OpenAI、ジョニー・アイヴのAIスタートアップioを買収。AIのための新デバイスは2026年登場へ(CloseBox)

テクノロジー AI
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

OpenAIは5月22日、Appleの最高デザイン責任者だったジョニー・アイヴ率いるAIスタートアップ企業「io」を買収したと発表しました。

発表された声明文の日本語訳は次のとおり:

これは特別な瞬間です。

コンピュータは今、見ることができ、考え、理解するようになっています。

この前例のない能力を持ちながらも、私たちの体験は依然として、従来の製品やインタフェースによって形作られています。

2年前、ジョニー・アイヴとクリエイティブ集団LoveFromは、サム・アルトマンとOpenAIのチームと静かに協業を始めました。

友情、好奇心、共有された価値観のもとに築かれたこの協業は、やがて大きな野心へと発展していきました。初期の試案や探求は、具体的なデザインへと進化しました。

そのアイデアは重要で有益に思えました。楽観的で、希望に満ちていました。インスピレーションに溢れ、人々の顔に笑顔をもたらしました。それは、新たな道具が私たちの学び、探求、創造を助けてくれた、あの人類の進歩を祝っていた時代を思い出させてくれました。

私たちの、まったく新しい製品ファミリーを開発・設計・製造するという野心には、新たな会社が必要だとはっきりしました。こうして1年前、ジョニーはスコット・キャノン、エヴァンス・ハンキー、タン・タンと共に「io(アイオー)」を設立しました。

私たちは、ハードウェアやソフトウェアの最高のエンジニア、優れた技術者、物理学者、科学者、研究者、製品開発と製造の専門家たちを集めました。その多くは長年にわたり密に協働してきた仲間です。

人々にインスピレーションを与え、力を与え、可能性を広げる製品の開発に集中するioのチームは、これからOpenAIと合併し、サンフランシスコにいる研究・エンジニアリング・製品チームとより緊密に連携していきます。

この合併により、ジョニーとLoveFromは、OpenAIおよびio全体におけるデザインとクリエイティブに深く関わっていきます。

私たちは、これ以上ないほどに、胸を躍らせています。

サム&ジョニー

ioの3人のコアメンバーはいずれもジョニー・アイヴの後継とされた元Apple幹部で、iPhone、iPad、Apple Watch、AirPodsなど主力製品のデザインに関わったキーパースンです。

サム・アルトマンはAIを外部の脳として効率的に使っていくためには、ラップトップのような数十年前のレガシー製品ではなく新しいデバイスが必要だと動画の中で述べています。

Bloombergの記事によれば、50人の社員を抱えるioの買収額は65億ドル(約9335億円)。ソフトバンクグループはOpenAIに6兆円の投資済みで、孫正義CEOはOpenAIのAI情報端末登場を期待するとほのめかしていました。

「スマートフォンでもPCでもないAIデバイス」というカテゴリーでは、MetaのARグラス、Rabbit R1などが知られていますが、HPに売却されて使い物にならなくなったハードウェアだけがユーザーの手に残されたHumane Ai Pinのような失敗事例もあります。

2年目を迎えるApple Intelligenceの次の手は、6月10日午前2時にスタートするAppleの開発者会議WWDC25基調講演で判明する予定ですが、そこにAIのための新デバイスは登場するのか、iPhoneやApple Watch、AirPods、Vision ProなどをAIに合わせて進化させる発表があるのか。

iPhone moment of AI devicesはどこから生まれるのか。ioかAppleかGoogleか、それともまったく別のところからか。来年にかけて、いっそう熾烈な戦いが繰り広げられることでしょう。

NotebookLMによるポッドキャスト風解説動画も用意しました。


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《松尾公也》

松尾公也

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