ロータス 、未来のEVコンセプトカー『セオリー1』発表。F1や軽量スポーツのルーツと最新技術を融合、NVIDIA DRIVE採用

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Munenori Taniguchi

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スポーツカーメーカーのロータス・カーズは、そのデザインルーツに立ち返りつつ、未来的な技術を盛り込んだ電気スポーツカーコンセプト「Theory 1(セオリー1)」を発表しました。

スポーツカーブランドとしてのロータスは、独創的かつ革新的なレーシングカーの数々を生み出した伝説的エンジニアであるコーリン・チャップマンが創業し、「シンプルに作り、軽く仕上げる」という設計理論のもと、軽量でコンパクトな市販スポーツカーの数々を生み出してきましたた。

また、いすゞ・ピアッツァの足回りのチューニングや、シボレー・コルベットZR-1へのDOHCエンジン供給など、その独自性・専門性を活かした他社への技術協力実績でも数多く知られています。たとえば、EV専業メーカーを代表するテスラが最初に市販した「テスラ・ロードスター」は、当時のロータスの主力モデルだった軽量スポーツカー「エリーゼ」をベースに数多くのパーツを流量して開発されたことで知られています。このクルマは生産も英国にあるロータスの工場で行っていました。

ただ、企業としてのロータス・カーズは1986年にGMの傘下に入り、その後は1993年にブガッティへ売却され、1996年にはマレーシア・プロトン傘下入り、2017年以降は、プロトンの筆頭株主になった中国・吉利自動車が、ロータス・カーズの筆頭株主にもなるなど、親会社が転々としつつ現在に至っています。

そしてその間、世界のスポーツカーの潮流は、従来ロータスが得意としてきた安価なライトウェイトスポーツカーよりも、超富裕層顧客をターゲットとした(SUVを含む)高付加価値モデルに移行しており、ロータスも2019年の電気ハイパーカー「エヴァイヤ」では、3億円超という、過去のロータスでは考えられない価格帯に足を踏み入れています。さらに最近の「エレトレ」や、「エメヤ」といった量産モデルでも、車体重量がエリーゼの2倍以上(価格も1500万円以上)に膨れあがってしまいました。

今回発表されたセオリー1は、コンセプトモデルであるが故に価格は設定されないものの、車体重量は1600kgに抑えられています。果たして1600kgはライトウェイトかとの疑問もないわけではありませんが、重たいバッテリーパックを搭載する電気自動車でありつつ、テスラModel 3(約1800kg)より200kgも軽いと考えれば、ライトウェイトと言う資格はありそうです。

セオリー1は、外観的には、ルーツに立ち返ったというその姿が、全体として名車ロータス・エスプリのウェッジ・シェイプを思い出させるものとなっています。その空力面では、車体前部に装備されるエアディフューザーとデフレクターで空気抵抗と後方での伴流発生を抑え、フロア下面や側面の空気の流れも最大限に活用するレーシングカー由来の技術を採用しました。

一方で、ドアは幅2.4mの駐車スペースにおいて、ワンステップでの乗り降りを可能にするため、独特な逆開き構造を備えた独自の「スポーツカードアシステム」を開発したほか、ヘッドライトをはじめとする灯火類にはKYOCERA SLD Laserのレーザーライト技術を使用するなど、未来を予感させる最新技術を多数取り入れています。

インテリアには、NVIDIA DRIVEプラットフォームを使用し、すべての乗員にパーソナライズされた体験を提供すると謳う「LOTUSWEAR」システムを搭載。車体各部に装着され全方位を監視する自動運転センサースイートが、暗い場所や悪天候でも、車両の周囲最大200mのあらゆる方向にある障害物を認識します。車内外に装備される統合型OLEDシステムは、もしも車両近くに人などがいる場合に、車両の状態に関する情報を表示します。

3Dプリントによる格子構造で軽量化したヘッドレストにはKEFとの共同設計によるバイノーラルオーディオシステムを搭載、乗員ごとに最適化したサウンドスケープを提供。LOTUSWEARシステムには他にも、ステアリングホイールのグリップ部に仕込まれた操舵タイミングを知らせる膨張式の触覚フィードバックなど、ドライバーの運転をサポートする技術も含まれています。

そして車体設計の面では、F1がクラシックな葉巻型から、前後ウィングを備える現代的デザインに進化するきっかけとなったロータス49から、パワーユニット(およびバッテリー)構造物をそのままサスペンションの応力部材に使用することでサブフレームを省略するなど、シンプルかつ軽量に仕上げるという手法を流用しました。

なお、セオリー1はかつてマクラーレンが市販したスポーツカー「マクラーレンF1」と同じく、運転席をセンターに配置した3人乗りレイアウトになっています。

グループ・ロータスのデザイン担当副社長ベン・ペイン氏は「デジタルとアナログの両方の機能が調和して機能する未来の車では妥協する必要がないことを実証」し、これによって「可能な限り最高の没入型運転体験をドライバーに提供」すると述べています。

ロータスが示した未来のスポーツカーであるセオリー1は、これまでに築き上げてきた革新の歴史と、最先端の技術を凝集し、そこへロータスのもう一つの特徴である美しさを加えてまとめ上げた、記念碑的な1台とも言えそうです。

《Munenori Taniguchi》

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