと思います。

▲プッシュ通知に「カレンダーを表示」が

Pixel 9でも使えるAI機能

なお、「Pixel天気」、「スクリーンショット検索」、「スナップショット」(ホーム画面とロック画面の上部に表示される情報)といったAI機能は、Pixel 9シリーズでもすでに利用できます。

番外編:Geminiアプリが旅行を助けてくれた話

最後に、Pixel 10 Proの新機能ではないんですが、Geminiアプリで日常生活で役立った個人的な体験を1つ。Pixel 10 Proのレビュー端末を手にして、翌日からの軽井沢への避暑旅行の計画を立てる際、Geminiアプリにいろいろ助けてもらいました。

観光ではなくのんびりしたい、自家用車で行く、夕食の予約はまだ、といった具体的な条件を伝えたところ、朝の出発時間から、毎日の午前、昼食、午後、夕食のアクティビティやレストランまで、かなり良いプランを提案してくれました。

旅行中も「宿からリストランテアダージオまで車で何分? 駐車場は何台分?」とか、「おすすめのデリは?」とか尋ねると、私の状況を把握した上で返事をしてくれるので、いちいち条件を入力し直す手間がなく、コンシェルジェみたいでした。

▲旅行中、Geminiがいろいろ助けてくれました

夏の混雑するスポットに午前11時頃におっとり出かけて駐車場が満杯だった際、急遽「近くでのんびり散歩できるスポット」を尋ねたら、すぐに軽井沢タリアセンを紹介してくれて、ここが人が少なくて、堀辰雄の別荘とか建築物として面白いものもあって、大満足。夏休み中だというのに、有島武郎の元別荘であるカフェは貸切状態。バルコニーで美味しいコーヒーをゆっくりいただけてGeminiくんに感謝しました(超解像ズーム Proのサンプル写真はカフェの窓から撮影したものです)。こんなふうに自然と使えるのがいいなぁと思いました。

▲写真もいっぱい撮りました。そのうちの1枚



《佐藤由紀子》

佐藤由紀子

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